ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

大津波が運んだもの

今回、被害に遭ったのは何も私達、人間だけではないのはご周知の通り。

人々と共に多くの動植物にとっても大変深刻な被害が及んだ。

3月22日には海から内陸に2km入った仙台市内の田んぼから、津波で海から流されてきたスナメリの子供が救出されたという心温まる話を耳にし、感銘を受けた。

ヒトも動物も鳥も魚も虫も植物達も…同じ地球に暮らす生き物同士。

淡水・海水問わず多くの魚達も犠牲になりました皆さんの中にも犬や猫、鳥、魚などのペットを飼っている方も沢山いらっしゃることだろう。私も昔からの動物好きなので気持ちは重々分かるのだが、例え自分達に危機が迫っている状況であっても、出来るならばペットは一緒に連れていきたいというのは飼い主であれば当然抱く気持ち。何故ならば、ペットは家族の一員だからだ。命の尊さに大小はない。津波で冠水している自宅から猫を背中に背負い、犬を抱きかかえながら、必死になって胸まで水に浸りながら脱出した今回、私も改めて「置いて行くことは絶対出来ない」と思った。その願い叶わなかった飼い主の方々や原発避難区域でそのままにせざるを得ない状態になっている牛や馬、豚などの畜産業・養鶏場の方々の気持ちを思いやると、今もなお心が激しく痛みます。

先日、迷い犬を保護し、最寄りの動物病院に相談し預けてきた。とても慣れっこい犬だったが、今頃、無事飼い主の元に戻っていることを切に願いたい。

さて―。 津波が押し寄せた地域では、その足元からも生々しい形跡が見て取れる。最近では撤去作業が着々と進んでいるが、津波と共に押し寄せたヘドロが乾燥し、それらが道路脇に集積されたままの所には多数の魚の死骸が転がっているのだ。

ヘラブナやコイの死骸も多く見かけます(画像はヘラブナ)私が目にしただけでもマハゼに海タナゴ、スズキ、ボラ、ニゴイ、マルタウグイ(当地名:オゲ、オオガイ)、ブラックバス、ライギョ、ヘラブナ、コイなど淡水魚・海水魚共に混ざっており、海から侵入した大津波がどれほど川を経由して遡上していったかが改めて伺いしれる。特に堆積したヘドロ除去作業中には多くのマハゼの死骸が見受けられたし、又、当事務所の近郊でも道路や道端からブラックバス、ライギョ、ヘラブナなど近郊を流れる運河から津波で押し流されてきたと思われる魚の死骸は多く、震災後しばらく放置されていたため、見るに絶えず周辺清掃・消毒作業の際に私がまとめて一掃した。

街中で見かけた魚の死骸(ブラックバス)これらを放置し続けることは、今後の衛生面に悪影響が出るおそれがあるし、何よりも水辺に立つ者の一人として、そのままにしてはおけなかった。これだけの魚が陸地に打ち上げられてしまうと、今後の生態系にも影響が出ることは必至で、特に内水面のようなクローズドエリア(閉鎖性水域)では元々、生存可能なキャパシティーにも限りがあるが、そこに住む生き物達が一斉に流されてしまえば、そこで新たな生命感を取り戻すことは難しくなる。

失われた自然をもう一度取り戻すために、私達に何が出来るのか。

いま、真剣に考えてはみませんか。