ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

BS日テレ「夢釣行」ロケ・北海道小樽クロソイ編

積丹半島でのアイナメ撮影が完結し、ロケ後半は小樽市へと移動した。

小高い山の上から小樽の街並みを見る。

 

 

 

 

 

 

北海道小樽市は風光明媚な観光地としても有名だが、古き良き時代の面影と現代のトレンドが双方交わっている街並みでもあり、それはとても斬新で新鮮な感じさえ与えてくれる。

古いレンガ造りの街並みで有名な北海道小樽市。それだけに道外からの観光客も多く、海外からのツアー客や修学旅行中の団体の学生さん達で街並みは大いに賑わっていた。

 

宮城県在住の方に分かりやすく説明すれば、同県の松島の規模を大きくし、より近代的にした街並みと言えばイメージしやすいだろうか―。

小樽の海では例年4月~6月初旬にかけてクロソイの親魚が体内の仔魚を放つために沿岸に接岸してくる。産卵に絡むそれ相応のサイズともなれば、通常は水深25m~5、60mラインまでの深場に多いが、この時期だけは10m弱~20m未満の水深までの岸寄りに接岸してくるので狙いやすいタイミングとも言えるだろう。

                                   お世話になった小樽のボートロック遊漁船・シェイクさん。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

旧来より本州~北海道に至る各地のクロソイ釣りを見てきて分かったことは、この魚に関しては北に行けば行くほど行動力がアグレッシブになり、サスペンドする層もかなり上層まで浮き上るということは確かだ。おそらく適水温の関係や、生息環境の相違などがその要因に深く関わっているに違いない。

 クロソイは他のソイ類よりも、メバル寄りの習性を強く持っている。大岩の影など、完全にベタ底にいるムラソイや、Vの字に深く切れ込んだ溝など複雑な岩礁帯やウィード周りに多いベッコウゾイよりも、クロソイの方が幅広い釣法が可能であるため、本来はよりゲーム性に富んでいる魚であることも見逃せない。

 そういう意味ではガチなパワーベイトタックル、ヘビーシンカーでボトムをドスン!ドスン!とやる釣りでは、ボトムから浮き上ってサスペンドしているクロソイのバイトをなかなか捉えづらいのもうなずける。

むしろ極力、軽いシンカーでリグがフォールする滞空時間を稼いて「見せて、追わせて、喰わす」釣りの方がこの魚には向いている。底を取った時の根がかりの頻度により、テキサスリグやジグヘッドリグなどを使い分けるが、私的にはPEラインを巻いたスピニングタックルにジグヘッドリグ(あるいはライトテキサス)でフワフワと泳がせながらフォールとスイムを織り交ぜながら釣っていく釣りが好み。その方が結果的にバイトを取りやすい(アタリが分かりやすい)し、掛けてからの面白みも格段に増す。そして案外、50cm以上(2キロ後半~3キロ以上の個体)の巨大サイズになればなるほど、そういった釣り方の方が釣果面に関しても安定してくる傾向が顕著だ。

クロソイ狙いでは、ヘビーテキサスでのボトムズル引きでは、それほど多くのヒットが多く望めないのも実はそういうことに起因している。

 

ポイントを目指して大海原を走る。その心は期待に満ち溢れていた。北海道の日本海側のクロソイのスポーニングシーズンは、マメイカやヤリイカの接岸期とも重なること、「春ホッケ」や「ロウソクホッケ」と言われるホッケの若魚の接岸時期とも重なるため、海中はとにかくベイトが豊富になる季節だ。

更にオキアミやヨコエビなどのスカッド系、コウナゴ・オオナゴ(北関東~東北で言うメロウド)の群れ、根から少し外れた場所には同じ底棲魚であるカレイ類も多いだけに、産卵を控えたクロソイ達がその体力を維持するには持ってこいの、ベイトが豊富に存在するシーズンでもある。ソイの口はご周知の通り“大口”なので、食べようと思ったエサであれば口に入る大きさならば躊躇しない。ホッケやカレイが丸ごとクロソイの口の中に納まっていることも、別に珍しいことでもない。

よって、その時、クロソイの周囲に最も近い存在である特定のベイトを知ることはとても重要なことで、甲殻類なのか、小魚なのか、あるいはイカなのか…海の状況に最大限配慮しながらワームをセレクトする必要がある。そして水色・時間帯・光量によってワームカラーも使い分けてローテーションしていくことが大事。

 クロソイの豊富な小樽の海は山が海岸までそのまま迫る地形が続く。小樽での釣りが初めてとなった今ロケでは、魚の状態・居場所から特定していくために、あらゆる手段を使って模索していった。重要なのは消去法を用いることで、色々ある可能性から、不必要なファクターをどんどん削除していく。

そして最終的に残っていったファクターに合わせたタックルセレクトと釣り方にシフトしていった。

結果は番組でご覧頂いた通りで、最大58cm/4.2kg(JGFA認定デジタルポータブルばかりにて計測)のビッグワンに辿り着くことが出来た。

かつて、私のクロソイ自己記録は2年前の苫小牧でロッドテスト中に釣り上げた54cmだった。この時のヒットルアーはウォーターメロンカラーのガルプ!ジギンググラブ4”の3/8ozジグヘッドリグ。そしてこのテレビロケの数日前に行った留萌での「ノースアングラーズ」誌のオカッパリ取材中に釣り上げた55cm/3.2kgによって自己ベストを更新し(ヒットルアーはホワイトグローカラーのガルプSWダブルウェーブ3”の3/8ozライトテキサス)、続く小樽のテレビロケでは上記の通り、58cm/4.2kgと更に上回った(ヒットルアーはレッドカラーのガルプSWパルスワーム4”の3/8ozジグヘッドリグ)。それらは、いずれも0.8号~1号のPEラインを巻いたスピニングタックル(ロッドはシューティンウェイSWS-702L“スイミントレーサー”)による釣果である。このスイミントレーサーはその名の通り、ジグヘッドやライトテキサスでのスイミングトレースでアイナメやソイのビッグフィッシュを獲るための竿。細み軽量ながら、そのブランクパワーは4キロオーバーの巨ゾイですら制圧する力を秘めている。

 組み合わせるスピニングリールはその構造上、豊富に出るラインスラッグをデメリットとして認識するのではなく、あえてメリットとして認識し、ベイトキャスティングリールでは出しにくい豊富なラインスラッグを生かした“ふわふわ”アクションを意図的に与えてやるのがコツだ。そうすることで水中ではよりナチュラルにリグが沈んでいき、ワームがヒラヒラと“なびく”状態を作る。その最中にクロソイにルアーを見せて、追わせて、口を使わせる。

 小樽の海は新緑に包まれた深い山々と海のコントラストが実に素晴らしい。それからクロソイはいくら口がデカいからといって、いつでもどこでもデカいルアーばかりを喰ってくるとは限らない。例え大物相手でもワームサイズは3インチのものも抑えとして必ず用意しておきたい。

 

というのもメインベイトがマイクロベイトだった場合のことを考えると、ワームサイズが実際のメインベイトよりデカ過ぎるとマッチ・ザ・ベイトさせにくく、魚の活性に反し思うようなバイトを得られない場合もあるからだ。

要は「あのルアーさえ持ってきてれば…きっと今なら釣れたかもしれない…。」と釣り場で悔やむことだけは釣り人なら誰もが避けたいですからね。

 今ロケ時にはソイが身を寄せる起伏の激しい岩礁周りに10cm前後のマメイカの群れが接岸しているとのことで、実際にそれと思われる存在は魚探に映し出されていると船長が言っていた。最初は8インチワームからスタートしたもののバイトが全く得られず、次に6インチワームにしたものの時々、バイトがあっても弱々しいアタリでワームが喰いちぎられるケースが発生した。その時点で単にルアーの大きさで魚に気づかせるだけでは、今日はダメだと判断し、最終的に絞り込んだルアーであるダブルウェーブとパルスワームにしたところで好反応を得ることが出来た。この両ワームにすることで、ソイの口の中にすっぽりと収まる“丸呑みバイト”が連発し、そのバイトの深さから、当時のフィールド状況にベストマッチしていることを一つの形として証明してくれた。特にホワイトグローカラーのダブルウェーブは、見せ方によってはマメイカのような小イカのシェイプとアクションに近い動きが出せるので、イカがメインベイトの時はこのルアーが爆発することを覚えておいて頂ければ幸いだ。

驚愕の58cm、4.2kgの巨大クロソイ。ソイの4キロオーバーの迫力たるや、ハンパないです。最高です!!

 

 

 

 

 

 

 

小樽のクロソイゲームは周囲のシチュエーションも相まって、浅場のデイゲームで3キロオーバー、4キロオーバーという、釣った本人もビックリしてしまうような、とてつもないビッグフィッシュと巡り合える可能性を秘める素晴らしい釣り場を維持している。

これは全国に自信を持って誇れる財産だと思うし、道外のアングラーからすれば、まさに“夢の世界”とも言える次元である。

ぜひ、地元の釣り人の皆さん方が共有すべきマナーを尊重され、いつまでもこのような巨大根魚の安住の地として健全に生息していけるよう、今後も豊かな海に住まうクロソイ達を釣りながら守っていくというスタンスを大切にしていって頂ければと切に願います。

もしかすると、今後の釣り人生において4キロオーバーのクロソイはそう易々と手にすることは難しいとも思う。それほどまでに惚れ惚れしてしまう巨大魚に今回出会えた喜びは素直に心底うれしいものであった。

小樽のクロソイ、最高です!!

 

タックルデータ

■スピニングタックル<ジグヘッドリグ>

●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー

●リール:ステラC3000HG

●ライン:シーガーテンヤ0.8号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●ジグヘッド:カルティバ OHラウンドヘッド(JH-11)1/4oz、3/8oz

●ルアー:ガルプSWパルスワーム4”、ガルプSWダブルウェーブ3”

 

■スピニングタックル<ライトテキサス>

●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー

●リール:ステラ3000HG

●ライン:シーガーテンヤ1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●シンカー:タングステンバレットシンカー 3/8oz、1/2oz

●クッションビーズ:オーナー夜光ビーズソフト原色4号

●フック:岩礁カウンターロック3/0、2/0

●ルアー:ガルプSWパルスワーム4”、ガルプSWダブルウェーブ3”

 

■ベイトタックル<テキサスリグ>

●ロッド:シューティンウェイSWC-722EXHブラインドサイト

●リール:レボエリートIBHS

●ライン:シーガーR18フロロハンター16lb

●シンカー:カルティバブラスシンカー 3/4oz、1oz

●クッションビーズ:オーナー夜光ビーズソフト原色4号

●フック:岩礁カウンターロック3/0

●ルアー:ガルプSWイール8”、パワーベイト パルスワーム6”

     パワーベイト パワーゴビー5”、ガルプSWパルスワーム4”

 

●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq

●偏光レンズ:TALEXアクションコパー、TALEXイーズグリーン

 

★北海道石狩湾ボートロック・ガイド船<小樽地区>

遊漁船シェイク (吉野船長 )【受付番号080-5598-4819】