夢の釣り旅。~バードサンドバスとスポッテッドサンドバスに魅せられて~
北米・カリフォルニアに生息するハタである「バードサンドバス」。
日本ではまだあまり知られていないであろう魚につき、この番組の放送で初めて知ったロックフィッシュアングラーもきっと多かったことと思います。
世界中の海に何らかの種類が分布する「根魚」というカテゴリー。
世界中を飛びまわっても人生のうち、その全ての種類を釣り上げることなど到底難しいことでしょう。
でも、私はそこに夢を見続け、今日までこのロックフィッシュゲームへと向き合ってきました。
BS日テレ「夢釣行~一魚一会の旅~」ロックフィッシュ編。
第1作目のアイナメ・クロソイ編。
第2作目のウサギアイナメ編。
第3作目のキジハタ編。
そして、第4作目となる今回は2週に渡り、バードサンドバスを筆頭とするサンドバス編をお送り致しました。
その過程で出会った1尾はとりわけ大きく、現地でも滅多にお目にかかれないヒュージサイズだというから感激は一層に増した。
実はサンドバスにはもう1種がいる。
そう、「スポッテッドサンドバス」だ。
アメリカとメキシコとの国境の街・サンディエゴダウンタウンの目の前で繰り広げられる釣りの舞台に驚き、そして出会った彼らはとても魅力的な魚だった。
7/0オフセットフックにセットした7インチワーム(ガルプSWジャークシャッド7インチ【日本未発売品】に果敢にアタックしてくるアグレッシブさ。
都会のベイエリアで、こんなにも素晴らしい魚が生息しているとは―。
通常、人間の暮らしに近いフィールドに住む根魚ほど釣り場としては荒れやすい。
都会のど真ん中の海でハタが釣れる環境は、豊かな日本国内でもごく限られている。
「昔は釣れた。でも今は釣れない。」
今までの国内の現状では、大抵はそうなっていってしまう。
それだけに元々与えられた彼らの生息環境を生かすも殺すも釣り人による影響が大きく左右することも確か。そのような意味ではサンディエゴ湾では人とハタ(根魚)が共存している成功例の一つだろう。
そこにあるのは「魚を生きたまま海に戻してあげる」というレギュレーションと、それを明確に守る己の志。
スポッテッドサンドバス、略して“スポッツ”と呼ぶこの魚は西日本~南日本に生息するオオモンハタを彷彿とさせる斑点模様に、特徴的なバードサンドバス譲りの背ビレ。第3棘だけがやたら発達した背ビレは、“かっこいい”の一言に尽きる。
ハタ科の魚は同サイズであればアイナメやソイよりも引きが強い。
この魚に今、真剣に挑んでいる。
狙っている。
そんな雰囲気に浸るだけでも、どこか心が満たされる釣り。
釣りの世界にはそんな世界や次元さえも存在しているのもまた事実。
あわよくば、幸運にも魚を手にするところまで辿りつければ海外遠征は旅の最高潮へと達する。
この旅で私が手にしたバードサンドバスは3尾。
スポッテッドサンドバスに至っては湾内での若魚まで含めれば30尾近くまで達した。この他、レディフィッシュ3尾(番組では1尾のみ放送。他2尾は時間の都合上カット)、オリーブロックフィッシュ1尾、グラスロックフィッシュ1尾、スメルト2尾(番組では時間の都合上カット)。
こちらの「グラスロックフィッシュ」はソイの仲間。
グラス=水草につくロックフィッシュ=ソイの意味。
体形は日本のムラソイに類似するが、眼の輪郭と瞳の感じはベッコウゾイ(タケノコメバル)に似ていた。
あとは背ビレの棘の感じもそう感じた。
私にとってソイは幼少の頃から釣り慣れた魚。そんな馴染み深い魚と外国の海で出会えた時は、なんだかホッとした気もしました。
そしてこちらも番組では時間の都合上カットされたが、「スメルト」。
ガルプSWダブルウェーブ3インチのカーリーテール目がけて群れで猛攻を仕掛けてくる。ご覧の通り、口が小さくフッキングは難しいものの掛かると結構、引きます。
スメルトとは日本訳では一般的にワカサギを意味しますが、日本と同種のワカサギがカリフォルニアの海にいるとは私は思えなかったのでおそらく、日本でいうチカやキュウリウオ、シシャモに該当するキュウリウオ科に属するご当地の魚を指すものかと思っていたが、実際に釣り上げてみるとキュウリウオ科の魚というよりもペペレイやサンマの形に、ボラやトビウオの顔つきに近い風貌の魚だった。
ちなみにバードサンドバスの主要なベイトは日中はスクイッド(イカ)、スメルト、マッカレル(サバ)の3つであることが多いとガイドのキャプテン・ジェイミーは言っていた。又、夜の間に捕食されやすいのはカニとのことだった。あちらではカニは昼は深場に多く、夜になると浅場に上がってくるのだという。なのでサンドバスに捕食されるカニは昼間ではなく、大抵は夜の間に捕食されているとキャプテンは話を続けた。
この話が私の頭に最後まで残っていた。
そして番組の最後に満を持して登場したテキサスリグ。
テキサスリグはアメリカから伝承された仕掛けであるが、元々は淡水のバスフィッシングのために考案された仕掛けであるから、なんとご当地の海では普通は使わないリグだというのだ。
現地の主流は番組で紹介していた通り、ドロップショット(ダウンショット)リグである。
夕マズメが迫る頃、私がテキサスリグをリギングしようとしていた時は「なぜ、海でテキサスリグを使うのか?」と逆に聞かれてしまった。
キャプテンは最後までテキサスリグを推奨することはなかったが、それでも、たどり着いた己の釣り。
何か1つでも外したら釣果は出ないリスクを承知の上、“ピタリ”と条件の合ったタイミングを図って登板させた。
自分の狙いが確信に変わる瞬間はここでもまたやってきた。
まさに試行錯誤を重ねた上での会心のバードサンドバスの登場だった。
今でもあの時の「アタリ」はこの手に“感覚”として残っている。
異国の地で、全力で夢を追った魚がパワーホッグ5インチのテキサスを激流シャローで襲った、という事実。
「は~い!OK!ごくろうさま!」番組プロデューサーからこのロケすべての終わりを告げる合図が出た瞬間だった。
そう、この1尾を持ってして、カリフォルニアでのロケは終焉を迎えたのだ。
心底から安堵に包まれた気がしてならなかった。
見知らぬ土地では試さなければならないことが大変多い。そのような意味ではイカを模したワーム(ガルプSWスクイッド5インチ)にスメルトやサバを模したスティックベイト(ガルプSWジャークシャッド7インチ【日本未発売品】やスイムベイト(パワーベイト/ポギースイミンシャッド4インチ【日本未発売品】)、カニやロブスターを模したパワーベイト/パワーホッグ5インチはバードサンドバスやスポッテッドサンドバスへの効能は最適なルアーチョイスだったようだ。
更に湾奥のシャローでウィードに小さなエビがついていて、「ここのスポッテッドサンドバスはこれを捕食している」とのキャプテンの話を元に投入したガルプSWダブルウェーブ3インチも結果的には入れ食いに繋がっている。
国を超えてもマッチ・ザ・ベイトの定義は揺るがないことの証を垣間見たものだった。
国内主要空港であれば、乗り継ぎしなくても直行便も発着しているサンディエゴ。昨今では国内遠征に留まらず、海外遠征も珍しいことではなくなった時代。
いつもの場所でいつもの魚を狙うのも楽しい。
が、知らない場所で知らない魚を狙うのもまた楽しい。
私の釣りは常にこういったサイクルを繰り返すことで己の知識と技術を深めることに繋がってきた。釣り歴に頼ることなく、経験の深さ・濃さという重みは必ずや今の釣りに活きる。
GTやボーンフィッシュ、ターポン、キングサーモン、アイスポットシクリッド(釣り人の言うピーコックバス)、カジキ、マグロ、10ポンドオーバーのバス…etc。
いつの日も釣り人の憧れの対象となるその豊富なターゲットレパートリーにロックフィッシュが加わることはごく自然な流れだし、日本では味わえない見地は貴方の人生の知識の糧となるだけでなく、並々ならぬ興奮をも感じさせてくれるものであるに違いない。
アメリカ合衆国カリフォルニアの旅。
ロサンゼルスにサンディエゴ。
そこは海獣や鳥たちが悠々と暮らす、人と海とが共存し合う街。
古くから続くスポーツフィッシング、ゲームフィッシングの歴史の重みをあらゆる面で感じさせてくれる大国での釣りは、きっと日本の釣り愛好家にとっても有意義な経験となろう。
釣りという行為における、魚との向き合い方という面でも―。
私が行ってみて思うことは、今後機会があれば、ぜひ皆さんにも行ってみてほしいと思った場所だった、ということです。
海外での釣りというと言葉や治安、文化の違いなど何かと心配事も尽きないと思いますが、今ではガイドサービス(通訳も含む)も充実している時代であるから、そちらを活用するのも安心の一つだと思います。
カリフォルニアドリーム。
夢と情熱は尽きることはない。
またいつの日か訪れたい、生涯に残る思い出の「釣り旅」の地となりました。
世界は広い。
ロックフィッシュゲームの魅力は尽きない。
次は、いずこの海へ…。
番組をご視聴頂きました皆さん、どうもありがとうございました。
2014年3月1日 | カテゴリー:釣行記