ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

桜、花旅。~サクラマスの話~(7)

翌朝はポイントとなりそうな場所を見て回り、潮の流れが効いている場所で、かつベイトフィッシュの気配がある場所を探して歩く。

ご当地の今(※2013年6月当時)の主要ベイトフィッシュはコオナゴとオオナゴ。

こちらがそのコオナゴ。

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ルアーを引いてくると時々フックに引っ掛かってくるほど数がいる。

これらは同じ魚で大きさの違いで呼び方も変わるが、いずれにしても正式名称は「イカナゴ」である。

ちなみに北海道でいうオオナゴのことを、東北太平洋側~北関東ではメロウドと呼ぶ。

 

ミノーから投入するが、一向に反応がないため“奥の手”を出す。

メタルバイブがそれだ。

水の透明度が高い積丹半島では同じルアーでも色の違いで魚の反応に大きな差が出ることも珍しいことではない。

特にサクラマス釣りのエキスパートほど、色の効果については「サクラマスは色で反応が変わる」と、強いこだわりを示す。

 

ここで選んだのはパープル系カラー。

潮の流れに負けないで泳ぎ切る直進安定性、ビッグミノーの存在感に負けない「ルアーとしての存在感」。それでありながら過剰な幅の大きいアクションはせず、小刻みに震えるようなタイトバイブレーションが海サクラマスの釣りにも向いているはず、と睨んだのが使うキッカケだった。

幸先よく、まずはホッケのヒットから。

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魚は完全に浮いた状態でルアーにアタックしてきた。

 

ホッケの次に掛かったのは、アイナメ(北海道名:アブラコ)。

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メタルバイブの上層の高速巻きで喰ってきた。

「ゴン!」と一発当たった後、連続でゴン!ゴン!ゴン!と首を振りながら根にどんどん潜っていこうとするから、ある意味、ファイトに関してはサクラマスより厄介な相手だ。

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水の透明度が高い水域の場合、水中でのルアーの視認性も高い。それだけに魚からもルアーを発見しやすく、上層を泳ぐルアーをアイナメがボトムから突き上げてバイトしてきたのだ。

 

今のところ、ホッケにアイナメとロックフィッシュが立て続けに釣れたが、30分ほど投げ続けた頃だっただろうか。

やはり60mほどキャストした遠方の上層(表層よりは下だが、中層よりは上のレンジ)で「ドス!」と引っ手繰られるようなアタリが出た。

アタリの出方は4月に宮城県北上川でオスの3.5キロのサクラマスを釣った時とまるで同じだ。

同時に勢いよく横方向に走る。今度はサクラマスのようだ。

ドラグが作動してラインが時折、鋭く出ていくが9フィート6インチのロッドがしっかりと魚体とそれに掛かる潮の流れ(水圧)を受け止めている。

遠くで掛けているので、ファイト時間もそれ相応に十分な手ごたえを感じる。

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ランディングは無事に結実。

 

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61センチの太い魚体。魚のコンディションはいい。

ベイトフィッシュを飽食した証だろう。

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1ozメタルバイブをガッチリと咥えた、海サクラマス。

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狙い的中。

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このルアーに期待したその効果も予想通りだった。

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海に生きる証拠・シーライスが寄生していた。

サケ・マスにはお馴染みのこの寄生虫の存在は「海サクラ」である何よりの証を物語る。

 

続いてはスプーンにチェンジ。

メタルバイブよりも目的のトレースラインをゆっくり引けるのが活用する意義。

こちらも上層レンジを通す。するとゴン!というアタリと共にボトムに向かって一直線に走る。

この引きも案の定、アイナメだ。

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ハードルアー単体で根魚を狙うことの少ないご時世だが、スプーン単体でもアイナメが釣れることは昔から密かに知られていた事実。

だとすればスプーン+ワームの合体リグである「スプーンリグ」がアイナメに有効だということは、理屈としてもその流れで成り立つことがお分かり頂ければと切に願う。

余談ながら、このスプーンは青銀カラーに紫色のアワビシートを貼ってドレスアップした「対クリアウォーター水域用」。水の透明度が高い場所で好反応です。

 

遠投先で掛けると最初はサクラマスもアイナメも同じように首を振るファイトを見せるが、泳ぎ方(サクラマスは横方向へ、アイナメは海底に向かって)が違うので、どちらの魚かが分かる。

ラインが根ズレすることはあってもサクラマス自体が根に潜ることは基本的にはないが、アイナメはモタモタしていると根の最奥まで潜っていく(結果、獲り逃す)から注意が必要だ。

 

 

ホッケに、アイナメに、サクラマス。

川のサクラマス。

湖のサクラマス。

海のサクラマス。

いずれにしてもこの「サクラマス」を狙うスタイルは人それぞれであるが、淡水域での釣りに終始していればこの一連の釣りで出会うことのない海の魚達とも出会えるのもまたうれしい。

1種類の魚を狙う物語の中に、他の魚が自然と加わる新鮮さと面白み。

それが海でもサクラマスを狙う良さだ。

 

釣果は上々。気温もぐんぐん上がってきた。

さぁ、朝食と休憩を取ろう。

その後はアイナメを狙って磯からのロックフィッシュゲームを楽しもう!

 

そしてまた次にサクラマスを狙うのは、夕方の頃合いがいいだろう。

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積丹半島の海で過ごす、釣りの1日。

 

今日だけに許された時間を最後まで楽しみ尽くしたい。

再び、夕マズメの時合に想いを馳せた。

 

■タックルデータ(2013年6月)

●ロッド:サーフスレイヤーSSLS-96MH-F

●リール:ステラ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●スナップ:カルティバクイックスナップ2号

●ルアー:ビッグバッカー1oz、チヌークS 25g

●フック:

☆ビッグバッカー1oz=カルティバST46 ♯6番

☆チヌークS 25g=オーナーばり/OH丸せいご22号をベースにした自作シングルフック。ループ部の組糸にオーナーばり/ザイト・パワーフレックス50lb、根巻き糸にはオーナーばり/テクノーラ根巻糸を使用。

●タックルベスト:カルティバゲームフローティングベスト3

●偏光グラス:ZEAL OPTICS アルマジロ13

●偏光レンズ:TALEX モアイブラウン