駿河の海で、会いましょう。(6)
翌日、菅原さんと私は船宿「ふじなみ丸」の小型船(愛称:ちびなみ丸)に乗り込んだ。
ふじなみ丸では大小3隻の船を有しているので、釣りの種類(沖合の釣りなのか、近海の釣りなのか)や人数によって船のタイプを合わせてくれるのもうれしい。
ちなみに後方に見える船は“若大将”こと、かの加山雄三さんの光進丸である。
圧倒される貫禄の様は誰がどう見ても素晴らしい豪華船としかいいようのない凄味が漂う。
さぁ!
我々は今日もロックフィッシュゲームへ!
朝も早くから全開モードで、ちびなみ丸で出船だ。
小型船は船がコンパクトな分、小回りが利く。それだけに前日のような乗合船タイプの大型船では近づけない浅場の磯周りをもタイトに撃てるのが何よりの利点だ。
もっとも、東北は三陸リアス式海岸での磯撃ちから始まった私にとってはこのスタイルの方がロックフィッシュゲームとしてはピンと来る。
釣り方は前日と同じでキャスティングして狙っていく。
前日は狙った水深が20mを主に最大30mまでの、やや深場だったのに対し、今日はシャローまで入れる小型船の利点から水深10mラインを狙う。10mラインであればスローフォールを得意とするクランクシンカー1ozで十分釣りになる。
本日、探っていく水深は13m前後が主で、最大でも22mほど。
これだと北陸・新潟県糸魚川市沖のキジハタゲームと同じ水深帯なので手馴れたシチュエーションだ。
伊豆の海もまた透明度が高いので水深10mラインであれば、高性能な偏光グラスを着用すれば海底まで見える。
まさに“ブラインドサイト”出来るステージだ。。
ピンポイントキャストののち、岩の亀裂に沿って真っすぐにフォールさせると早速、アカハタが喰う。
クランクシンカー1ozテキサス。幸先は良好だ。
続けてカサゴも好反応。
本日も充実のロック日和。
ハタの仲間はサンゴ礁のリーフの中にも多いカンモンハタやイシガキハタ(いずれも沖縄県では普通に見られる小型のハタ)を除いては、そのほとんどが深場を好む種類が多い。
アイナメやソイに比べれば必然的に狙う水深が全体的に深くなるハタ科においてキジハタやアカハタ、オオモンハタについては、まだ水深の浅い方に生息する部類に入る。
これがホウキハタやアオハタとなればもう少し深い水深を必要とするし、更にはマハタを狙う水深ともなればそれなりの型モノを狙うとなれば70~80mは要するだろう。
さすがに70m以上ともなれば現行のロックフィッシュタックルでの範囲を超え、むしろジギングで狙った方が効率的。(ただし、水深の関係上リリースは難しく、釣り上げた魚は全部キープというのが前提の釣りとなる。)
キャスティングして釣っていきたいこと。
更には、長くこの釣りを続けるための資源維持の観点から基本的にはキャッチ&リリースが可能な水深であること。
これらを満たすのが私の中での通常のロックフィッシュゲームの範囲として見据えているため、水深が浅いほど自身にとっては本来のスタイルが活かせるのでうれしい限りだ。
PEラインは前日の2号から今日は1.5号に替えている。今日は水深が浅いため用いるシンカーが軽くなる分、それに合わせての策だ。
まるでヒラスズキを狙うかのごとく、白いサラシに向かってクランクシンカー1ozテキサスリグで磯撃ちしていく。
ここは静岡県だが、釣りの内容的には岩手県でアイナメを狙っている感覚。
まさに宮古の重茂半島のイメージがピタリと当てはまる。
菅原さんは本当によく釣ります。
本日もアカハタ絶好調!
操船に勤しむ傍ら、アワセが炸裂する伸さんもアカハタを連発。
さすがキャプテン!若大将ならぬ、若船長です(笑)。
ご自身でも精力的に釣り場の開拓と試釣に余念がない伸さん。魚の付場をピンポイントで分かっているから実に的確な釣りをされます。
頼れる、伊豆の兄貴です。
アカハタのバイトは必ずといっていいほど、フォールの最中に出る。いかにしてフォールの間合いを長く取るかが重要で、そのためにシャローではリグの沈下スピードが早過ぎるのも考えものなのだ。
ルアーはやはり「赤」のパワーホッグ4インチとガルプSWダブルウェーブ3インチの「赤」と「レッドバグキャンディー」のこの3つへのヒット率が依然として高い。
アカハタが吐き出すベイトはやはり前日同様のこのエビ。ダブルウェーブのレッドバグキャンディーに色の感じが似ていることからもシルエットも動きもマッチ・ザ・ベイト的にも合っているのだろう。
今日もまた登場する前日のエビ写真ですが、この日もやはり同じくアカハタ達はこのエビをたくさん食べていました。
他にも色々、ワームはタイプ別、サイズ別、カラー別に持ち込んだストックをまんべんなく投入したのだが…思いほのか釣れないのだ…。
パワーホッグ4インチは大変釣れるが、ここのアカハタに特に効いたと思ったのは「赤(レッド)」だけ。
クリア系レッドである「チェリーシード」や「レッドバグ」カラーも多用したが、私の予想に反しパワーホッグ4インチのシルエットだとこれらの色ではアタリが出にくく思わぬ不発を喰らった。
「チャート(CGBFO)」や「オレンジ(フロレセントオレンジ)」も反応が悪い。「ブラック」や「モエビ」は釣れるには釣れたが無難な釣れる感じで爆発力にはやや欠ける。
「パールホワイト」、「ホワイトグロー」、「エビチャグロー」に至ってはアタリすら出ず、今回は結局1尾も釣れなかった。
又、キジハタに対しては非常に有効なケイムラ系(UV系)カラーも私の期待に反してここのアカハタに対しては惨敗した。
露骨なまでにワームの色で釣果に差が出る。
この差はいったい何なのだ…。
「魚数が沢山いる=いっぱい釣れる」と思っていると痛い目に合うと考えた。
釣れない時間を極力なくすために、釣れるワームのローテーションを組んでいくだけで頭の中は常にフル稼働し続ける。
私はロックフィッシュゲームにおいてもスピニングタックルは必要不可欠としており、事実スイミングメソットや超遠投の釣りも得意としている。
そこでスピニングタックルに持ち替え20gのジグヘッドリグのスイミングを試すが、これがなかなか手こずる。
今、振り返ればキジハタやクロソイを釣るようにリグを浮かせた状態でスイミングさせていたのが悪かったのか。もしかしたら、「ひとつテンヤ」の時のようにリフト&フォールだけで釣っていた方が良かったのか……今もなお反省は尽きない。
ジグヘッドリグにあまりにバイトが出ないのでこの時はしばし躍起となってしまったが、ようやく苦労して釣った1尾がこちら。
ワームはパワーベイトSWパルスワーム3.8インチの赤だが、この1尾がヒットしただけでこのワームのジグヘッドリグにはこれ以降のアタリはなかった。
この時点でハタはハタでも、アカハタとキジハタが全然違う釣れ方をすることが更に身に染みた。
今に関して言えるのは、これは下手にスイミングにこだわらない方がよいと悟り、釣り方を再び戻す。
パルスワームからパワーホッグとダブルウェーブに戻しただけで、やはり釣れ具合が違うのだ。
今回が初めてのフィールド。試すことは山ほどある。無我夢中で試行錯誤を続けながらも後ろを振り返る度に、菅原さんと伸さんはご覧の通り!
相変わらず、黙々と魚を釣っている。
クランクシンカー1ozの赤ホッグ4インチのテキサスリグで釣りまくるお二人。
やはり、ここの今のベイトはエビなのだ。
群青色の海から鮮やかなアカハタが浮上するシーンを見ているだけで感激が増す。
光が差した瞬間は尚のこと、最高にきれいだ。
今回はアカハタの偏食具合に上手くマッチしたタイプのワームと色を持っていたので良かったが、持参したルアーが仮にハズレ・ルアーばかり揃えて行っていたらと思うと……正直、ゾッとした。
キジハタも反応するルアーにはかなりシビアだが、アカハタも相当にシビアな魚だ。
ワームの型と色、大きさ。それからシンカーの沈下スピードがキモ。
シンカーは素材の比重と形状からも影響を与えているフォールスピードを刻む必要がある。
それだけに、自らの意思でリグを選んで喰ってきている。
目の前に来たルアーなら、とりあえずはなんでも反応するという感じではない。
釣れるルアーとは「魚から選ばれるルアー」であること。
釣り込んでいきながら、今は“アカハタモード”に染まる。
菅原さんは本日一番の大型を。
皆さんも釣りに行かれる際、ワームはタイプ別・カラー別に自身の信頼を置ける範囲で複数持参することをオススメします。
タックルデータ
■ベイトタックル(PEラインでのテキサスリグ用)
●ロッド:シューティンウェイSWC-722EXHブラインドサイト
●リール:エクスセンスDC
●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ 1.5号
●リーダー:シーガーグランドマックスFX5号
●シンカー:クランクシンカー1oz
●クッションビーズ:ロックンビーズソフト
●フック:岩礁メガトンロック1/0、2/0
岩礁カウンターロック2/0、ツイストロック3/0
●ルアー:パワーベイト/パワーホッグ4”、ガルプSWダブルウェーブ3”
パワーベイトSWパワーホッグ4”
ガルプSWパワーホッグ3”(プロト)
■スピニングタックル(ジグヘッドスイミング用)
●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー
●リール:ステラC3000HG
●ライン:シーガーTENYA0.8号
●リーダー:シーガーグランドマックスFX5号
●スナップ:カルティバクイックスナップ♯2
●ジグヘッド:ファイアヘッド20g
●ルアー:パワーベイトSWパルスワーム3.8”
●Tシャツ:プロズワンオリジナル“控えめ”TシャツLIMITED
●レッグプロテクター:カルティバ レッグプロテクター
●ヘッドウェア:リトルプレゼンツ/ストリームレインハット
●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq
●偏光レンズ:TALEXアクションコパー
★静岡県伊豆半島ボートロック船宿(安良里地区)
2014年9月26日 | カテゴリー:釣行記