駿河の海で、会いましょう。(7)
アカハタは十分なほど釣れてくれた。
インパクトのある個性的な造形美を誇る魚たちの存在はいつまでも強く残る。
こういった種族が多いロックフィッシュ、「根魚の釣り」は本当に大好きだ。
他にもカサゴやオニカサゴ、シイラまで釣れたこともうれしい。
楽しい時間はあっという間に過ぎていくもの。
菅原さんとの釣行は間もなく帰港の時を迎えていた。
磯の周囲には何度も何度もウミガメが顔を出し、時にはサメの背ビレがス~と走っている。
サメはアオザメだろうか、シュモクザメだろうか。
背ビレの感じからすると、それなりの大きさがある。
「嗚呼、最後の最後にテキサスリグにサメが喰ってしまったらどうしよう~…」などと余計な心配が脳裏をよぎる(笑)。
魚の多い海、生き物に溢れる海、静岡県伊豆半島。
黒潮の恩恵を多大に受ける海の生態系がここには広がっている。
「そろそろ港に戻る時間ですね。」
そうなのだ。本日は夜までに菅原さんも私も帰らなければならない。
東京からの帰りの道中も考えれば、私は更に遠路だ。
いよいよ船は最後のポイントへ入り直そうとしている時、船長の伸さんがシイラを発見した。
伸さん:「あ、またシイラがいますね。」
私:「うわぁ!ホントだ!あれ、デカイですよね。」
菅原さん「ちょっと投げてみていい?」
菅原さんが船に積み込んでいたシイラタックルに持ち替え、大型ペンシルベイトを沖に向かってキャスト!
大先輩に“狼”のごとく狩猟のスイッチが入ってしまったようだ。
そして数投目。私の目視では3尾いたシイラのうち、一番大きなシイラがトップに激しく躍り出た!
デカイっ!!
けたたましく唸るドラグ。
大ジャンプを繰り返す“万力”のようなパワーは、誰がどう見ても明らかにメーターオーバー。
船を一周してスムーズに対処する菅原さん。
まさに紳士が嗜む、大人のスポーツフィッシングに私は見えていた。
スピードでパワーで釣り人の引き上げに応戦するシイラの美しいこと、美しいこと。
菅原さんがキャッチしたシイラは1メーター6センチのオス。
ラストフィッシュはアカハタならぬ、大物シイラで締め。
「さすが」の一言に尽きる。
横でその一部始終を見ていた私もひどく興奮していた。
この海では根魚よりもシイラの方が身近な魚なのだろうか…!?とさえ錯覚してしまう。
1メートルを超える温帯性の外洋回遊魚がこんな岸近くを泳いでいるなんて!
その相手こそ、あのシイラなのだ!!
東北や北海道でも黒潮の分流の当たる沖合いまで出れば話は別だが、これほどの岸近くで大きなシイラがごく普通に釣れる光景というのは今回初めて見て来た。
北国では、ちょっとお目にかかれない光景です。
帰り道―。
申しわけなくも菅原さんに東京駅まで送っていただいた。
昼食までご馳走になったあげく車内での話も盛り上がり、話尽きず、終わらずの間にとうとう駅についてしまった感じだったが、新幹線の時間が迫っている私はいつものごとく重たいスーツケースをガラガラと引きながら足早に帰路についた。
皆さんもテレビをつければ、CM等で菅原さんの声が日頃から聞こえてくることであろう。
そして、上(↑)の写真は釣り人の皆さんが知っての通り、菅原さんの仕事場の一つである東京・西新宿はBS釣りビジョン内のスタジオ。
そう、このスタジオの中に生放送番組「五畳半の狼」のセットはある。
こちらの写真は以前、私がお呼びたて頂いた際のセット(2回目の出演時)だ。
芸能界の第一線でご活躍され、多忙なスケジュールにも関わらず津々浦々、多彩な釣行をされている菅原正志さん。
私にとっても尊敬してやまない釣り業界の大先輩であり、その経験にはご一緒させていただく度に私自身大変勉強させていただくことが多いのだが、釣り人としての一面のみならず、人生の先輩としても教わることは実に多い。
ご本人を前にして口にするのも少々照れるものがあるが、一人の男として言うなれば、こういう歳の重ね方をしていければ素敵だなと思えるのが菅原さんの魅力。
また“Boss”とご一緒できる日を楽しみにしつつ、次のフィールドへと私は歩みを進めた。
菅原さん、どうもありがとうございました。
偉大なる大先輩に感謝―。
それから、ロックフィッシュゲームに多大な理解を示して下さっている静岡県西伊豆は安良里港「ふじなみ丸」若船長の伸さん、そして「サクマジグ」の佐久間さんはじめエキスパート揃いの大漁企画の皆様方のお心遣いにも感謝、感謝です。
ありがとうございました!
またよろしくお願いします!
★静岡県伊豆半島ボートロック船宿(安良里地区)
2014年9月27日 | カテゴリー:釣行記