ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

ようこそ!九州へ!

次の仕事前に、ほっと一息。

ほっと一息

昨夜は、来月発売の釣り雑誌のインタビュー取材への対応も。

依頼主のライターさんが実になつかしい方で、久々にお話しうれしくなりました。

10年前、私がまだ大学生でこの業界では駆け出しの頃から一緒にお仕事させていただいたこともありましたね~。 昨日は、ありがとうございました。

 

さて!

今日の話題です。

間もなく、26日(月)に発売になるムック本「ロックフィッシュ地獄11」(つり人社)では、先にお伝えしているように私のロケは九州で行われました。

「九州かぁ…。東北からだと遠いだろうなぁ~。」と思っていましたが、案の定、そこそこ遠かったです(笑)。

遠路の旅。

といっても日頃から旅慣れしているので、むしろ移動時間の長さも自分の中では楽しんでいます。

移動の途中、深夜の駅周辺。

①

午前0時。

人の気配もまばらな時間帯です。

眠い目をこすりつつ、重たいトランクケース(特にシンカーとワーム類が…)をガラガラ引きながら今日もまた目的地に向かいます。

 

遠路のため、この日は移動に費やす日。

夕方、無事に福岡県入りできたのでちょっとだけ自由時間。

となれば! 機会があったら、一度行ってみたいと思っていたお店へ。

お店に電話してお伺いしたい旨を伝えたら、快く、道案内して下さり。

お恥ずかしながら昔からの方向音痴なもので、ちゃんと道順を教えていただいているのに…それでも道を間違ってしまったものの(笑)、たどり着けば、なんと!

思った通りのステキなお店でした!

②

「カスケット」さん。

アパレルのセレクトショップばりに洗練された店内。

トラウト好きなら知っている、九州にある有名な釣具店です。

③

なかでも、支笏湖に代表されるレイクジギング釣法で知られる、ジャックガウディーが人気ですよね!

④

「鱒(マス)」の漢字一文字がいいですね!

 

本日は、翌日から始まるロケを前にプライベートでおじゃましてしまいましたぁ~。

 

「いやぁ~わざわざ東北からようこそいらしてくださいました!」と手島社長さんと長々とお話しつつも、イトウ話やサクラマス話がついぞ盛り上がって、なんと2時間近くも滞在してしまいました(スミマセン!)

 

気温35℃。

暑くて…暑くて…日頃の疲れもそうさせたのか…まいりそうな顔して来店したせいか、「暑かったでしょう。」と社長さん自ら冷たいジュースを運んで来てくださり、遠慮なくごちそうになってしまいました(ありがとうございます!)。

「うちのお客さんでも北海道から九州に釣りに来ると、急激な気温差で熱中症になったり、バテたりする人もいるから気をつけてくださいね。」と、遠路、東北からやってきた小生の事も気遣ってくれたのもうれしかったです。

こんなにくつろいでしまってますが、明日からロックフィッシュのロケなんですけどね(笑)。

 

プライベート釣行ではルアーも制限なく使うので、ジャックガウディーは春の北上川でサクラマスを狙うのに投げたり、苫小牧ボートロックでアイナメ狙いで沖堤の際をフラッシングを強調してフォールの釣り方で攻めるのに、かつてより私も隠し玉として必要に応じて投入していたりしています。

え?なぜにアイナメ狙いでジャックガウディーを!?ですか。

それはこのメタルジグがちょっと特殊で、比重の軽い「亜鉛」で出来ているから、鉛製やタングステン製のメタルジグよりも滞空時間(浮遊時間)が遥かに長く、フォールの間合いをゆっくり稼げるに由来します。

使う条件や状況は「ここぞ」というタイミングがしっかりあるルアーなのですが、実際に使ってみると、相性いいんですよね。

なかでもアイナメとハタはメタルジグに対する反応もいい魚です。ソイの中ではクロソイとマゾイも反応いいです。

ここでちょっと考えてみると、ハードルアーで釣れない魚でもワームなら釣れることがあるように、ワームに反応がイマイチな時は逆にハードルアーになら喰わせるキッカケを作れることもあるんですよ。

意外に思われるかもしれませんが、ロックフィッシュゲームも手駒の数は増やしていた方が攻略の糸口は広がるものです。

そんな一例であるこちらのジャックガウディーの場合、沖堤の際にカタクチイワシが接岸していてそれを実際にアイナメが捕食している時には効果が見込めるから奥の手として、いつも携行して(裏ワザ的にボックスに忍ばせて)いました。

カタクチイワシの色に合わせて、カラーはシルバーが好きで使っていましたねぇ。

(ちなみ亜鉛は錆びやすいので、海での使用後はできるだけはやめに真水で塩を洗い流しておくと光沢を長く維持出来ます。)

ご参考までに。

 

海の釣りではないですが、近々またジャックガウディーを投げる機会に恵まれそうなので、釣れる・釣れないは別として、フィールドでの時間を満喫することも今から楽しみです。

こういった個性的なタイプのルアーって、釣果以前に「そのルアーを操っている感」が楽しめるのもまた味わいなんですよね。

そういう世界観での釣りもまた好きです。

 

時は文月。この時は不肖33歳の誕生日目前だったため、誰もくれないプレゼント(いつものことですが)に代わって、カスケットさんで自分用プレゼントを購入。

⑤

ちょっとしたアクセサリーですが、職人の手が込んだ一点ものです。

イトウにするか、サクラマスにするか、最後まで悩みましたが子供の頃からの特別な強い想い入れが現在のキッカケにもなっている魚につき、「イトウ」を選びました。

鱒(マス)の中では「イトウ」。

根魚の中では「ウサギアイナメ」。

どちらも、そう簡単に釣れるような魚ではありません。

むしろ、出会うことなく釣り人生をまっとうする釣り人の方が世の中では総体的に多いに違いありません。

生息地も限定されているうえに個体数も決して多くはない魚。

希少な魚を追い求める、ってそんなリスクさえも抱えることになります。

以前にも綴った記憶がありますが、これら2魚種は昔からの私の二大・夢のターゲットでしたのでその想い入れは今でも格別です。

イトウ

イトウは小学生の頃から。

 

ウサギアイナメ

ウサギアイナメは高校生の頃から。

 

国内に生息する「日本の魚」としては、自分のなかでは最上級の憧れを抱き続けて大人になったわけです。

20代前半だった10年前に自力で初めて釣った紫色のアイナメに歓喜し、20代後半には雨の湿原でただ一人釣りをしていた時にメーターオーバーの巨大イトウを掛けて壮絶な闘いを繰り広げてこの手に抱いた瞬間、感極まって目元が汗で濡れてしまったあの時のことなど、その記憶は今も宝物です。

20代で国内で釣りたい魚の夢は2つ叶えてきたから、仮にこの先、これ以上のことはなくても私は別にいいんです。

そういった感動を今度は私ではなく、釣り好きな皆さんに一人でも多く味わってもらいたく、応援する側で関われればとプロズワンなるものを必死にやっています。

20代までの釣りは自分主体の釣り、つまりは自己満足の追及的な釣りをしていたことがどちらかというと多かったです。選んでしまった道なりに対しても精神的にも余裕なかったし(あ、それは今でも…笑)、若さゆえに尖がった部分が表にも出ているのを自分でも知っていた。

まぁ、年齢が年齢だから、それはそれでいいとは思うんですけどね。

だからこそ、迫る30代を目前に、次のステージ(つまり現在の30代)では魚との接し方も変えて、また新しい関係で「人」と「魚」と「釣りにまつわる道具」にもクリエイティブに携わりたいと思っていたから、これから変わっていくために「自分よがりな釣りでの思い残しがないように」と長年の願いは20代のうちに叶えてしまいたかったんです。

あとは4年半前の東日本大震災も、ですね。

あの大災害が自分の身にも降りかかって、これ以上にないほどの苦しみを味わった。

たくさんの人が亡くなって毎日生きる辛さを本当の意味で経験してきたからこそ、人生観さえも大きく変わった。

自分はそんなに強い人間ではないので、やり残したことがない、というすっきりした気持ちでないと、次のステップには進めなかったんです。

だから、自分の気持ちやスタンスにきちんとした境界線を引けたのも、この魚たちのおかげ。

ただ釣るのも魚釣りですが、人生観さえ変わるほどの一匹と出会うのもまた魚釣りなのです。

過去、私はそんな釣り体験をしてきたわけですが、イトウが棲んでいる静寂に包まれた川やウサギアイナメが住まうコンブの海などの情景が浮かぶと、とても幸せな思い出に今も浸れます。

もし貴方もそんな釣りに巡り会えたなら、それはすごく素敵なこと。

余談ながら、ブルーオリオンっていう、“ただ巻き”用ハンドメイドジグをプロズワンで扱っているのもこういった願いからです。

あこがれの魚と出会えることでみんなに笑顔の輪が広がりますように、という“心”、気持ちで一品ずつ手作りして送り出しています。

 

 

さてさて、そんなイトウのアクセサリーですが、こちらは別にタックルではないので、なくても釣りに支障はないわけですが、あくまでも気持ち的な面で。

あの頃の気持ちを忘れるな。

そして、大切に。

と、いう自身への戒めと願いを込めて、です。

⑥

なので、来年はトラウト釣りに行くときにはベストにこのイトウのアクセサリーをつけて釣りしたいなぁ…なんて今から楽しみに考えたりしています。

 

以上、今日は余談話ですが、近日発売される根魚専門誌「ロックフィッシュ地獄11」のロケの前にはこんなひと時もあったことを、九州の思い出として綴りたかったのです。

 

個人的なお話でお粗末様でした!

 

追伸:カスケットさん、その節はどうもありがとうございました。