鱒旅(ますたび)。~緑と青のトラウト情景~【11】
川の宝石・オショロコマ。
釣れてくれて、ありがとう!
またいつかどこかで遇えたらうれしい限りです。
そして、私たちは釣り場を後にしたー。
ここで釣りたい。
この土地の釣りを深く理解しつつ学びたい。
己の夢、願い叶えたい魚はここに2種類いる。
並々ならぬ決心を持って、10年通い続けている北の大地。
初めて訪れたあの日の感動は今も尚、冷めいるものではない。
むしろ、今はもっと「愛着」がある。
それは、辿ること自分のルーツしかり、幼き頃からの夢を抱き続けた土地だから。
永遠にとさえ思える、まっすぐな果てしなき道はきっとこれからも。
そうであったら…うれしいなぁ、やっぱり。
一年一年、年齢を重ねても、あの日の想いは変わらずにー。
総括編に入る今回と次回は、私が見ている景色をぜひ皆さんにも知っていただければと思い、以下、旅のスナップショットを載せていきます。
行ったことのない方はこれを機に“行った気分”に。
行ったことのある方はその思い出を“振り返ってみて”くださいね。
網走市サロマ湖畔から眺める夕日。
タイミング良く、サロマ湖の湖畔を通った時の情景。
あまりの美しさに思わず、車を止め、写真を撮りつつしばし見入ってしまった。
オホーツク海に沈みゆく太陽を見送る。
日本海とも、太平洋とも、東シナ海ともまた趣(おもむき)の異なる北の澄んだ空気が洗練された空間を作り出す躍動の時間。
ここに行かなければ、絶対に観られない光景。
だから、行く。
ただ、それだけのこと。
ノーザンライツ社フィールドテスターを務めるトラウト名人・佐藤さん宅にお招きいただいてのジンギスカンパーティー(BBQ)。
その心遣いは何よりうれしく、ありがたかったです。
それに、北海道で食するジンギスカンはやっぱり別格!
美味い!
陽が落ちる頃、庭の上をタンチョウ(タンチョウズル)がバサバサと飛んでいき、ちょっと驚き(笑)。
人家の上空を天然記念物が飛んでいくのですから、スケールが違います。
広い庭、大木からはエゾエスがちょろちょろと降りてきて、かわいらしいしぐさを。
このままいたら…森の賢者・シマフクロウにも会えるのだろうかー。
続く、花火大会も盛り上がり。
いいですね、こういった夏の光景が自分は好きです。
北陸や東北もそうですが、北海道はそれ以上に夏が本当に短いから、だからこそ限られた夏を謳歌しようと全力で楽しむスタンスが私は物凄く好きです。
夏に対する“ありがたみ”がとても強い地域なんです。
別海町では春日さんのご友人が切り盛りする和食屋さんでもお世話になりました。
名物・ホッケの開き。
私の大好物「羅臼の真ボッケ」です。
夏に漁獲期を迎えるハナサキガニ(花咲ガニ)。
もちろん、名産地・根室産です。
小生・大のカニ好きにつき、これは特にうれしい逸品!
カニを食べだすとしばし無言になります(笑)。
言うまでもなく、そのお味も絶品でございました!
この他に、タコざんぎ(ミズダコをから揚げ状にしたもの)もとても美味しかったです。
“ざんぎ”文化はご周知の通り、道東・釧路がルーツですからね、やっぱり本場だけに美味いんです。
ノーザンライツ社さんでごちそうになったホッカイシマエビ。
ゴージャスな差し入れ…申しわけなくなってきますが、せっかくのご厚意に甘えてしまい…しっかりと&がっつりと頂いてしました(笑)。
道東ならではの味覚ですし、漁期も決まっているから、東北に帰ればまず食べられるような代物ではありません。どうもごちそう様でした!
春日さんに「これ!うまいから食べてみて!」と頂いた、ホタテの貝柱。
確かに。猿払産のホタテは「間違いない」です。
これまで私が食したホタテのうち、歴代もっとも美味しいホタテに出会ったのもかつて猿払村の宿で夕飯に出された刺身でした。
ホタテは北の海に生息する貝の仲間であることは皆さんご存知の通り。
東北や北海道では養殖も盛んです。
自身、東北の三陸出身なだけにホタテは日頃より珍しいものではないですし、食する機会も普段より多く育ってきましたが、初めて猿払産のホタテの刺身を食べたときに、これだけは違う!、規格外の美味しさだと思いました。ここまで美味しいホタテがあったとは……と衝撃を受けました。
こちらは手軽に口に運べる加工食品ですが、その時の感動を思い出す、ものでした。
な~んて、もぐもぐしていたら、またまたタンチョウと遭遇。
言わずもがな、手厚い保護を受ける国の特別天然記念物です。
ですが、道路脇の原っぱに普通にいました。
結構、至近距離なんですが、野生動物としかるべく間合いをキープしつつ、鳥が嫌がらない範囲までそっと近づいて撮影&観察。
そんなタンチョウや湿原の王者にして日本産淡水魚最大のイトウも生息する、かの有名な釧路川を通過します。
大型のアメマスもそうですが、この川にはイトウもいるんです。
写真のあたりはまだまだ最下流寄りなので開けていますが、湿原内は人の浸入を許さないと湿地帯と密林で自然防衛されています。
だからこそ、希少な野生動植物が今もここでは息づいている。
大なり小なり「イトウ」という魚に憧れを感じる方であれば、今はまだ願い叶わなくても…いつの日かイトウが住まうどこかの水域を目指す時がやって来るのではないでしょうか。
誰もが簡単に出会えるような存在ではないからこそ、その存在は“特別”であり、自分の中で日増しにその存在が大きくなっていく。
そして、夢叶っていざ出会えた時などはその満足の度合いにも深みを増していく。
そういった「憧れの気持ち」や「願う気持ち」はどうか大切にしていってほしいです。
魚に対しても、釣りに対しても謙虚になれますから。
時間を気にせずに手軽な釣りもとても面白い反面、「手軽ではない釣り」や「難しい釣り」にも深い面白みがあることを今の若い釣り人達には知ってほしいとも思うのです。
そんな釣りさえも、しっかりと理解できたならば仮に貴方がまだ若い釣り人であるならば、年齢を重ねていった将来、世間の模範となれるような広い心を持った釣り人になっていくはず。
釣り技術以上に大切な“志”の部分です。
もしも、イトウを釣りたい!釣ってみたい!仮に自分には釣れなくてもイトウの生息地に行ってみたい!
そんな気持ちが芽生えたら…
いずれ訪れる…そんな日のために、「特別な存在」として世に認知されるこの魚への接し方も今から少しずつ学んでいってほしいのです。
2015年11月28日 | カテゴリー:釣行記