ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

15年後の春の“泥んこ大格闘”。

小学校高学年の頃から自発的に始めたサクラマス釣り。

通えども通えども釣れず、ようやく手に出来たのは18歳。

高校を卒業した春休みのことだった―。

初めてのサクラマス。

ヒットルアーはバスデイ社のシュガーミノー95SP(今は惜しくも絶版)。

色は得意の「金黒オレンジベリー」カラーだった。

糸はナイロン8lb直結に、ランディングネットは自転車で背負ってきた磯ダモで。

私の記憶が正しければ、あれは確か15年前の3月14日のこと。

 

 

15年後の今日、2016年度の3月14日。

昨日、手にしたサクラマスの余韻がまだ頭の中に残る。

型は異なれど、15年前に初サクラマスを獲ったのと同じメーカーのミノーだった。

A

62センチ、3キロオーバーの厚みある魚体。

「ドンッ!!」と、巻いていたリールのハンドルを止められた衝撃と次に弾丸のように走り出したファイトに内心、少しだけドキドキしたというのはまだヒ・ミ・ツにしておこう。

B

〝己の眼”である、偏光グラスはその挙動をずっと視覚で追い続けていた。

 

初めてサクラマスを釣りあげてから、あれから15年もの歳月が経っているのに今でも“たった1尾の魚”に出会いたくて、毎年冷たい春の川や北の海に挑み、真剣にこの魚を追っている自分がいることが、ちょっぴりおかしくてー。

なんだか、ふと笑いそうになってしまう。

 

 

あれから15年後のサクラマスー。

C

現33歳の自分が、1尾のサクラマスと相変わらずに“泥んこの大格闘”に躍起となり、その生命の呼応に全力で応戦する。

私たちが知らない山、川、海の景色を見てきた偉大なる旅人に失礼がないように、それが自分なりの誠意。

 

あの時ー。

雄大な山脈は、きっとそれを見ていたはずだ。

C

今年も少し早い春の季節が、心の中に訪れた。

サクラマス。

その1尾の出会いに、感謝。