RIVER-WALK~川歩きが楽しくなる本~
川の上流で、釣りザオとリールと釣り糸を駆使して人が放った異物(疑似餌=ルアー)が生命感を帯びたときガブッ!!と喰らいつくイワナのダイナミズム。
その躍動はまさに、一瞬だけ交錯するサカナとヒトの奇跡の出会い。
非日常な現実がそこにある。
(これだから、魚釣りは止められない……。)
トラウトファン、川釣りファン待望の書、川本、「RIVER-WALK」(株式会社リバーウォーク)が21日(水)に新しく創刊されました。
森の主・熊が木彫り化されたマスコットがこの本の目印。
秋の夜長の読み物にぴったりといいますか、むむむっ!
内容が濃くて、パラパラと急いでページをめくるには実にもったいない本。
個人的なツボは裏表紙にも。
流れの中で身体をくねらすイワナの表情がとてもいい!
イワナってヤマメ以上に個々の顔の表情が豊かな魚なので観察していると面白いものですよ。
「流れのなかで待ってます」の、ふきだしには個人的にやられましたね(笑)。
こういう、ちょっとした演出・遊び心を本の作者は“釣り人のツボ”をお分かりになっているんですよね~。
さてさて!
山と海を結ぶ、川という環境で生活するサケ科魚類の魅力。
その心は実に奥ゆかしく、時にダイナミックで、ある時はその出会いすら希少だったりもします。
源流・上流・中流・下流・湖沼・海。
そこに生きるサケ科の魚達に、さぁ! 想いを馳せてみましょう。
例えば、イワナ。
仮に、手のひらの乗るような小魚であってもそこに秘められた色彩美は見る者を圧倒する太古のロマンとメッセージが見え隠れ。
(※凄くないですか? どんなに昔から世代を繋いできたのでしょう!)
例えば、サクラマス。
潮流と共に押し寄せる弾丸と化した大きなマスもまたその存在、人知の及ばぬ世界ゆえに人はまた大きな憧れを抱く。
(※なかなか釣れないもどかしさ。でも、これがまた釣れた時に何倍もの喜びになって返ってくるから全然OK!)
数年の取材を続けて今年9月の創刊に至ったというこの一冊、それはもうページ毎に宿る、夢や憧れの情景が広がる小宇宙。
本の作りが、雅なんです。
目に見たワンシーンをそのまま切り抜いたビジュアルが凄い。
見ごたえあります。
奥付にも制作に携わった人物が書かれているのですが、カメラマンさんやライターさん、研究者の方々までその分野の第一線で活躍されている凄い方々なので話の切り口、切り出し方(導入)や展開、視点にも圧倒されました。
それから、山に分け入る以上は、川に立ち込む以上は、時に危険との遭遇も考えられるわけですが、そういった自己防衛意識術は勿論のこと、川辺ならではの楽しみ方の提案にもきちんと触れられていて、いろいろな視点から「川と魚」を楽しめるようになっています。
まさに、“魚好きな釣り愛好家”にはたまらない一冊。
ロックフィッシュとも多くの共通項があるトラウトの世界。
魚が持つ美しさという点においても両ジャンル共に注視したいところです。
読書が楽しい秋の夜長、本州では間もなく閉幕迫る渓流釣り。
今シーズンの余韻にしたりつつ、その情景を思い浮かべながら楽しんでいただきたい川本です。
余談ながら、小生筆のサクラマス物語「Green&Blue 森と海をつなぐサクラマス」もご一読いただけたらうれしいです。
春に川を遡上したサクラマス達もそろそろ命の最終章へ向かおうとしている秋にこそ、ぜひ知ってほしいストーリーです。
【RIVER-WALK Vol.1のご購入方法についてのお知らせ】
http://river-walk.co.jp/?page_id=1165(←こちらでご確認いただけます!)
RIVER-WALK Vol.1 DATA
配本開始日:9月20日(発売日:9月21日)/版形:A4変形判(280×220mm)/頁数:98頁/価格:1,700円+税/販売:全国の書店・釣具店・ネット書店
2016年9月26日 | カテゴリー:雑誌掲載・DVD