夢釣行アラスカロック!「グリーンリング」~アイナメをちょっと科学してみる~
根魚の釣りが好きな人なら知っている人気ターゲット。
ご存知、アイナメ!
日本に生息するアイナメは英名では、ファットグリーンリングです。
(2012年6月放送、BS日テレ夢釣行より)
こちらのアイナメは日本はもとより朝鮮半島にも生息していて、つまりアジア圏にいる種類のアイナメがこの「アイナメ」です。
例えば、韓国に行くと海鮮料理を扱うお店の水槽で日本と同じ種類のアイナメやソイが一緒に入っているのを見かけます。
食材として…。
個々の種類別ではなく、アイナメ科のことを指す英語は「グリーンリング」です。
ちなみに日本国内では釣りシーンにおいて、アイナメのこともロックフィッシュと呼称していますが、これは日本での“あて名”(和製英語)であり、正式にはロックフィッシュという英語はソイ(一部メバルやメヌケも含む)を指しますので海外では別の意味になってしまう言葉です。
英語圏に行って、自分はアイナメのことを聞きたいのにロックフィッシュ!と相手に伝えても認識のズレで語弊を招くため、外国人とのコミュニケーションの際には十分に気をつけなくてはなりません。
今週末から放送になるBS日テレ「夢釣行」に登場するのは、日本や朝鮮半島に生息するお馴染みのアイナメとは異なる「海外種」。
本格的な外国産アイナメです。
2014年カリフォルニアロックのロケの行き帰り、米国ロサンゼルスへの乗り継ぎでカナダを経由したのですが、帰路で乗り継ぎしたバンクーバー国際空港には近海に生息する魚たちの水槽が展示されていて、このことは過去にこの綴りでもご紹介しています。
●http://www.pros-one.com/blog/?m=20140330(2014年3月30日の綴り)
バンクーバーの空港にはこのような水槽があります。
当時綴った内容にも登場しているのが、ロックグリーンリングとケルプグリーンリングです。
初対面となった以前は水槽越しにカナダで出会ったものですが、今回はアラスカでリアルに出会えました。
こちらがロックグリーンリング(メス)。
ロックトランジットRTC-922EXH”ロングベイトキャスター92”(プロト)で釣りあげました。
ヒットリグはオフセットフック式ジグヘッドです。
ルアーはガルプSWパルスワーム4”(レッド)。
ロックグリーンリングという呼び名は英語圏では日本では北海道に生息しているウサギアイナメ種のことを呼称する場合がほとんどですが、どうみても日本のウサギアイナメと海外のウサギアイナメでは色と柄が違うのでこれは明らかに別種だと私は考えているのですが、海外ではアイナメの研究はソイの研究に比べ遅れていることもあってかまだそこまで明確化されていないようです。
(※その代わりにソイの研究は進んでいます。 水産学上も重要種であるため。)
でもアラスカ大学あたりでは、さすがに認識しているとは思うのですが…。
念のため、ウサギアイナメ(オス)の写真も掲載します。
(2013年7月放送、BS日テレ夢釣行より)
シューティンウェイSWC-722EXH“ブラインドサイト”で釣りあげています。
ヒットリグはジカリグです。
ルアーはガルプSWダブルウェーブ3”(CGBFO)。
再びロックグリーンリングの話題に戻りますが、釣るのは釣るので別な楽しみ(本能的な楽しみ)がありますが、個人的にはとってもツボなので(魚好きとして)、もっと自分なりにこのあたりの分類も研究していきたいです。
ただ釣欲を満たすために漠然と釣るんじゃなくて、魚の生態を解き明かすことが今後の共有情報となって世間の釣りに繋がっていくなんて、こういうところにとてもやりがいを自分は感じるのでまだ己の見地が及ばない領域にいる魚に挑戦をすることは、興奮でしびれます!
日本のウサギアイナメとも異なる海外のウサギアイナメ「ロックグリーンリング」。
アラスカ・コディアックのショアで見事ゲット!!
すんごい、うれしいです。
ずっと釣りたかったので感動しました。
釣り方的には通常のアイナメよりは難しいです。
ウサギアイナメ同様、身体に対し口が小さいのでアタリは小さく、鋭く、一瞬ものです。
その瞬間に掛けないと、逃げられます(笑)。
尚、ウサギアイナメはアイナメよりは深場を好みやすい種類ですが、ロックグリーンリングに関しては予想に反し、思いのほか水深の浅いところにいてビックリしました!
次はケルプグリーンリング(メス)です。
シューティンウェイSWS-702L”スイミントレーサー”で釣りあげています。
ヒットリグはジグヘッドです。
ルアーはガルプSWスイミングマレット6”(チャート)。※海外モデル
ケルプグリーンリングは、ロックグリーンリングよりも背びれの高さは低め。
ウサギアイナメ種に比べればこちらの方が“アイナメ寄り”の造形であるのがひと目で分かります。
一般的にアイナメの仲間って、身体が細くスマートです。
この点ではメバル・ソイ・メヌケといったフサカサゴ科の根魚やハタ科の根魚とはだいぶ異なります。
それでも日本のアイナメは諸外国産のアイナメからしたら、ファット(=太い。太っているの意味)グリーンリングと呼ばれるくらいなのですから、外国人からすると十分に太いと思える体型のアイナメなのでしょう。
確かに。アイナメも50cmとか、60cmとかになるとそれ相応に分厚いので、一瞬タラに見えるときがあります(笑)。
ケルプグリーンリングは日本のアイナメよりはもう少し細め(厚みが薄い感じ)。
ビジュアルはほとんどアイナメなので、シルエットでは特に目立った変わりはありません。
しかし、色と柄!
これは全然違います。
柄模様もキレイなのですが、注目すべきは色です、色!
写真はケルプグリーンリングのメス。
メスが黄色!?
そうなんです。
日本のアイナメは産卵期が近づくとオスが黄色やオレンジ色の婚姻色が出ますが、メスは基本、茶色のままです。
黄色は一種の警戒色でもあるので(例えば線路の遮断機や自然界ではスズメバチの色がその典型です。目に留まりやすい色という意味で。)、産卵床を守るオスゆえの外敵への威嚇的な警戒色なのだろうとずっと思ってきたのですが、ケルプグリーンリングの場合にはメスが黄色でオスが茶色と知られています。
つまり「アイナメ」とは真逆。
そうなると、この黄色味やオレンジ味を浴びるアイナメも婚姻色が警戒色である定説は自分の中ではちょっと成り立たないので、考え直す必要があるようです。
あとはそこに共生している生態系が日本と外国では違っている場合もあるため、その環境の違いの要素も考えられますが、いったいこれはどうなっているのか…とても興味深いですね。
ちなみにウサギアイナメの場合にも雌雄別々な体色ですが、これは産卵期だけに発色するのではなく、最初からオスとメスで別な色合いをしているのがウサギアイナメです。
ここでもう一度、ウサギアイナメを雌雄を写真で見てみましょう。
ウサギアイナメのオスがこちら。
続いて、ウサギアイナメのメス。
この写真を撮った時期は6月であり、産卵期ではありませんが雌雄で全く異なる体色です。
それはもうグッピー並みに、雄雌で明確に色が違います。
なのでケルプグリーンリングは姿形はアイナメだけれどもアイナメとは身体の色が雌雄別々でむしろその最初から色が違うという意味ではウサギアイナメの特徴も持っているアイナメの種類ということになります。もちろん、ケルプグリーンリングとウサギアイナメ(日本産)とはでは体色も異なりますが。
ちなみにケルプグリーンリングがアイナメに近い種だとすれば、アイナメも方がウサギアイナメよりも岸釣りでは釣りやすいのに、今回ショアで釣れたのはロックグリーンリングだけで、ケルプグリーンリングはボートで深場からキャッチしています。
ロックグリーンリングはゴツゴツの岩場の中に潜んでいましたが、ケルプグリーンリングはハリバット場で釣ったので完全なる砂地でした。
ハリバットはカレイなので、基本、砂地を好みます。
なので、釣りをしていても根がかりも一切なし!みたいな。
永遠と広大なフラットボトムが続く海底で釣りあげています。(エサを探しに砂地までクルージングしてきたのでしょうか。)
名前だけイメージすると「ケルプ(コンブ)グリーンリング(アイナメ)」なので、直訳してしまえば“コンブアイナメ”なのですが…(笑)。
このあたりも今後の研究課題です。
ちょっとした疑問点を羅列しただけでも、根魚話は尽きなくこれだけの話題量になってしまいます。
日本でもお馴染みの根魚ですが、海外にも目を向けると更なる未知の世界が広がってて物凄く面白いんです。
とっても、ディープな領域なのでこうなると、釣りの話だけでは追っかけきれない世界です。
本日はアイナメのお話でしたが、番組の前編が放送される前にソイのお話もしておければ…とも思っています。
こういう部分も意識してご覧いただくと、理解度も深まってテレビで放送されている内容がもっと面白くなると思うんです。
いずれにしてもロックグリーンリングも、ケルプグリーンリングも(編集でカットされていなければ 笑)今回の夢釣行に登場します!
ぜひ外国のアイナメをご覧になってみてください。
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2016年11月1日 | カテゴリー:雑誌掲載・DVD