ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

モンベルクラブ・フレンドフェアに。

過日、モンベルクラブ・フレンドフェアに行ってきました。

①

有名な日本のアウトドアメーカー・モンベル社主催のイベントです。

 

アウトドアメーカーって世界的に見れば数多いですが海外メーカーがそのほとんどなので、日本メーカーって実は珍しいんです。

②

モンベル社は大阪に拠点がある日本のアウトドア用品のメーカー。

昔からいろいろなアウトドアメーカーの好きな製品をそれぞれ愛用しているのですが、モンベルの場合には日本のメーカーということもあってサイズ設定やテイストが我々日本人好みなのがうれしいですね。

 

多趣味人につき、ときに釣り竿から山岳杖に持ち替えトレッキングも楽しんだりしています。

派手さや贅沢さはないけれど、山で頬張るおにぎりと即席ながらもその場でドリップした珈琲(コーヒー)の美味しさはまた独特の格別さです。

 

春の川辺で

ここからは余談に入っていくのでお時間の許す方はぜひこのままお進みいただくとしてー。

 

例えば、毎年楽しんでいるサクラマス釣りはじめ、静かで人の少ないフィールドが本当は自分の好みなのでそんなときはパーティー内でその場で淹れた珈琲なんかをまだ肌寒い季節に楽しんだりするのも好きなんですね。

そこでお湯を沸かすにも、ひと手間。

時代が進んだ利便性の賜物・いまどきのジェットボイルは言うまでもなく快適ですが、釣り場にわざわざカセットコンロにヤカンを持参するのもそんな時には乙なもので、そのような雰囲気までひっくるめて自分はこの釣りがとても好きなんです。

珈琲TIME

「今日も釣れないね~」なんて、いいながら。

ヤカンが沸騰した時の「ピーーーー」という音なんて、フィールドで聞くととても乙な世界観が広がりますよ。

気分の問題って、とても大事なんだぁってことがよく分かります。

こういうことにも話はつながるのですが、私にしましても、現在までのプロズワンというメーカーの歩み方にしても、双方揃って釣果至上主義じゃないから仮にその日釣れなくても魚釣りとして充実できたか(面白かったか)、出来なかったか(面白くなかったか)を是非とする、釣りの最上課題と位置づけています。

 

魚が入れ食い状態のごとく釣れても後になって全然その日のことを覚えていないようでは、ちょっと悲しい。

結局は何も残らなかったわけですから…。

だけど、アタリすらなくて結局は1尾たりとも魚が釣れなかった釣行でも「あの日、魚はさっぱり釣れてないんだけど、なんかさぁ!妙に面白かったんだよね~!」という良い思い出になっていれば後々まで記憶に残ったりするものですから、自分としては釣りの思い出もそういうのが「いいなぁ」と。

何年先でも、何十年先でも思い出せる釣行って素敵だよな、ってところなんです。

ですのでプロズワン社プロダクトでは意識して目指しているのはそんな釣りとの関わり方で、魚釣りにどこかアウトドアなテイストを混ぜた雰囲気の、トータル的な「魚釣り」が凄く楽しく感じているんです。

釣れない釣りの代名詞とも称されるサクラマス釣りも川歩きを伴うことで川時間(リバータイム、と呼んでいます。)を過ごすことができたり、ロックフィッシュゲームの中でもハードな部類に入る磯ロックという楽しみ方も山の中を長々と歩いて釣り場を探していくわけだから、結局のところキャストしている時間より山の中をさまよって歩いている時間の方が時に長くなってしまうこともあるわけですが、もしも釣果を得るだけのためにそれをやり続けていたのでは何故ここまでしてしなければならないんだ!?って精神的にとても辛いものになってしまうけど、楽しい釣りの1日中に釣果も部分的に含まれると考えれば山歩きの過程も精神的には苦しくないし、そういうのもひっくるめてトラウトやロックフィッシュの釣り、世界観って本当に楽しいなぁ、と。

日本は魚釣りをする環境にとても恵まれている国なので、狭い視界だけで世の中を捉えれば普段意識しない人の方が多いと思うのですが、世間的には立ち入り禁止区域でなければどこかそのあたりの適当な海ですぐに釣り糸を垂らしてもOKなわけですが、これが世界の釣り・外国ではそうはいきません。

釣りをするためにスポーツフィッシングライセンスを取得して、釣りをして良い場所とダメな場所を把握することからまずは始まります。

そして、釣れた魚でも釣って良い種類と持ち帰れる魚の大きさと種類が細かく決まっているので厳守しなくては捕まってしまいます。後々、裁判沙汰になるからとても怖いことなんですね。

そんな規則の中で「どれほどの釣果をあげられるか?」がスポーツとしての醍醐味であり、フィッシングルールなんです。

日本の釣りでは遊魚券が発生しているのは渓流釣りとアユ釣り、漁協が管理している淡水の一定フィールドでしか規則は敷かれていませんし、海釣りに関しては、船宿個人が独自のルールを提唱している場合や漁協の稚魚放流と資源保護の観点からこの魚の全長●●センチ以下は再放流につとめましょう、の提示や協力要請があるくらいで、釣って良い魚の決まりや持ち帰れる大きさ・匹数に国が直接関与する法律まで細かく設定まではされていないため、現状ほぼ無法状態(個人のモラルに委ねられる)なので、狭いスポットでの釣られ過ぎの影響も少なくはないから年々魚も釣りにくくはなってきたと思います。

一人あたりの取り分が減っても職業漁師でない限り、人生に利害が出るわけではないのでそうなると課題は「楽しみ方をどう見出すか?」がより大切になってきます。

仮に釣れる魚の数が減っても代わりに1尾あたりの価値をあげていけば魚釣りはこれまでの満足レベルまで達せられる趣味が魚釣り(あくまでも漁獲ではない)だと自分は信じて、そのために何かできるだろうか?とこれまで考えながら精進してきました。

年間総釣果そのものが減ってきている分は他のところで満足度をあげていくためにも、釣具にはこだわりを強くしたいという思いも根っこにあるから、自身が携わる製品群も“人の手に行き渡ってからの性能まで含まれたクォリティー”をいつでも目指して、日々研究開発しています。

だけど、そもそも野生の魚と出会うって、実際のところ「本当は難しいこと」ですよね。

その出会うべくして出会いたい憧れの1匹にどうやって迫るか?というところに、こだわりを持った釣具の必要性を多々感じ続けてきました。

なので自分が魚の写真をきれいに撮影することにも気を遣っているのも、その出会いを思い出にしかと刻むために、という一心からで、結果的に魚の色彩美とか造形美とか、その希少性だとかの「魚の魅力」が一人でも多くの人に伝わることができたらうれしいなぁと思うから実践していることであり、釣れた証明写真は別にいらないけれど、写真を見返したときにハッとするような美しい写真であるならば美術的価値もあるわけなのでいつまでも手元に置いておきたいな、これだったら引き伸ばして部屋に飾ってみたい写真だなぁ~なんてことまでいつも思っているんです!

魚愛って言ったらまぁ恥ずかしいですが、そういう優しい眼差しを持ってモデルを務めてくれる被写体にカメラを向けています。

魚が見せてくれる一瞬の表情までカメラに収めたい、という想いです。

よって、プロズワンのロッド達もこの竿で釣りあげたそんな美しい魚達の色彩美の引き立て役となるような言わば“額縁”になれたらうれしいな、という気持ちで竿に施す配色・デザイン性に至るまで機能+造形美にもこだわり続けて開発しています。

なので商品(あきないをするための品)という言葉ではなく、その部分は私は製品という言葉によく置き換えるのですが「製品」つまりのところ、メーカーや作業する職人にとっては“作品”そのものなんですね。

プロズワンプロダクトに携わる私たちは形や色、雰囲気までもを扱っている、という意識を強く持っています。

そういう感覚を持っていれば、物を大事に使う心がより研ぎ澄まされ、釣りのために費やしたその時間まで含めた「釣りに対峙するひととき」を大切に感じられる人になってくれる気がするんです。

 

魚の種類はなんでもいいから、釣って、釣って、釣りまくりたい!

釣りに行くからにはいつも爆釣したい!! 気持ちが旺盛な釣り歴の浅い方や年齢的に若い人にはまだ理解しがたい部分かもしれませんが、それはまだ釣り経験が浅いor年齢が若いからであり、いずれは時間が解決することです。

一見ムダに思える(かもしれない)そんなフィールドでの“珈琲タイム”でも、そんな貴方もいつの日か自身の釣りへの視線の変化が分かる日は来るかもしれませんー。

 

30代に入ると余計そうなのですが、量より質にこだわりたくなります。

そばに置きたい釣り道具もその通りです。

“使えるモノ”から【使いたいモノ】に気持ちの向きが変わってくる。

それが趣味。まさに、趣(おもむき)の味(あじ)。

釣りそのものよりも、“釣りの雰囲気”が凄く気に入るようになってくるんですね。

人生の道を楽しむ、“道楽”という言葉もこんなところにリンクするのでしょうかー。

 

 

トレッキング、ハイキングは山分野のアウトドアですが、私がふと山に出向いたりするのも普段、海に行く機会が多いから日常からの開放という意味でも時には海のない景色が妙に心地よかったりもするんです。

このあたりは精神衛生上、加齢と共に自分の頭の中で自然に見いだせたもので、これについては社会人としてON/OFFのバランスの取り方が重要だと思っています。

 

 

本日紹介しているイベントを開催しているモンベルというアウトドアメーカーさんは全国にお店を展開されていることでも知られていますが、都会にありながら山間に浸れるモンベルショップに行くのもときどきの楽しみで、仙台や恵比寿の店舗が特に好きです。

一番は店の雰囲気が好きだから、です。

 

さて!

モンベルクラブ・フレンドフェアですが、この日は休日ではあるものの、このところ原稿執筆をしながら「復活のS様」とか「DPC」とか様々なプロジェクトが同時進行しているため業務内容がかなりタイトで残念ながら少しの時間しか滞在できなかったのですが、時間が足りないほど面白かったです。

③

サップもありました。

日本でもこのところ流行の兆しですね。

こちらのサップは「ブラックフット アングラーI SUP」という製品です。

サップフィッシングは3年前にカリフォルニアの海に行ったときも現地で大流行していました。

 

こちらのイベント、4月に開催されました2017ルアーフェスタin仙台の会場と同じなのですが、アウトドアメーカーのイベントということで私がいた時間帯は見ている限り、30代~60代くらいまでのお客様層とファミリー層が多く、落ち着いた会場の全体の雰囲気もとても居心地良かったです。

 

見習いたいものです。

 

それはそうと、近年の山シーン・トレッキングでは60代や70代のご夫婦も多いですね。

お仕事の定年を機に夫婦で共通の趣味を見つけたく、「山登りを始めた!」って方が多いようなんです。

確かにー。場所にもよるのでしょうが、少なくとも自分より若い人と山でお会いしたことは実はこれまでにありません(笑)。

 

 

会場では、アウトレットコーナーも品数が凄くて旧製品や店頭展示品につき割引などのお値打ちアイテムがたくさん!

自分もアウトレットコーナーでも買い物を楽しみました。

④

あ、そうそう!

ガラガラの抽選で、モンベルの小銭入れが当たりました。

ラッキー♪

 

 

翌朝は朝4時起床で始発の新幹線に間に合わせて出張に。

24時間営業の飲食チェーン店のありがたみがつくづく身に染みる早い朝食をいただき、新幹線乗車。

朝8時ちょい過ぎには東京着、入荷してきたロッド(ロックトランジット)の検品を関東倉庫までしに行きました。

工場でも検品、倉庫でも再度検品、出荷時も再々度検品と、プロズワン社では検品作業は3重にも重ねておこないます。

気力も体力も使うのでけっこうな労力を伴いますが、自分が頑張れる限りはシューティンウェイからロックトランジットまで続くプロズワンでのポリシーといいますか品質の維持・安定のため、念には念を入れてこちらでも1本ずつ全て手作業でこなしていきます。

こだわるなら徹底してそこまでこだわりたく、工場では加重テストもおこない、時には気が遠くもなりますが全ロッドを1本ずつ厳しくチェックしているんです。

皆様のお手元にあるプロズワンのいずれかのロッドも、その全工程をパスした製品です。

周りから見れば心配性過ぎるメーカーなわけですが、趣味の道具=こだわりの逸品を扱う工房メーカーの竿はそれぐらいでちょうどいいと私は思っています(笑)。

 

忙しい毎日を過ごすための、ちょっとした心の休日となったフレンドフェア。

またの機会に、このようなアウトドアメーカーイベントにも行ってみたいですね。

いろいろ勉強になりました!

 

 

 

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