「考えるロックフィッシュゲーム」最新作は、オオモンハタを掘り下げます。
北陸や東北でも梅雨明け宣言がなされたようですね。
今年の北国は8月まで梅雨明けがずれ込んでしまいました。
さて!
雑誌「ソルトウォーター」で連載を担当させていただいている「考えるロックフィッシュゲーム(考えるRFG)」のロケに行ってきました。
この考えるロックフィッシュゲーム企画ページの中から「ロングスピン」という言葉が生まれ、そして今や人気となった岸からのアカハタ釣りをいち早く模索・輩出したりとロックフィッシュゲームの最前線に立っている企画にもなっています。
毎回全国のロックフィッシュアングラー皆さんから多大な反響をいただき、ありがとうございます。
今回の舞台は、鹿児島県薩摩半島。
東シナ海の釣りです。
ターゲットはこちら!
オオモンハタです。
パッと見た感じ、ヒョウ柄といいますか、キリン柄といいますか、ハタにしてはやや地味めな体色が印象的なハタですが、オレンジ色や赤色が人目を引くキジハタともアカハタともまた趣の異なる魅力を持つハタの1種です。
抜群の人気を誇るキジハタ、紅の美を纏うアカハタ人気に続いて、最近大注目に至っている魚が「オオモンハタ」です。
前回のこちらの実釣ロケでは太平洋は岩手県重茂半島のアイナメ釣りでしたが、今回は東シナ海は鹿児島県薩摩半島がその舞台。
南の海でも大興奮の、至極のロックフィッシュゲームを展開します。
今回の釣りも熱かったです。
ショアからの釣り、オオモンハタにとどまらず、アカハタ!!にマダイ!!にワラサ!!にオキナヒメジ!!にシイラまで!!
クジラが現れ、ウミガメがシイラと共に遊び、イトマキエイがジャンプしている碧く透き通った海。
足元にはチョウチョウウオが泳ぎ、港の船溜まりではアオリイカの新子も元気にすくすくと育っていました。
釣りの最中、沖の方から潮目が入ってきたので「シイラがついているな」と、ワームリグからペンシルベイトにかえて潮目に放った一投目から猛烈に襲い掛かるシイラとの痛快なファイト。
ジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!の大暴れ。
シイラ、大好きなんです。
日常ではなかなかめぐり合えない色彩の美しさはいつもながらに素敵だなと。
何本も釣ったので、これでこの夏のシイラ釣りは既に大満足(笑)。
竿は、そのままロングスピンです。
水温は28℃。
海に飛び込んでシイラと一緒に泳ぎたいくらいの快適温度ですね。
気温の方も最低気温27度、最高気温35度の猛暑ですが、完全夏型人間の私のボルテージは最高潮に(暑さは平気ですが、反対に冬の釣りは寒さのため苦手)。
湾内の波の立たない磯にまで接岸する黒潮の潮目。
静かで、穏やかな時間が流れるキラキラと光る夏の海。
北の海でも、南の海でも、こういうシチュエーションでのロックフィッシュゲームがしたいんです、という己が最も情景を馳せる盛夏は文月の根魚釣りを体現できたのがうれしかったです。
ボトムの魚も、表層の魚もー。
趣の異なる魚たちであっても同じ海で交わることから、豊穣の海とはこういうことをいうのだろうなぁ、としみじみと実感。
キビナゴやカタクチイワシを追いまわす獰猛な海の狩人達が入れ乱れる、ドラグが唸るパワーファイトの数々はたまりませんでした。
写真はサービスショットの、ロングスピンキャスター96(上)。
知っての通り、まだリリースを待っているプロトです。
通常のロングスピンに加え、パワーロングスピンという位置づけの96モデルも今回は誌面に登場。
北の海から南の海まで釣り歩き、開発に3年以上かけているこちらのロングスピンキャスター96。
圧倒的な飛距離を叩き出し、40gリグでも余裕で飛ばせる岸釣りハタゲームに心強い1本。
スピニングロッドながらアイナメであれば50cm前半の大きさの魚でもタモを使わず磯から引っこ抜いても平気なパワーがありますが、パワーだけ重視していくと竿が強すぎてやり取りでの引き味も半減してしまうのと、あまりにパワフル過ぎても行き着くところがロックフィッシュロッドというよりかはショアジギングロッド(青物竿)になっていってしまうという境界線が3年という開発歳月に苦心していたところなのですが、ようやく決定打を打てる路線に持ってこれたので良かったです。
ボトムの釣りだけでなくスイミングバイトも極力弾くことのないよう何度も作り直して修整していった「曲がりのウィークポイント」の甲斐あって、オオモンハタやキジハタのスイミングバイトはもちろん、アイナメのモグモグと頬張るバイトも分かりやすく、なおかつマゴチのようにアタリがあってもスッポ抜けやすく“やや乗せづらい系”の魚のバイトにも弾かずに対応。
ロングスピンキャスターシリーズは全体と通して硬すぎず、柔すぎずの万能調子に整えられています。
50cmを超えてくるような大型のクロソイ釣りにもこの特性は向いています。(反対にアイナメ特化調子のロッドでオオモンハタを釣ろうとするとファーストバイトの時点でアタリを弾きやすいので竿に起因するミスが増えることで使いにくく、釣り人側が竿の分まで技術でカバーしなければならなくなり、かなりの無理を強いられる難点が発生してしまいます。)
同じロックフィッシュゲームでありながら、この違いは実際のところとても難しいところなんですね。
ですが、小生は北海道のウサギアイナメの釣りから沖縄のスジアラの釣りまで国内主要根魚の釣りは長年経験してきました。
釧路のウサギアイナメと西表島のスジアラとではまるで違う釣りですが、逆にその経験値(ギャップ)は貴重で、そのノウハウをプロズワンロッドプロダクトの技術に生かしています。
そういうこともあり、現在までのプロズワンオフィシャルプロダクトではアイナメロッドとハタロッドというように明確な区分では分けてはおらず、大きな括りでの「ロックフィッシュロッド」という位置づけをテーマとして、シューティンウェイから引き継ぐこと2016年度にロックトランジットを登場させました。
竿の種類が多過ぎても1本ずつ買うのは大変だと思いますし、1本の竿でアイナメもソイもハタも最大全長が50~60センチの根魚であるならばおおよそ1本のモデルでその場に対応できるように、技術屋としての挑戦として懐の広いロックフィッシュロッドを目指してじっくりと開発に取り組んできました。
それが「ロックトランジット」シリーズ共通のテーマになっています。
あとは日本だけでなく、私に限らず皆さんが外国に根魚釣りに行ってもこのロックトランジットなら現地のロックフィッシュ(規格外の怪魚・巨大魚は除く)にもきちんと渡り合えるようにというスケールの大きな設定も最初から念頭に置いて開発。
このことはロサンゼルスの海でケルプバス(キャリコバス)の大物と闘ってより想いを強くした部分です。“トランジット”(乗り継ぎ)という響きもこの部分を表現しています。
いずれにしましてもこちらの96も、3年間に作ったプロトの数を数え直すと恐ろしいですが、もう少しだけ微調整したいこだわりがあるのでリリースはもうちょっと先です。
普段はロングスピンキャスター90もよく使うのですが、今回は両方のロングスピンキャスター(90・96)でオオモンハタは釣れています。
ロックフィッシュゲームは近距離であれ遠距離であれ、基本、ワームを正確に操る釣りですから、繊細さにも重点を置くには90の方が断然楽で、飛距離とパワーに重点を置くには96のパワーと、長さ違いでの使い分けがスマートです。
90も96も、両方ともゴリ巻きはできますが、操作性の「基準ウェイトの違い」が一番の差です。
ご覧の通りテキサスリグ専用ロッドではないロングスピンロッドというのもロックトランジットの深みであり、持ち味。
今回はアカハタもバイブレーションプラグの「ただ巻き」の釣りで。
ジグヘッドリグのスイミングからハードルアーの「巻き」の釣りに至るまでロックフィッシュゲーム全般に広域対応することを目標とする、ロック専用の万能型ロングスピンロッドです。
と、いう感じで釣り道具のお話はこれくらいにして、魅惑の“泳いで回遊するロックフィッシュ”「オオモンハタ」の釣りをどこまでも掘り下げる今回の「考えるRFG」!
日頃からオオモンハタと接する機会が多い黒潮の恩恵多大な地域の皆さんはもちろんですが、オオモンハタの生息しない親潮域や日本海側地域の皆さんにも私の釣りを通してオオモンハタの釣りを考えていただく(情景を重ねていただく)良きキッカケになってくれればうれしいです。
これまでの自分の手の内にはない、新しいロックフィッシュゲームの概念が開けるかもしれません。
1尾の価値に問う美学。
オオモンハタは回遊性根魚につき、いくら一等地に投げていてもそこにオオモンハタが通らなければ釣れません。
その点では遡上魚のサクラマスと同じような難易度があり(当然、釣果ムラが激しい)、極論してしまえば魚のポジションが判別つきやすいアイナメやアカハタを釣るよりもだいぶ難しい部類のロックフィッシュゲームですが、難しいほどに魚釣りは燃えるもの。
その昔、サクラマスを狙って釣れるようになってきた17年前頃と同じワクワク感が昨今、キジハタやこのオオモンハタには重なっています。
ロックフィッシャーでありながら、私がサクラマスに並々ならぬ情熱を捧げている様はこの綴りをご覧いただいている皆さんであればよくよく知っていただいているはずー。
サクラマスやキジハタ同様に、今後もオオモンハタとはいい付き合いができると思うし、末永く大事にしていきたい魚です。
そんな夢と情熱溢れるオオモンハタへの取り組みを、8月21日(月)発売の本誌ソルトウォーター2017年10月号を楽しみにお待ちいただければ幸いです。
帰ってくれば、東北仙台は七夕飾りが。
そんな季節なのですよね。
九州との温度差は10度も違う日もある涼しさ。
東北の夜は、やさしい音色での秋虫の声が聞こえるようになりましたし、野に目を向ければススキがもう目につくようになりました。
今月もお盆の頃には道東にはカラフトマスの群れが帰還するタイミングです。
道北ならば9月になればもう秋なわけですから、そう考えますと東北地方の暑さも残り1ヶ月程度です。
盛夏の文月から、残暑という言葉が伴う葉月に季節は進んでいます。
引き続き暑さ対策に皆さんご自愛ください。
2017年8月3日 | カテゴリー:雑誌掲載・DVD