ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

黄の絨毯(じゅうたん)を目に映す。

桜の季節と同調するように足元を明るく照らしてくれる、春ならではの黄色の彩り。

桜は「木」だから、私たちの頭上を淡く彩ってくれる存在ですが、地を照らしてくれる草花の存在もまた美しきもの。

①

緑の茂みを、より明るく照らすタンポポの存在もまた心、晴れ晴れするものですよね!

誰もが子供の頃から馴染み深い存在だからこそ、それもまた特別な色に見えのかもしれません。

 

②

この時期と言えば!菜の花もまた素晴らしい。

清々しい晴天に向かって咲き誇る黄色のパワー、元気が湧いてきます!

あたり一面、菜の花畑というところも少なくないでしょうから、遠くから見ていると黄色の絨毯(じゅうたん)が敷きつめられているようにも見えたりしますよね。

 

桜はもとより、春は草花にとっても一斉に彩が増す季節なだけにそれを見ているだけでも楽しくなったり、元気になったり、うれしくなったり、するものです。

③

冬から春への変化は、これまでモノクロトーンだった世界が、フルカラーに変化した!ぐらいの視覚力があります。

 

④

少し気早い初夏の陽気を感じつつ、これから共に動き出す海や川の仲間たちへに会いに行く季節も、もう間もなく訪れようとしています。

サクラノ、ウツロイ。(桜の、移ろい。)

①

海からやってくる大鱒たちが、一足早い桜の季節を教えてくれる春-。

 

世間は大型連休真っ最中の今。

いきなり初夏の陽気に見舞われつつある今年の傾向であるが、つい2週間ほど前までは桜も満開だった南東北地方。

日本人なら、心のどこかに特別な響きさえ感じる『さくら』、「桜・サクラ・Sakura」という表現。

とりわけ冬が長い北国では、桜の開花と共に寒い季節が終わりを告げて、今年もようやく暖かい季節が巡って来たことを意味するだけに、その節目としての意味合いもまた大きい。

花の季節はごく僅かだが、その少しの間の毎日を心から楽しみに過ごせる日々もまたいいものではないだろうか。

 

今回は、満開から桜吹雪となった約10日の間に私がこの目で見てきた光景をそのまま掲載。

レンズ超しのこの目そのものが捉えた世界観を皆さんも一緒に楽しんでいただければ幸いです。

 

②

当初は雨や曇りの日もまた多いこの春でした。

 

③

曇天の最中、いよいよ満開へ。

 

④

都会の夜空を彩る満開の桜もまた風情があって素敵なものです。

 

⑤

仕事帰りの花見客が大勢詰めかけていました。

遠出先からの帰り道。私もちょっとだけ寄り道出来たので、屋台でイカゲソ(ヤリイカ)の揚げ物を買いつまみつつ(笑)、帰路へ。

 

⑥

見頃のピークを折り返した頃は爽快な青空が広がりました!

 

⑦

黄色(菜の花)とピンク(桜)のコラボレーション!

 

 

⑧

満開からの桜吹雪。

風に舞う花弁もまた美しき。

 

⑨

水面を覆う、淡い彩。

花散らしとなった雨の翌日の光景です。

 

⑩

そして、また来たる晴天のもとへ。

新緑を纏った春のパワーが再び木々に宿ります!

 

春の初め、つぼみを見つけると無性にうれしくなる心。

いざ、花が開けば満開から散るまで、あっという間の移ろいですが、日々変わりゆく桜の姿からはたくさんの元気をもらえるものです。

 

サクラノ、ウツロイ。

 

また来年!

あなたがやってくる季節を楽しみに待っています。

太陽、さんさんと!

雲一つない青空に真っ白い飛行機がスイスイと泳ぎ、白い線を描いていく。

①

そう!この大空こそがキャンバスなんだ。

ずっと見上げていたら飛行機が生き物のように見えてきて、まるで海を泳いでいる魚みたいだなぁ~とも思えてきました(笑)。

 

 

今日から5月ですね!

早いもので新緑の季節。

 

②

紫陽花(あじさい)の葉も青々としていました。

来月になれば列島は梅雨を迎える時期ですもんね。(早っ!)

 

4月最後の昨日は、午前中は雑誌連載(5月発売号)の校正作業、午後は6月発売雑誌の連載原稿の執筆、夜7時からは雑誌社への電話取材インタビューへの対応でした。

夕方には、今月中旬に開催される出展イベントの業者からの連絡も重なってしまい……。

 

は、は、は……。

ゴールデン…ウィーク……。

 

話はここで次に移りましょう。

近頃は一気に暖かくなったこともあり、例年より少し早めに趣味(←ここ重要です)のナマズ釣りへも動き出しました。

③

ナマズ、ライギョ、バス、ヘラブナ、渓流トラウト。

メディア上での私の印象とは違う(?)釣り人像かもしれませんが、こういった淡水の釣りは昔からずっと好きで今も続けています。

ナマズ釣りとかヘラブナ釣り、それにハゼ釣りなどに釣友を誘うと、「意外と地味なんだね~。」と言われます。

サンバイザー&偏光グラスを着用し、ガツン!と鬼アワセを叩き込むロックフィッシャーのイメージともまた違う、とのことですが……そんな心配はご無用。

全くの同じ人です(笑)。

あとは、キジハタやサクラマスのようなストイック系の釣りとか、釣り人生すべてを懸けて挑むようなイトウ釣りなども私が思う釣りのスタンス的には大好きです。

クロソイのデカいの(4キロオーバー)を狙う釣りも、めちゃくちゃに燃えます。

本場・北海道のクロソイはこれからがシーズン本番に突入ですからね。

 

基本、魚釣りが好きでこれまで歩んでいるわけですが、どちらかと言えば1尾、1尾に想いを馳せて釣る魚に惹かれるタイプなので、爆釣出来るような釣りじゃない方が個人的には向いていると自覚しています。

ライギョとバスはかなりご無沙汰していますが、渓流釣りも昨年は1回だけ午後からの釣行でしたら楽しめましたし、ヘラブナ釣りは一昨年に一度でしたが満喫。

いち個人の趣味でやっている範囲の釣りなので頻繁に行けるものではありませんが、時間の制約がある日々の中で、ナマズに至っては夜が主役となるターゲットということもあり、仕事を終えた後でも少し釣りが出来るのがありがたい魚です。

ナマズ釣りは例年5月から始めるのですが、今年は4月の様子見キャスト(第1投目)からいきなり「バシャッン!」とナマズがトップに激しく踊り出たので、こちらもビックリしてしまい1尾目の魚はアワセをしないでしまいましたが(汗)、2尾目からの魚からは快調に釣ることが出来ました。

少年時代に覚えたベイトタックル。

ピッチング・バックハンドキャスト・サークルキャストでビシバシと狙いのスポットにルアーを送り込んでいきます!

こうして、のちのロックフィッシャーは誕生していったのです。

 

 

ゴールデンウィーク中は、5月に限定発売するヒラメ用ルアーのバリ取り作業と袋詰めも待っていますが、部屋の掃除したり、マンガ本を読みつつ昼寝したりと釣りを介さないで少しだけでものんびりもしたいなぁ~と考えています。

映画も行けたら最高ですね!(VSフリーザのドラゴンボールが観たいなぁ~と。)

 

と、その前に!

④

2週間前に荒天で出港中止になってしまった海サクラのジギングにも仕切り直して、もう一度行っておきたいところ。

釣れるかどうかは分かりませんが、海でのんびり釣り糸を垂らせるだけでも個人的にはOK!です(笑)。

はい! 世間はゴールデンウィークですから!

 

 

良い天気が続くようです。

皆さんも、どうか良い連休をお過ごしください。

銀鱗、舞い散るが如し。~後編~

①

毎年欠かない春の恵みを拝受する喜びは、言葉での表現を超えうるものがある。

②

それが「サクラマスの釣り」、なのだ。

 

一喜一憂の出会いを確実にものにしたいがために選ぶ針はこだわりの赤針。

③

カルティバST-46 RD。

61センチという全長以上に、体高以上に、ずっしりとした厚みある3.5キロ超の重量をホールドし続けた、頼りの支点だ。

針先まで染まる紅の彩がもたらす機能面はもちろんだが、この色に託す想いもまた“情熱”を表す。

 

 

④

雪代の流れの筋を立体的に浮き上がらせた視界として見せてくれるTALEXの新色レンズ「ラスターオレンジ」の存在もまた大きい。

ローライトな朝マズメでも多用する同イーズグリーンのブライト性能を有しつつ、ラスターブラウン寄りのコントラスト性をうまく融合した、新機軸のレンズだ。

そんな優れたレンズを生かすも殺すもフレーム次第。

組み合わせるフレームは相棒・Vanqの血統を受け継ぎ、その装いを一新したENZO(エンゾ)。

⑤

サイドカウルにはアングラーの勲章として、釣り針をあしらった紋様が刻まれている。

Vanqからしかと引き継がれた機能とその意志は、釣り師と共に雨の日も風の日もこれから新たな旅路を重ねていこう。

 

 

 

⑥

海の力を蓄え、山を目指す大鱒を釣りあげる意義。

それは北国に住まう者にとっては尚をこと、意味深いものに違いない。

 

1匹のヤマメが奏でる壮大な旅路。

北の海で、どんな大冒険をしてきたのだろうか。

 

⑦

どんなに旨いエサにありつけたのだろう…。

⑧

どんな仲間たちと歩みを共にしたのだろう…。

⑨

もしかしたらシャチやイルカ、トド、アザラシの奇襲に怖い思いもしたのかもしれない…。

 

それもまた山の緑と海の青の彩りを纏ったヤマメの雄姿。

⑩

北海道・東北・北陸といった高緯度の雪国に暮らす釣り人にとっては、とても大きくて、偉大な存在でもあるサクラマス。

今日もまた多くの太公望が憧れの魚を追い求めるのだろう。

北の海には、北の河(かわ)には、北の湖には、こんなにも「すっげ~大鱒(マス)がいるんだぜ!」と誇らしく想う魚だ。

 

⑪

銀鱗、舞い散るが如し。

ここは東北、宮城県北上川。

⑫

この春もまた貴重な大鱒との出会いに感謝しつつ、季節は桜から新緑の候へと移ろいでゆく時がやって来た。

 

 

■タックルデータ

●ロッド:シードライバーNSDS-90ML-PW

●リール:ヴァンキッシュ4000

●ライン:シーガー試作PEライン1号

●リーダー:シーガーグランドマックスFX 5号(20lb)

●スナップ:カルティバ/クイックスナップ2号

●ルアー:蝦夷ミノー90ディープ

●フック:カルティバ/ST-46RD ♯5

●ジャケット:リトルプレゼンツ/サーマルウェーディングジャケット(JK-11)

●ウェーダー:リトルオーシャン/ハイブリットウェーダー(OW-04)

●フリース:リトルプレゼンツ/フリースベスト(JK-13)

●パンツ:リトルプレゼンツ/LPウォームパンツ(P-14)

●偏光グラス:ZEAL OPTICS/ENZO

●偏光レンズ:TALEXラスターオレンジ

銀鱗、舞い散るが如し。~前編~

①

例年、年度末(3月)と新年度(4月)を抱える春は一年の中でも釣り具業界も多忙を極める時期につき、この世界に身を置く小生も例外に漏れず釣行する機会にはなかなか恵まれない。

東京駅

とりわけ3月のせわしなさは忙殺的だ。

“釣りのサイクル”に当てはめれば、「3月」という月はサクラマスの釣りが本格化する季節につき、毎年この時期ならではの釣りを楽しみに迎えるものの、出張続きの巡業シーズンとも重なるため、あいにくサクラマスの舞い戻る川が織りなす時間や情景を感じずの日々もまた続く。

②

いち個人の釣り人としては少々残念ではあるが、私とてどんなに頑張ったところでこの世界の歯車の一部に過ぎない。故にそれもまた仕方ないこと。

 

それだけに…。

それだけに、限られた時間枠を作れれば、都会の喧騒とはまた別の時の流れに身を置きたくなるもの。

③

 

そうなのだ。

早春の川に立つことは、魚が「釣れる」・「釣れない」では語りきれない、自身にとって大きな意味合いを持っている。

④

その日は桜の開花をまだ感じさせない、寒が肌まで突き刺すような早朝だった。

 

空が白んで来た頃、気持ち早にキャストしたいという衝動に駆られるが、いきなりは投げない。

川を観察し、魚の気配があるのか、ないのかをよく見極める。

釣り師の眼力は視力以上によく出来ているから、その持前の動体視力は今日も“それ”を見逃さなかった。

 

魚は浮いている

沖合いに幾多かの気配を察する。

私以外にも周囲にいた釣り人達もそれに気がついていたことだろう。

 

一斉に沖に向かってのフルキャスト音が辺り一面に響き出す。

今日もまた人の想いと願いが込められたスプーンが、大河の流芯目がけて一斉に勢いよく飛んでいくのだ。

 

 

さぁ!

私も釣りを始めよう。

 

沖合いで浮いた魚を狙うのであれば、運がよければ一撃で掛かることもあるかもしれないが、一斉にヘビースプーンが飛び交えば、“本流の女王”たるもの、その異様な気配を即座に感じ取るに違いない。

サクラマスを狙う釣り人の意気込みたるもの「ある種、異様」なものだからそんな殺気を察すれば、その停滞レンジも下がる(沈む)か、その場から離れて移動していってしまうのが生き物である「魚」としての正しい行動だろう。

 

状況はシビアだ。

 

だから今は、あこそにいる魚とは違う魚を目指す。

もっと手前。

足元ではない。

かと言って、遥か沖合いでもない。

 

この川ではブレイク沿いで夜を明かし夜明けと共に動く魚がいる。

魚が動く時間は僅かなもの。

そのことを知っているから、今は「その条件での魚」を獲りたいのだ。

 

ルアーはミノーがいい。

サクラマス用のディープダイバーの出番だ。

流れの押しが強いから、出来るだけ潜るルアーが望ましい。

リップが強い流れを掴んでも流れの重さに負けず、浮き上がることなく真っ直ぐに潜航し任意の層に留まり続けるロングリップ…。

 

⑤

タックルボックスの中にあった一番深く潜るタイプを選んだ。

 

1投目は様子見。

ルアーが合ってなければ、すぐに変えるための判断基準にする。

 

2投目は目的のトレースゾーンまでルアーが確かに潜っているか?の確認の意味合いを求めるキャスト。

 

3投目からは“狙いを定めた”キャストを心掛ける。

 

重複となるが、夜明けと共にルアーに反応する魚が釣れる時間って本当にわずかだから、この時合で魚を獲る場合にはその志として「狙いを定めて」威風堂々としたキャストで挑みたい。

 

●迷わないこと。

●躊躇(ためら)わないこと。

が、肝心だ。

 

 

そのキャストで投じたディープダイバーを川底でサクラマスは襲った。

投げた飛距離の1/3ほどをルアーが通過した時のことだった。

アワセと同時に圧し掛かる魚の重みで相手は小さくないものと判断していたが、川底を這うように動いていたものが急に浮き上がり突然のジャンプを披露。

3キロは確実に超えている魚体。

重々しい引きをロッドは受け止めながら曲り続ける。

寄せにかかれば、相手は再びの反撃を仕掛けてくる。

すんなりあがってくるような気性の持ち主ではなさそうだ。

 

朝日が水面(みなも)に差す大河にドラグの金属音が鳴り響く。

寄せてはまたラインが出ていく、の繰り返しを何度か―。

 

少しの緊張と「絶対に獲るぞ」という揺るぎない男の狩猟本能はこの瞬間にこそ必要なもの。

 

 

⑥

一心に魚と向き合う時間は終焉を迎えた。

 

雪解け水の濁った川にこの春もまたサクラマスが横たわる。

⑦

喜びを噛みしめる時間の始まりだ。

 

<次回に続く>