ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

「SALTWATER 2014年6月号」発売

★プロズワンからのお知らせ★

4月21日(月)SALTWATER 2014年6月号(地球丸)が発売されました。

 

■連載

サカナサク、海の旅。~東日本太平洋沿岸の現在(いま)を歩く~

最終回 一年を重ね、また春がきた。

文・題字・画=佐藤文紀

 

千葉県から青森県まで東日本大震災の津波被災地の海を1年間に渡り、釣り歩いた記録の総括編です。

ぜひ、ご一読くださいませ。

桜、花旅。~サクラマスの話~(5)

今回は三陸・岩手県大船渡沖での海サクラマスのお話です。

岩手県大船渡市・越喜来湾(読み:おきらいわん)に巡ってきた春。

今回は東北・三陸リアス式海岸における「海サクラマス」のお話です。

 

元々、日本国内で海を回遊している段階でのサクラマス、つまり「海サクラマス」を専門的に狙う釣りといえば、北海道と青森県がその大きなルーツを占める。

道内の自然環境が独自に生み出したショアからの海アメマス釣りは、やがてショアからの海サクラマス釣りへも波及し、近年では北海道を象徴する釣りの1ジャンルにまで成長・発展を遂げるようになった。

北海道の道南では海サクラマスを狙うに適するフィールドが多く、名だたる人気のエリアが数多く存在する。

その一方でオフショアで狙うバケの釣り(マスしゃくり釣り)やバーチカルジギングの釣りの人気も健在だ。日本海側の積丹半島や太平洋側の白老・苫小牧など札幌圏内からもほど近い道央でも、こういった釣りが楽しめるとあって話題は尽きなかった。

一方、青森県でもマスナタの釣りやバーチカルジギングの釣り、つまりオフショアからの海サクラマス釣りは古くから行われてきた。特に同県の下北半島はこの釣りのメッカとして名を馳せるところ。

こういった釣りを三陸沿岸の海でも出来ないものか…という考えは、サクラマスを追う者としては“ごく普通”の成り行きだった。

とはいえ、昔からサクラマスが釣れる河川の河口や隣接する海に行って誰一人とていないフィールドでルアーを投げ続けても結果は一度たりとも伴わず、ならば沖に行けばどうかと思い、数年前には4月~5月に岩手県重茂半島沖で海サクラマス狙いのために遊漁船をチャーターしてバーチカルジギングを何度か集中して試みるも海サクラマスどころか、魚1尾たりとも釣れず…という散々たる釣果に、船釣りとは思えないほどのあまりの確率の低さに、やはり狙って釣ることは無理なのか…と諦めの心さえ抱いたものだった。

魚が釣れない釣りは第一にお客が嫌がる(耐えられない)ことが多いので、船宿も客商売としては成り立ちにくい。

そのため遊漁船とて、そこに専門性を持たせてはやりたがらないのが普通だ。

それでも凄いのは、三陸の海の男たちは諦めないでコツコツをその釣りを開拓し軌道に乗せる努力を続けてきた。

今回お世話になった崎浜港「広進丸」川畑船長もまたその一人である。

その努力あって、このところ東北の太平洋側・三陸沿岸の海域でも「狙って獲れる海サクラマスの釣り」が少しずつ認知・浸透してくるように至った。

現在、三陸の海でその中心を担うのが岩手県大船渡市の越喜来湾ということになろう。

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冷たいヤマセの影響により、5月中旬とは思えない鳥肌が立つほど海の上は寒い。

防寒着が手放せない釣行日だった。

 

ご当地において、海サクラマスのまとまった群れは例年2月~3月頃から回遊が見られるとのことだが、4月20日を過ぎる頃、この海域にはまだ海を回遊している最中のカラフトマスの群れも同時に来遊してくる。

日本国内では「カラフトマス=北海道の魚」というイメージが本州在住の方であれば強いかもしれないが、実際に三陸河川にも少ないながらも遡上が確認されていること、更に春先の三陸の海では定置網にまとまって入ることもある。

そのような意味では東北でも遭遇の機会は少ないものの、カラフトマスとの接点はあるのだ。

そのような観点から意外に思われるかもしれないが、周辺海域は昔も今も「サケ科の降海魚」の回遊地であったわけだ。

同地でママス(「真マス」の意味=正式名称でのサクラマス)をメタルジグによるバーチカルジギングで狙って釣れるまでになった昨今では、瞬く間に釣り人を虜にした。

 

もちろん、海でも川でもサクラマスはサクラマス。

相手が相手だけに、「釣りに行けば100%釣れる」という甘い期待は最初から“なし”としておこう。

それでも、群れに遭遇した時には連発して釣れることもあるわけだから、その響きは魅力的だ。

 

岩手県大船渡市に海サクラマス狙い行ったこの日(2013年5月)。

出船前に船長が乗客全員に向けて懇切に釣り方やアドバイスを下さる。

1尾との遭遇がとても貴重な出会いとなるサクラマス釣り。こういった直伝の助言はとてもありがたい。

本州ではサクラマスは通常、川で狙うのが普通だから逆に海で釣ることには釣り人も不慣れな点が多い。

海にいるサクラマスは活発にエサを追っている状態の個体。

川を遡上する前の段階、つまり海にいる時のマスの行動を細かく教えてくれるから、とても勉強になる。

港から10分程でポイントへ到着。

水深にして50~60mだが、海サクラマスやカラフトマスの回遊レンジは上から15m~20m付近で掛かってくることが多いからそのレンジを集中的に攻めるよう船内アナウンスが響き、釣りはスタート。

この時、ジグの重さは40g~60gを使用。

海にいる段階のサクラマスは川(真水)で釣れるものとはことなり、魚の口が著しく柔らかく“もろい”ので、口切れによるバラシが多発しやすい。そのためジギングではあるが、ワラサやブリを狙うような頑丈なタックルは必要としない。

柔らかめの、竿が魚の引きに追従するように柔軟に“しなる”テーパーが向いているとのことでシューティンウェイSWS-702L“スイミントレーサー”を使った。

実際にこの竿で、釣り仲間は2013年度4月~5月は海サクラマスとカラフトマスをジギングで複数尾キャッチしており、この竿は向いているよ、と教えてくれたのだ。

魚群探知機にはメロウドとカタクチイワシの反応がびっしりと出ているとのことで、ジグを落とすとすかさずフォール中にラインの放出が止まった。

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掛かってきたのは小型のマダラ。

水深30mでのヒット。

マダラゆえに小型という表現と使ったが、これがアイナメやソイ、ハタの釣りで考えれば40センチ~60センチのこれら根魚が1投ごとにロックフィッシュ用スピニングタックルで入れ食いで釣れるのだから、相当な引き味を楽しめる。

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ヒットレンジが浅いので、じわりじわりドラグが作動しながらマダラの強烈な引き込みを堪能する。

この海域のマダラはベイトフィッシュを追って中層にまで完全に浮き上がった、いわば「サスペンド状態」で大群でいる。

そこからは1投1尾でマダラのオンパレード。無限とも思える程の入れ食い状態で掛かってくる。

避けようにも避けられないほどのタラの猛攻が続く。

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あげくの果てにはマダラの活性は益々高まるばかりで、船内から一斉に投下されるジグの動きに反応してか、マダラの群れ全体のレンジが更に浮上してきている。

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上の写真の頭部をアップ。

マダラもよく観察すると、先細りした口先に鋭い歯と顔つき、独特の色柄模様が存在感を放つ、かっこいい魚であると思う。

 

最終的には水深60mにおける15mレンジの上棚でヒットしてくるまでになった。

さすがに水深15mという超浅棚でのマダラの入れ食いは初めて体験するケースだった。

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50センチ前後の根魚をワームで繊細に釣るために開発したシューティンウェイのスピニングモデル・SWS-702L “スイミントレーサー”。

本来の用途とは異なるが、タックルシステムと水深さえ許せば、中小型であればマダラ相手にも負けないブランクのトルクを発揮する。

 

荒食いモードに入ったマダラは、1つのメタルジグに針が前後についていれば、2尾のマダラが同時にヒットすることも珍しくはない状態へ突入していった。

とにかく数が釣れ続けるが、魚を持ち帰る意志がないことと、それにこれを全部キープするとなると100リッターのクーラーボックスでさえ短時間ですぐに満タンになってしまう。

なので、お土産にキープしたい同船者の分を手早く手伝った後は速やかにリリースしていく。

ヒットするレンジが浅いのでマダラとはいえ、健全な状態でのリリースが可能なのだ。

マダラの猛攻に遭遇しながらも、狙いは海サクラマスである。

カラフトマスでもいい。

とにかく、「マス」に辿りつく方法を模索し続けた。

 

隣席では学生時代の同級生S君が竿を握る。バスアングラーの彼はオールド系トップウォーター用ベイトタックルをジギングに代用していた。グラス素材のロッドなので魚の乗りも良いはず。

その時、ちょうど私が貸したルアーにチェンジしようとしていた。

カルティバ/撃投ジグエアロ60gのイワシカラー。

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誰が使っても動かしやすいジグなので、入門者も扱いやすいのが特徴。

フックは同じくカルティバ/サクラマススペシャル(シングルフック61)で自作したループ付きシングルフックを上下2本ずつセットするスタイル。

 

メタルジグを付け替えて少しすると「来た!」の声が響く。

ヒットレンジは水深15mだという。一瞬、またマダラなのでは…?と思ったものの彼のロッドティップを見ると、重々しいマダラの重量感とは異なる、クンクンクンと小刻みに揺れるマス特有の首振り振動が目に入った!

「それマスだよ!!バラさないように落ち着いてファイトして!」と、満月のように反るロッドを抱えながら応戦している本人よりも、なぜかエキサイトしてしまう私。

S君は人生2尾目となるサクラマスであろう、独特の引きに興奮しつつも奮闘を続ける。

その一部始終を隣で見ていた私も、今もあの衝撃は鮮明に焼き付いている。

水面近くまで銀色の影が浮上してきた時、普段よく見かけるサクラマスよりも一回り以上に魚が大きく見えた。

目の錯覚なのか…「もしかしてサケ?」と見間違えてしまうほど、その魚は別格に大きかったのだ。

水面で結実したランディング。

船上にバタン!バタン!と激しく打つその白銀の魚体に船内から一斉に歓喜と祝福の声が上がった。

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なんと!!

全長69センチ、重量5.5キロもある巨大な海サクラマスだった!!

ヒットルアーは先述したカルティバ/撃投ジグエアロ60gのイワシカラーだ。

 

さすがに5キロ超え、5.5キロのサクラマスを見たのは私も初めて。

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物凄いド迫力。重量もそうだが、69センチという大きさも素晴らしい。

 

私が「釣り」で釣り上げられたサクラマスの最重量級であろう魚の話を聞いたのは2012年の北海道積丹半島で釣り上げられた6キロというのが最大だったかと記憶している。

その後も同地で4キロ台が数匹という声までは耳にしたのだが、6キロというサイズは異例中の異例の特大サイズであり、それは北海道という、日本屈指のトラウト王国たるフィールドパワーがあってのことだろうと思っていた。

本州に至っては、限界でも4キロ台。それだって「本州におけるサクラマスの4キロ超え」は、どれだけシーズン中に魚数を掛けようが、容易に到達するのは困難なのが現実だろう。

前月に出会った北上川での3.5キロのサクラマスは「オス」という付加価値はついたものの、3.5キロ以上の魚に出会うことは今後、どれだけサクラマスの釣りを頑張ったところでも自分のサクラマス人生において、東北ではさすがに厳しいかもしれない…という覚悟はしているつもりだ。

それが今、目の前にそれを2キロも上回る「5.5キロ」のサクラマスが横たわっているのだから、驚きものである。

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この魚の元の正体は渓流に住まうヤマメ。そのことを忘れさせる大魚へと成長を促す「海」の存在はやはり偉大だ。

幅も凄いですよね。まさに「お見事!」としか表現が浮かばない惚れ惚れする魚体。

こんなにも大きなサクラマスが、本州のどこかの川にも遡上していくのか…と考えると、釣りで獲れる魚の割合がいかに少ないか、率の低さを改めて考えさせられるのもまた現実であるが、人の知らないところで受け継がれる自然のパワーというか、驚異にはまだまだ人知の及ばぬ領域が残されていることを改めて実感した。

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釣った本人は、まさに脱帽しているようだった。

うれしさを通り越して、「驚愕」に近い状態だろう。

 

これが仮に彼にとっての「一生もの」のサクラマスになったとしても、誰がどう見ても立派な魚に違いはない。

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“海マス”の証。サケ・マスでは特にお馴染みの寄生虫・シーライスがついていた正真正銘、「釣り」で釣った三陸の海サクラだ。

 

この後もマダラの入れ食いは最後まで続いたが、船中マスのヒットはなし。

この日乗船していた8人に対し、海サクラマスが掛かったのは1人だけ。それもこの特大の1尾のみにマスの釣果は終始した。

つまり私を含め、残り7人に関してはサクラマスにしてもカラフトマスにしてもノーヒットということになる。

この釣果をどう受け取るかで、人それぞれ認識はまた変わってくるだろう。

 

川で釣るも海で釣るも、サクラマスは釣り人にとって「憧れの魚」であり続けるところは変わりない事実。

だからこそ、今も夢中になって追っかけられる。

 

釣りをしない人から見たら、大の大人が1尾の魚を釣るまでの過程にこんなにも四苦八苦する様はその行動や言動すら理解しがたいに違いない。

単純に考えて、結果だけを求めるのであれば「釣り」という行為は社会活動、人間活動としては割に合わない。

でも、そこに夢があって情熱を注ぐに値する何かがあるからこそ、私達は今日も川や海に向き合っている。

 

私が目指している究極の釣りは、別に数をたくさん釣りたいのではない。サイズを狙いたいのではない。

特定のタックルやルアーで釣りたいものでもない。

釣り人としての人生に残る1尾が狙って獲れたのなら、それが「うれしさ」や「喜び」なのだ。

そのことを表現しやすい一つのジャンルが、このサクラマス釣りと言えよう。

世の中にはたくさんの釣りジャンルが存在する中、そんな釣りがこのご時世において残されていてもいい。

 

貴方にとってのサクラマス。

私にとってのサクラマス。

 

釣り場や釣り方は違っても、その価値は己の心の中で輝く。

三陸の海で釣り上げられたひと際、大きなサクラマスを目にして、これからも夢を馳せてみたいと思った貴重な釣行だった。

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S君、本当におめでとう!

誇らしい、素晴らしい魚でした。

 

桜、花旅。

宮城県・岩手県と続いたサクラマスを追う旅の舞台は、やがて北海道へとたどり着く。

 

■タックルデータ(2013年5月)

●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー

●リール:ステラ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス25lb

●フック:オーナーばり/OH丸せいご22号・OHフカセ17号、カルティバ/サクラマススペシャル(シングルフック61)1/0・3/0をベースにした自作シングルフック。ループ部の組糸にオーナーばり/ザイト・パワーフレックス50lb、根巻き糸にはオーナーばり/テクノーラ根巻糸を使用。

●ルアー:カルティバ/撃投ジグエアロ40g、60g

                撃投ジグレベル40g、60g

●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq

●偏光レンズ:TALEXイーズグリーン

 

★岩手県大船渡市越喜来湾 船宿<崎浜地区>

広進丸(川畑船長 )【受付番号090-5836-7992・0192-44-2961】

桜、花旅。~サクラマスの話~(4)

週末2日間に渡る釣行を続けると身体は疲れを通り越して「慣れる」。

もっとも自分の意志とは関係なく、身体は疲れているのだろうけれど、精神的には疲れていないから、そのギャップがある意味怖いが、今日は月曜日。

心機一転、一週間の始まりだ。

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雑誌連載ロケのため、本日は茨城県までの移動がある。

本来の職務に支障をきたさないよう、「朝マズメ3時間だけ」と決めて、北上川の河原へ向かう。

昨日の天気とは打って変わって今日は小春日和。

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朝の大河の眩しさが気持ち良く感じた。

 

昨日と釣り座は違うが、まずは昨日のおさらい。

 

こちらが例によって数々のサクラマスをヒットに持ち込めるビッグバッカー1oz。

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メロウドの形とメロウドの動きに近いのが、この川でのサクラマス釣りに合っている。

重さが1ozもあるため沈むのが早いのでボトムをズルズル引っ張ってこないように、着水して底取りしたらロッドを1回だけしゃくり上げてルアーを浮上させ、任意のレンジを維持して引いてくるのが使い方のコツ。

他にも使い方にコツがありますが、いずれにしても特徴を掴めるとよく釣れます。

それらを操る、頼もしいタックルたち(2013年4月撮影)。

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ロッドはシーバスロッドのシードライバーNSDS-90ML-PWにリールはステラ4000。

近代のサクラマスロッドはひと昔前に比べ明らかに性能が向上している。とはいえ、本州河川向きのサクラマスロッドにおいて1ozのメタルバイブをフルスイングで振り切るとなると本来の用途に対しての役割が少々重荷となってしまうため私の場合にはシーバスロッドを代用しています。

ラインはお馴染みのシーガーライトタックルフラッシュⅢ。太さは1号です。この8本編みのラインはマーキング入りなので、「自分が何m投げて今は何m引いてきたのか」が容易に分かります。

なので、やみくもにルアーを飛ばすのではなく、正確に距離感を掴んでルアーをスポット的にキャストしています。

これにリーダーとして、シーガーショックリーダープレミアムマックス20lbを接続していれば安心です。クレハのフロロは粘り強い「残存強力」があるので助かります。

 

今朝はまったりとして流れもなく、無風の鏡状態。

メタルバイブではアピールが強過ぎるとすぐに分かる状況のため、スプーンからスタート。

しばらくすると隣の金野君にヒット。

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気鋭のサクラマスアングラー。若くてもさすがです!

 

チャートカラーのスプーンで釣り上げた56センチのサクラマス。

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相変わらず、高貴な気品が漂う魚です。

この後もヒットが続くか!?と一時的に期待しかけましたが残念ながら続かず…。

これもまたサクラマス釣りですね。

粘って時合まで釣り続けていればまたチャンスは巡ってくるものと思われるが、先述した理由により、この辺で私はタイムアウト。

早朝3時間限定の釣行は、あっという間でした。

まずは、3日間に渡り楽しいサクラマス釣りでした。

 

この後も北上川でのお話はまだまだありますが、話題はいよいよ次のステージへ進みます。

サクラマス釣りを語るにあたり、「川」と「海」は本来一つのもの。

山の緑に海の青。

私はこれを“グリーン&ブルー”という表現で認識してきました。

ヤマメがサクラマスになるための環境がこの彩色の水域があるからです。

サクラマス釣りを語る上で、海というフィールドは避けて通れないフィールド。

海でも川でも釣ることで、この「サクラマス」という生き物の一生を知ることが出来る。

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そんなところもまたヤマメ釣りの、そしてサクラマス釣りの魅力だと思います。

広大なスケールで繰り広げられる海のサクラマス釣り。

そのために私は北海道に通うことで旧来より勉強を重ねて来ました。

北の大地は、言わずと知れた海マス(海アメマス・海サクラマス・海カラフトマス・シロザケ)釣りの聖地だからです。

海サクラマスの釣りは間違いなく、北海道が先進地。

そこで学んだ経験を本州でも活かしたい、と思って取り組んできた経緯があります。

まずは、東北は三陸海岸・岩手県が次なる話題の舞台!

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次回、私のブログ更新時には5.5キロ・69センチという驚愕の巨大サクラマスが登場する内容を綴っていきます。

フィールドはフレッシュウォーターからソルトウォーターへ。

益々、盛り上がる桜、花旅。

前線は北上を続けます!!

桜、花旅。~サクラマスの話~(3)

この日もまた北上の大河と正対する。

前日に続けて2日目となる釣行だ。

潮回りが同じ、あるいは限りなく近いなら、川に突如として大きな変化が起きない限り、翌日も出会える可能性が高いのもまたサクラマス釣りだろう。

とはいえ、サクラマス相手のこと。

人間の思い通りにはいかないこともまた長年のつきあいだから、よく分かっている。

この日は天気が急変し、フィールドは朝から冷たい雨に打たれていた。

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大粒の雨が水面(みなも)を叩いて揺らす。

 

そして、のちに雪へと変わっていった。

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4月20日を過ぎているにも関わらず、ときおり視界を遮るほどの湿った雪。

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予備のタックルにも雪が積もっていく…。

 

基本どんな釣りでもそうだが、雪や雨の日の釣り場はすいていることが多い。

4月中旬、当地のサクラマス釣り最盛期を迎えた日曜日だというのに今日は人が少ない。

それもそのはず―。

人間心理として、誰もが冷たい雨に濡れるのを進んで好むことはあまりないであろうし、このような条件の中、釣りに没頭するには余程の覚悟と「釣りたい意志」を有していなければ心が折れる、というものだろう。

あとは、それを支えられるだけの“確信”も必要だ。

正直、雪の中や雨の中での釣りは私とて、それ相応には苦痛に感じる。

しかし、この日は違う。前日にも釣果を伴っていたことから、幸いボルテージは上がったままだ。

午前中の釣りは何事もなく過ぎ、昼が過ぎた。

早朝から雨・雪に濡れ続けることに耐えていたウェアの防水効果も多少なりとも雨の染みが気になるようになってきた。

4月とは思えない寒さに身体は芯から冷えている。

食事を取りつつ小休止。

ここは一度、仕切り直そう。

 

装いを新たに身支度を整え、午後3時頃ふたたび川に立つ。

しばらくすると雨が止み、暗い雲の隙間から陽が射した。

その後のことだった。

川を遡る、サクラマスの群れが川のド真ん中で突如として跳ね始めたのだ。

魚の跳んでいる流芯までおよそ60m強の距離。

まるで、海サクラマスがエサに狂喜乱舞しボイルしているかのような跳ね方で、上流へ向かって跳んでいる。

これは単発的な“跳ね”ではない。

魚の大群が今、大きく動いているのだ。

サクラマスの細胞が、陽の光を浴びて急激に活性化したのだろうか。

いずれにしても、今この瞬間にも“本日の山場”は一刻一刻と迫っている…と思えるものだった。

魚の居場所までの距離が遠いことから、スプーンを投げていた私は更なる飛距離だけでなく、スプーンやメタルジグ以上のアピール力を増すために1ozのメタルバイブにチェンジ。

誰よりも遠くに、誰よりもルアーを目立たせ、水を切り割くようにルアーの速度を直線的に維持してハイスピードで引く。

これは前年度(2012年5月)、北海道の海サクラマスの釣りにてジグミノーの高速引きでヒットさせた経験(でも、この時はバラシに至る)をこの川に向けてアレンジし、私なりに再現した釣り方。

 

すると、隣に入っていた奥田さんと私にダブルヒット!!

奥田さんは青銀カラーのスプーンを超遠投しての表層引き。

私はメタルバイブの上層高速引きでのヒットだ。

私の方がルアーが重い分、より遠くまで飛んでいるので沖の位置で掛かっているが、いずれにしても隣同士でお互いにファイト態勢に入る。

が、途中まで寄せて来たところで私の魚はフックアウト!

40mほど先で、魚に首を振られた時、フックが外れてしまったようだ。

ルアーの重心が一か所に偏るだけにメタルバイブでのサクラマスを掛けると、バラシ率の高さも実は目立つ。現在の既存製品ではこれだけは完全には避けられない。

 

奥田さんの魚は無事にランディングに至った!

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待望の魚を手に。

さすが、エキスパート! おめでとうございます!!

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その後も1ozメタルバイブでの攻めは続く。

が、並ぶ釣り人の列に私以外にメタルバイブを投げるアングラーは誰一人とていなかった。

そして並ぶ釣り人の皆の多くが使う17g~25gのスプーンを上回る飛距離とスプーン以上の集魚効果が私はどうしてもほしかった。

まずは、ルアーを遠くまで飛ばすこと。

そうすれば、自分が投げた以外のルアーは魚の視界にはまず入らない。

しかも強波動で、濁りのベールを軽く打ち破る特性も、活性が上がったヤル気のある個体だけを選んでバイトさせるには打ってつけ。

だから、そのルアーの存在を察知したサクラマスは必然的に私のルアーに襲う=ヒットするという構図を強く意識していた。

「このルアーを襲える魚だけが襲えばいい。」

正確には、このルアーを襲う“意志”のある魚だけが襲ってくれればいい。

水の中に投じたルアーに期待することは、ただ、それだけのことだ。

そしてまた2度目のヒットが訪れる。

フルスイングしなくてもおよそ70mは飛んでいる。そこから引っ張ること半分だから、沖35m先でのヒット。

レンジはやはり上層で、案の定、高速巻きで「ドス!」という勢いで喰ってきた。

この魚は珍しく上流へ向かって走っていった。途中、背ビレを水面に出し暴れ回ったところで、マスの口からルアーが勢いよく飛ばされルアーが空中に舞った。

残念!本日2尾目のバラシ。

が、この時は「絶対また掛かる!」という意識しかなかったので、本来であれば痛恨のバラシも気にならなかったから本当に不思議。

普通、サクラマスを立て続けにバラせば、悪夢に支配されそうなものだが、この時は無我夢中で何も感じなかった。

 

そして、そろそろ夕方が迫り、陽の光にも陰りが出てきた頃。

これまで使用していた青系の色ではそろそろ水中では暗いだろうと、チャート系カラーにチェンジ。ルアーは変えずにカラーだけを交換したのだ。

その3投目のこと。大遠投先から上層を高速リトリーブしていると、本日3回目となるバイトで手が止まった。というよりも急激な負荷で強制的に止められたのだ。

ドス!という急な重みが乗ると共に穂先は「クックックッ!」とサクラマス特有のスネーキングを伝える。ロッドの反発力により動きを制御されたマスが身をよじるように口元の針を外す挙動がこれだ。

今度こそ、バレないように「追いアワセ」を短く2回入れて、本アワセをサポートする。

その後の引きは、ひどかった。

まるで青物でも掛けたかのごとく激しく引き出されるライン。悲鳴のごとく高音の叫びをあげるドラグ音。私自身、サクラマス相手にかつてこんなにもドラグが奏でる音色を聞かされたことはない。

寄せては走りを繰り返すその様は、まさに魚にとっての死闘と称しても差支えないもので、ひとたび走れば9ftシーバスロッドが魚の突進で“のされてしまう”程の衝撃だった。

だから、相手が急激に引き込んだ時にはフォアグリップとグリップエンドを両手で押えて引きに耐えた。

サクラマスには違いないが、これまで釣ってきたのとは全くとの別物。とてもではないが、片手だけでは魚のパワーを受け止められなかった。

それにしても、いかがなものだろう。シーバスロッドを限界まで曲げてくれるとは何事か!?と思った。

魚の大きさもさることながら、その引きの強さには本当に驚いた。

しばし続いた攻防にも、ようやくの終焉の時が見えてきた。

まるでシイラを彷彿させるかのごとく、水面から全身を出して数回に渡るジャンプを繰り返す相手は大きく、そして太い。

軽く3キロは超えているのは間違いない。

しかも顔つきが……いつも釣る魚らのそれとは違う……。

なんと!鼻が曲がっているのだ。

そう!まさしく「オス」のサクラマスなのだ。

周囲が仰天しつつも見守ってくれる最中、ランディングに向けて一か八かの勝負を掛けた―。

 

重々しい重量感と共に、ネット枠を上回る魚体。

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サクラマスでは自己最高となる3.5キロの重量(JGFA認定ポータブルデジタルばかりにて計測)。

小学生の頃から続く、私のサクラマス人生でも初めて手にしたオスだった。

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全長こそ65センチに留まったが、この北上川でオスの3.5キロに出会えたことは感無量に尽きる。

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オスのサクラマス、3.5キロ(65センチ)。

 

やり遂げた達成感で、身体に張りつめた緊張はその全てが解放されていくのを感じた。

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 この日、3尾ヒットさせたうちの1尾キャッチ。

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今、振り返ればバラした残り2尾も惜しかったのかもしれないが、そのどれもが1ozメタルバイブの上層高速巻き。

ヤル気のある魚だけに襲わせる、“マスの闘争本能に訴えかける”釣り方。

スプーンの釣りでもない。ミノーの釣りでもない。バイブレーションプラグの釣りでもない。

「メタルバイブレーション」での横引きの釣りだ。

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この日に限って重要だったことは下記だ。

リフト&フォールはしない。

ボトム転がしはしない。

ジャークもトゥイッチも入れない。

直線で真っ直ぐな軌道でルアーを引っ張る。

これら絞り込んだ戦略を着実におこなうこと。これが大事だった。

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バイブレーションというカテゴリーに在り来たりな「リフト&フォール」というアクションををあえてしないテクニック。通常のバイブレーションプラグとは全く異なるルアーとして用いる、メタルベイトとしてのメタルバイブならではの使い方がキモだった。

反面、重心が一か所に偏るためバラシの多さも目立つが、それを持ってしてでもフィールドの特徴が合致するのなら、サクラマス釣りにメタルバイブが効くことは確かだ。

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数々のバス用メタルバイブとシーバス用メタルバイブを用いて試行錯誤を続けてきたメタルバイブレーションの釣り方を数年かけて、ようやく自分なりにマスターしたこの日。

サクラマスに有効なメタルバイブは、バス用やシーバス用とも求められる性能や使い方、重心の位置関係やフックシステム、ルアー全体のシェイプもまた違う部分があるということ。

私が愛用しているのは、数あるこのジャンルのルアーの中でもこの日現在までに最も理想に近いとするものだった。

その過程で獲った魚は、これまでのサクラマス人生においても強烈な思い出として記憶に焼き付く魚となってくれた。

 

●海を回遊していた記憶をもう一度、サクラマスに思い出させること。

●上記の他にメロウド(正式名称はイカナゴ。北海道ではオオナゴとも言う)を捕食していた記憶をも思い出させること。

●ルアーの形と動きをメロウドに似せること。

●魚に本来備わっている闘争本能を掻き立てる、強い波動を伴うこと。(魚の本能を刺激すること)

●スプーンやミノーよりも目立つ存在であること。

●ルアーが泳ぐ軌道が蛇行せずに、直線的に真っ直ぐに引けること。

ここまでが、北上の大河に回帰したサクラマスにメタルバイブが有効であることは把握に至った。

もちろん、メタルバイブが威力を最大限に発揮する条件が揃った時にこそ、である。

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雨に打たれ、雪に濡れたこの日。

逆境に打ち勝って獲った希少な出会いを果たせた1日。

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重さや大きさというよりもこの水系では希少なオスを釣り上げられたことが、本当に、本当にうれしかった。

この後の釣行でもメタルバイブレーションは活躍を続けたから、その効果はやはり本物だと実感を深めた。

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その目指す高みは、彼らがやってくる広大な大海原へも夢と共に広がるのであった。

 

■タックルデータ(2013年4月)

●ロッド:シードライバーNSDS-90ML-PW

●リール:ステラ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●スナップ:カルティバ/クイックスナップ2号

●ルアー:ビッグバッカー1oz

●フック:カルティバST46♯6番

●ジャケット:カルティバ/ゲームジャケット2

●偏光グラス:ZEAL OPTICS/Vanq

●偏光レンズ:TALEXイーズグリーン

桜、花旅。~サクラマスの話~(2)

宮城県北上川―。

前回に続く釣行(2013年4月)。

この日もまた期待を胸に川辺に立つ。

4月の中旬、咲いた桜の花も満開だ。

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早朝から川に立つが、朝マズメはもとより午前中の釣りは不発に終わる。

サクラマス釣りでは当たり前に過ぎる時間だ。とは言え、シーズン的に考えて魚は確実にいる。

場所と時間を合わせて、マスの口元にルアーを運べば、そこにいるはずの複数尾のうち1尾くらいは反応を示すはず。

だから、決して諦めてはいけない。

遡上魚を狙う釣りは、まさに一期一会。

余程の偶然が重ならない限り、その都度、同じ魚との出会いはないわけだから、今この瞬間を大切に釣りに挑む姿勢が望まれるのもまたサクラマスの釣りだろう。

 

午後、ポイントを下流側に移動し心機一転を図る。

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通常、北上川水系のサクラマス釣りでは私の場合は釣り場に2セットのタックルを持ちこんでいる。

1本目は9フィートのロッドにPE1号のタックルでこちらはスプーンを筆頭に、メタルバイブから通常のバイブレーションプラグまでの重量級ルアーを振り切るためのもの。

2本目は8フィート3インチのロッドにPE0.8号のミノー用のタックル。さすがに9フィートロッドでミノーを小刻みに動かすとなると腕~肩に負荷が掛かるので、この場合には飛距離を落としたとしても操作性重視のショートレングスが使いやすい。

又、9フィートロッドではオーバーヘッドキャストがしにくい狭い空間での釣りでもこの長さのロッドは重宝する。

つまりポイントのオープン度(開け具合)と使うルアーの動かし方によって、上記2つのタックルを使い分けている。

 

このポイントでは周囲が少し閉鎖空間ということもあり、9フィートロッドでは取り回しが悪いため、8フィート3インチのロッドに持ち替えてキャストする。当時、こちらのロッドにはPE0.8号を巻いたリールがセットされていた。

流れが効いているので、ミノーを投じると思いのほか早くトレースゾーンを泳ぎ切ってしまうため、少しでもゆっくりとルアーを通すために水の抵抗を受けやすい幅広タイプの18gスプーンに付け替えた。

川底のストラクチャーと時折、コンタクトするように引く。引き方は例によってスピナーベイトのスローローリングのように。

その時に魚はヒットした。特有の首振りがロッドの穂先を叩き、大きなマスの暴れ具合が伝わってくる。

隣で小休止していた同行者の井上さんに「来ましたよ~」と一声かけたタイミングで下流に向かって魚が走り出し、ドラグが出ていく。その過程で川底の何か障害物にラインが触れながらドラグが作動している感触があった。

リーダーはフロロカーボン20lb。私の愛用するクレハ製のフロロ(シーガーショックリーダープレミアムマックス)はお世辞抜きに強靭なので、60センチ前後のマスの引きでラインそのものが引きちぎられる心配はない。でも、具合が悪いのはPEライン、そう、メインラインの方だ。

PEラインは障害物に何も干渉しない状態での直線での引っ張り強度にはケタ違いに優れる反面、硬い物に対する擦れには著しく弱い。そのあたりはナイロンやフロロカーボンよりも心配だ。

ザクザクと擦れが伝わるメインラインPE0.8号にとって、そのファイトは限界に達した。サクラマス釣り人生、初めてのファイト中のラインブレイク。

サイズもそれ相応だと思えるものだったが、第一に魚を掛けた位置が悪かった…。

 

この一部始終の様子に、隣で見ていた小休止中の井上さんの中に火が灯ったようで、再び竿を振り出すと5分としないうちに隣で本命をヒット。

私はランディングサポートに回る。

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彼の手にシーズン4尾目のサクラマスが横たわる。

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サクラマス釣りは喜びを共有しあえるのも魅力だ。

 

 

「魚は確実にまだいる」と確信した私はタックルを交換し、擦れ対策でPE1号が巻いてある9フィートロッドに持ち替えた。

 長さゆえに草木の込み入ったポイントでは投げにくいのが少しの難点だが、ここは掛けた魚を強引にでも寄せてくるためにタックルパワーもアップした。

ただし、魚を獲る戦略はラインの号数アップとロッドの強化だけではなく、ルアーにも注いだ。

ルアーは18gスプーンから同じ銘柄の15gへと重さを逆に下げたのだ。

これによりフォーリングスピードが落ちるので、川底にあるストラクチャーまでルアーが到達する前にフォールの最中に魚に喰えさせる目的のためである。

そうすることで少しでも上のレンジでヒットさせてすぐさま引っ張り上げてしまえば川底にどんなストラクチャーがあろうが、ラインの擦れでのブレイクは極力避けられるからだ。

 

その作戦は見事的中した。魚を逃した悔しさは次の向上心へ繋がる。

ヒラヒラを舞い落ちる15gスプーンのフォール中にサクラマスは再び私のルアーを急襲した。

フォール中のアタリを取ることには長年のロックフィッシュゲームで長けている。要は、ジグヘッドワームのフォーリングの釣りを今はスプーンでやっているだけ、なのだ。

今度は逃がさない。ラインもPE1号という安心感は心強い。

しばしの攻防の末、高鳴る興奮は完結した。

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安堵の瞬間だった。

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軽く“じゃれる”ようなバイトも絡め取るように、長年の経験から割り出したお手製フックが確実に大鱒の口腔を捉えていた。

 

「釣れない釣り」もサクラマス釣りならば、時に「釣れる釣り」もまたサクラマス釣りなのだ。

予想が確信に満ちた時、この釣りは最高にエキサイティングな釣りへと変貌する。

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そのギャップもまた釣趣を高めるエッセンス。

 

前回に続く幸運を手に、次の釣行も更なる高みを目指す。

 

■タックルデータ(2013年4月)

●ロッド:シードライバーNSDS-90ML-PW

●リール:ステラ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●スナップ:カルティバ/クイックスナップ2号

●ルアー:テッペンスプーン15g

●フック:オーナーばり/OH丸せいご22号をベースにした自作シングルフック。ループ部の組糸にオーナーばり/ザイト・パワーフレックス50lb、根巻き糸にはオーナーばり/テクノーラ根巻糸を使用。

●ヘッドウェア:カルティバ/ダメージドカルティバメッシュキャップ

●ジャケット:カルティバ/ゲームジャケット2

●偏光グラス:ZEAL OPTICS/Vanq

●偏光レンズ:TALEXトゥルービュースポーツ(シルバーミラー仕様)