ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。
NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)評議員

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

桜、花旅。~サクラマスの話~(1)

年度末ということもあり、3月は1度しか行けなかった昨年(2013年度)のサクラマス釣り。

しかも3月の釣行では朝の2時間ほど竿を振っただけ、という僅かな釣り時間につき、いよいよ4月中旬になってから2013年度のサクラマス釣りを本格始動したこの日。

東日本大震災に見舞われた2011年を除いては過去最高の出遅れ感(釣りに取り掛かる、という意味で)はあったものの、釣り場で余計なことを考えるのはナンセンス。今は、そんなことは気にしないようにしよう。

目の前にいるであろう、目標とする魚と周囲への安全面だけに注力することが大切。

ここは宮城県北上川。

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朝の放射冷却が容赦なく、体温を奪う。

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枯草に霜が降りる早朝の川辺。

北国の春の初めは1日の間でも気温差が大きい。

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それだけに体力的な負荷も大きいので、気温に合わせてその都度着衣は調整する必要がある。

 

早朝、川辺に立つと雪代の影響から「ささ濁り」になっていて、川の水色的には良さそうだった。

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私が河川内でのサクラマス釣りに用いるルアーの色はルアーの種類は問わずに、「金黒オレンジベリー」と「赤金」の2色を基本としている。

ささ濁りの水色の時は、これらよりも更に強い色にも反応が良いので、今日はチャート系にピンク紫が交じった色の18gスプーンから投入。

水を切るように動くジャークベイト型のミノープラグなどと異なり、スプーンは水圧を捉えるとその流速がどのくらいのものであるか、リールのハンドリングから容易に伝わってきやすい。

それゆえに海サクラマス狙いの場合は別として、河川内では余程、魚の意識が上層・表層にない限りは私はスプーンを投げて様子を伺ってから、その後に続くタイプ別ルアーローテーションを考えている。

 

朝6時30分前のこと、レンジを極力浮き上がらせないように引いていたスプーンをマスが襲った。

ロッドの穂先が“ククッ”とマスの反転を捉えた瞬間を手元に衝撃として伝わる前に偏光グラス越しに“ラインの変化”で目視していたから、魚が喰ったことは一目瞭然に明確に分かった。

偏光グラスを用いる意味は単にボトムの起伏を見るだけではない。

空中にあるラインの変化(ラインの揺れ・触れ)をもしっかりと自分の目で目視するためにも偏光グラスは有効なのだ。

思いっきりフッキングすると、サクラマス特有の首を振りながらグネグネとローリングを織り交ぜつつ時折、急激に強く引き込む。

濁りがあるので最後の最後まで魚影は見えないが、足元に寄せてからラインが緩んだりすると最もバレやすい状況になるので、ラインテンションだけはネットの中に魚が完全に入るまで抜かないようにやり取りをすれば大丈夫。

特にメインラインにPEラインを用いる場合には、ラインテンションの抜けが予期せぬバラシを招くことがあるので気を配りたい。

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サクラマスが掛かった瞬間が、この釣りをやっていて自分にとっての一番うれしく思う瞬間だ。

 

ネットに収まったのは濁りの中でもシルバーフラッシュが存在感を示す本命。

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清々しい気持ちに、魚が反射する朝陽が一段と眩しい。

 

ルアーの引き方が良かった。

透明度の少ない河川下流域、それも雪代の濁りが影響している時にはルアーのシルエットを極力、魚に強調させるように引いてくる。

そのため、リールを巻くことでルアーを動かすのではなく、ルアーを引っ張った分、反動で生じる糸フケ量だけリールを回転させて連続的に回収する、という技法をこの日は最重要視していた。

なのでロッドにスプーンの振動がカリカリと伝わってくるスピードを維持しながら引くので、ルアーが動くスピードは「ゆっくりめ」である。

一番分かりやすいのは、スプーンはスピナーベイトのブレードとして捉え、バスフィッシングでいうスローローリング・テクニックをロングスピニングロッドで行う、ということ。

ここでいうロングスピニングロッドとはバスロッドの長尺モデルのことではなく、サクラマスロッドであったり、サクラマス釣りへのシーバスロッドの代用からくるロングスピニングロッド、という意味である。

 リールで巻いてルアーを動かそうとすると、どうしてもルアーを引っ張るスピードが自分の意識している以上に早くなり過ぎてしまっている時があるので、これには注意が必要だ。

そのようなことがないように、大場所のトロ場みたいな釣り場でスプーンをゆっくり引く時には私はローギヤのリールを用いる。

 

朝から刺激的なこの1尾で心は満たされた。

この後も粘れば釣れそうな予感はあったが、この日は最大でも昼までしか釣りの時間が取れなかったことから、9時までで釣りをしたところで納竿。

帰り際、足元で見つけたツクシ。ゆるんだ陽気が北国へも春本番が近くまで迫っていることを教えてくれる。

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この魚が昨年のサクラマス釣りの本当の始まり。

のちに6月まで続く、宮城県・岩手県・北海道と釣り歩いた“桜、花旅”がいよいよスタートするのだった。

 

■タックルデータ(2013年4月)

●ロッド:シードライバーNSDS-90ML-PW

●リール:ステラ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ0.8号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●スナップ:カルティバ/クイックスナップ2号

●ルアー:テッペンスプーン18g

●フック:オーナーばり/OH丸せいご22号をベースにした自作シングルフック。ループ部の組糸にオーナーばり/ザイト・パワーフレックス50lb、根巻き糸にはオーナーばり/テクノーラ根巻糸を使用。

●ヘッドウェア:カルティバニットキャップ

●偏光グラス:ZEAL OPTICS/Vanq

●偏光レンズ:TALEXトゥルービュースポーツ(シルバーミラー仕様)

桜、花旅。~サクラマスの話~(エピソード・ゼロ)

先日、出先から戻ると私宛てに雑誌が届いていた。

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「月刊家電批評2014年5月号」

こちらの本は家電用品にフォーカスを当てた生活雑誌。

その編集部から「東日本大震災から3年が経過した今現在の東北の復興状況や釣りの様子を教えてほしい」とのインタビュー依頼があったのは2月のこと。

私自身「魚釣り」に関する雑誌や本、つまり釣り雑誌の仕事に携わること早12年超も経つと、その制作における終始の過程も分かっているのだが、釣り雑誌以外の雑誌から要件を依頼されるのは珍しい事だったので、自分の中では凄く新鮮に感じました。

機会がありましたら、ご一読ください。

 

 

先週は関西に行っておりました。

道中、機内から見た阿武隈山地。

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正式には「阿武隈高地」と呼ぶ、宮城県南部から茨城県北部にまたがる山脈のことです。

まだ至る所が雪に覆われています。

 

関西に到着すると、ご覧のように桜の花が満開で私自身今年初めて見る桜に気分も弾むものでした。

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桜の季節は風情があっていい。

日本が、より日本らしく感じられる季節。

決して派手さはないが、この国が古くから有する「彩り」の“奥ゆかしさ”が好きですね。自己主張し過ぎない控えめな品の良さがGood!

 

昨日は宮城県仙台市で桜の開花宣言が出ました。先週、関西で見ていた景色を地元・東北で見られるのも間もなく。

春の訪れが遅い北国では、仮に桜の花が開花しても“花冷え”することは珍しいことではなく、そのような意味では本格的な春本番というのは桜の開花した時期というよりも、5月のゴールデンウィークが明けてから、という認識の方が強いのかもしれません。

雪代の流入が一区切りつき、海の水温が「沿岸部の釣りに適する水温」になっていくのも、ちょうどその頃から。

実際に、昨年などは4月21日に宮城県内は雪に見舞われています。

下の写真は当日、北上川の畔での様子です。

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4月なのに…サクラマスタックルに降り積もる春の雪。

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ロッドのガイド周りとラインはこんな感じになってしまうのです

 

そんな季節の変わり目は、そう、サクラマスの好期。

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3月、4月、5月と移りゆく川の景観に、とびきりの美しさが宿る。

そして近代、その釣りの舞台は海にも広がってきています。

 

 

桜、花旅。

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川に、海に、大鱒を追い求めて北上を続ける旅。

 

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この旅で出会うのは故郷を目指して舞い戻る、ヤマメたちの最後の姿。

上の写真、鼻曲りのオスのサクラマスは先述した通り、4月にもかかわらずの雪の中、そして雨の中、全身びしょ濡れになりながらも朝から夕方まで一心不乱に投げ続けて獲った1尾。

前日も出た釣果に「翌日も必ず釣れる」と信じて叩き出した結果。

足腰に残るダルさも、腕・肩の疲労も、この至高の1尾との出会いが釣り師を満たし、解放してくれた。

そう!すべてが報われた、重量にして3.5キロ(全長65センチ)の分厚い魚体。

 

掛かった瞬間から周囲に響き渡る、けたたましいドラグ音。

跳ねるは、走るはでとんでもないパワーを見せつけようとする相手に「絶対に逃がさない!! 獲る!!」の一心で対等。

その時の興奮を昨日の事のように鮮明に覚えている。

こんなのが釣れるのだから、サクラマス釣りは最高なんだ。

 

昨年のシーズン(2013年4月~6月)の綴りがまだでしたので、私のブログでは次回分から続けてサクラマスの話題を一話ずつ抜粋してアップしていきます。

“サクラサク、春の旅。”

釣り人の憧れ尽きない、「桜鱒=サクラマス」話に、しばしお付き合いのほど、よろしくお願いします。

「月刊家電批評2014年5月号」発売

★プロズワンからのお知らせ★

4月3日(木)「月刊家電批評 2014年5月号」(晋遊舎)が発売されました。

 

■家電批評サポートセンター・勝手に釣り批評

「東日本大震災から3年。最近の東北の釣り場はどうですか?」

との問いに返答した佐藤文紀のインタビュー記事が掲載されています。

 

ぜひ、ご一読くださいませ。

更新情報

★プロズワンからのお知らせ★

PUBLISHINGページ【最新情報】・【雑誌・本】に

「SALT WATER 2014年5月号」を追加致しました。

OWNER MOVIEに佐藤文紀出演「夢釣行~瀬戸内・香川にキジハタゲームの新境地を見た!~北の釣り人 讃岐釣行記~」が公開されました。

★プロズワンからのお知らせ★

昨年11月に放送されました佐藤文紀出演のテレビ番組、BS日テレ・夢釣行~一魚一会の旅~「瀬戸内・香川にキジハタゲームの新境地を見た!~北の釣り人 讃岐釣行記~」がOWNER MOVIEとして公開されました。

瀬戸内海・香川県高松市周辺を舞台に近年、人気急上昇中のロックフィッシュ「キジハタ」を追い求める釣行記です。

こちら(↓)からご覧頂けます。

http://ownertv.jp/detail/?id=149

 

ぜひ、ご視聴下さいませ。