BS日テレ「夢釣行」ウサギアイナメ~夢の魚との再会~
今週末、7月27日(土)夕方17時からBS日テレ「夢釣行~一魚一会の旅」が放送されます。
ロケと重なり当の本人はこの時間テレビを見れていないと思いますが、お時間ご都合の良い方はぜひご視聴頂ければと存じます。
今回は「ウサギアイナメ」のお話です。
これは2005年10月発売の地球丸「SALT WATER2005年12月号」。
ずいぶん前の本ですが、私が初めて北海道を訪れたのはこの取材の時でした。下の写真にもありますように「北方根魚図鑑」というタイトルページを担当させて頂きました。
今から8年前の8月のことです。
上記雑誌にも書いているのですが(原稿は私が担当しています)、話を遡ること自身の高校時代、学校の図書室で読みあさった魚類図鑑で知ったウサギアイナメの存在に驚きを隠せなかったのが、そもそもの始まりでした。
ウサギアイナメという名前もそうです。
魚なのに「ウサギ」と付いている名前だけでもインパクト大(普通に考えて、なぜウサギ?って思いますよね)ですが、それ以上に小さい時からごく普通に釣っていたアイナメではありましたが、「世の中には紫色をしたアイナメがいるのか!」と知った時、それはそれは…衝撃ものでした。「え!!? 何!? この色のアイナメは!!!」という驚きです。
こんな種類のアイナメが日本にいるのなら、いつか釣りに行ってみたい!いや、絶対に釣ってみたい!!と私は強く思いました。
その思いはやがて「想い」となり、いつの日も「夢」と「憧れ」となってずっとその心の中にあり続けました。
小学校時代、「いつの日か必ず釣る」と誓った湿原の王者にして、日本最大・最強の淡水魚“イトウ”。
人呼んで「幻の魚」と称されるイトウを釣りに初めて挑んだ2009年。
この時は6尾掛けて4尾キャッチ。
最大は写真の1メーター5センチ。
PE1号+25lbリーダーで15分間もの壮絶なファイトに耐え、ランディング。
湿原に降リしきる雨の中、この巨大魚に手を触れた時、目元からも感動の雨が流れ落ちた。心臓が破裂しそうなほどの興奮。長い釣り人生でもこんな経験は初めてだった―。
そして、高校時代に新たな夢に加わった海水魚「ウサギアイナメ」。
この「夢の二大ターゲット」はその後の自身の釣り人生そのものでもありました。
そこまでに釣りたい一心で憧れ、夢を見続けた魅力の尽きない素晴らしい魚たち。
北海道を初めて訪れた2005年8月。ウサギアイナメが生息しているという釧路を目指しました。
釧路には「たんちょう釧路空港(以下:釧路空港)」がありますが、最寄の仙台空港からは直行便がないため上京し羽田空港から釧路空港へ飛びました。
初めての北海道での釣り、ワクワク感と緊張感で前の夜は全然眠れなかったものです(笑)。
釧路空港に到着すると、出口で待っていてくれたカメラマンさんと合流し、翌日から実釣取材が始まりました―。
時は流れ、今でこそ道内には沢山の友人や仲間が出来ました。一度会えば友達!、二度会ったら親友!ぐらいの勢いで私は捉えていますが、そういった皆さんがいるということに本当に感謝しているし、うれしく思っております。
でも、この時は違った。
道内には誰も人づてがなく事前情報は自分で調べた心もとない僅かな知識だけでした。協力者もいません。釧路に到着し明日から始まる取材を前に現地の著名釣具店さんに立ち寄り、ウサギアイナメとは具体的にどんな魚なのか、どんなところに行けば釣れるのか、を真剣に「教えて下さい!!」と尋ねたのを今でもなつかしく思い出します。
その翌日、夜明け前から地図を広げ自分で「このあたりかな?」と何カ所も候補を選び、釣りしては移動の繰り返しでしたが、朝の9時か10時頃だったでしょうか。
いつものアイナメとは異なる鋭いアタリを感じ、つい反射的に鬼アワセを入れたのです。そしたら思いっきり竿が曲り、無我夢中になってファイトしました。
水面に現れた魚の“紫色”はそれまでの釣り人生では非日常的なもので、待ち構えているカメラの前で釣った40cmオーバーの人生初にして、夢に見続けてきたウサギアイナメにハンパなく歓喜し、魚を持つ手が興奮で震えた自分がいました。
それはもう、うれしくて!うれしくて。
私にとって、ウサギアイナメとはそれ程までに強い想い入れのある魚であり、この魚に出会いたいからこそ北海道に釣りに行く決心をあの時しました。
そしてその時です。北海道というケタ違いのスケールに漠然とするほどの感銘を受け、この土地が大好きになりました。
そのような意味では佐藤文紀と北海道を結びつけたのは、イトウの存在であり、このウサギアイナメでした。
これが私にとっての、北海道です。
例え時代は変わっても、変わりもしない釣り師の夢と情熱。
今回の夢釣行はそんな特別な魚への敬意を綴った内容です。
時々身に着ける、お気に入りの時計が紫であること。
シューティンウェイのワインディングチェックが紫であること。
初めての一冊書き下ろした著書のタイトルカラーが紫であること。
初心忘れるべからず―。
そこには、かつてこの世界に飛び込むことを決めた10代の頃の自分との約束と誓いがあるからです。
Dream&Passion
夢と情熱の精神。
昔から「緑色」が一番に好きだった自分が、双をなすほどに紫色も好きになった理由は、これで分かりましたよね。
左がウサギアイナメのオス、右がウサギアイナメのメスです。
生まれながらにして雌雄で色が違うのも、通常のアイナメとは異なります。
でっかいカジカも登場します!
この大きさになるとカジカもハンパない。まさに…小さな“怪獣”と言ったところです。
こんな迫力溢れる魚を「釣った!」という実感…。
これがロックフィッシュゲームの醍醐味です。
2005年、初めての北海道の行先だった釧路空港。そして2013年の今年。再び5年振りに降り立った釧路空港をスタートに紫色に発色するウサギアイナメを追いかける旅に出ました。
もちろん今回はいち釣り人としての満足の追及ではなく、表現者としてテレビをご覧の視聴者の皆様にその熱い想いをお届け出来れば本望です。
これを観て「自分もウサギアイナメを釣ってみたい!」、「本物を見てみたい!」と一人でも二人でも思ってくれたならば、この番組の意義を成し得た瞬間です。
2013年7月27日。
現30代の私が10代の時に思い描いた憧れの魚との出会いを、【再会】という形でお届けする今回の夢釣行~一魚一会の旅~。
北海道。
釧路。
紫色。
そして、ウサギアイナメ。
あきらめなければ夢は叶うんだ、ということを特に若い皆さんには知ってほしいと願っています。
佐藤文紀の最新のウサギアイナメ釣り、ぜひご視聴頂ければ幸いです。
<番組詳細>
おかげさまで昨年の同番組ロケ時の模様は大きな反響を頂き、今年2013年5月にはアンコール再放送に至りました。そんな視聴者の皆様の声にお応えしての、ロックフィッシュ編・第2弾!として、今回の下記・番組が組まれました。
放送局:BS日テレ
番組タイトル:夢釣行~一魚一会の旅~
「憧れの魚に再会したい!北海道・道東のウサギアイナメ」
出演:佐藤文紀
ロケ地:北海道釧路市、厚岸町
放送日時:2013年7月27日(土)PM17時~17時30分
<番組の見どころ>
アイナメからハタまで全国的にロックフィッシュ、いわゆる「根魚」をルアーで狙う釣りが人気を増す一方、一部の地域でしか見ることのできない、アングラー憧れの珍しい種類の根魚も国内には生息しています。
北海道の道東地域に局地的密度で生息するアイナメの珍種「ウサギアイナメ」。
昨年に続く、夢釣行・ロックフィッシュ編では日本海側の積丹半島/小樽からその舞台を太平洋側の釧路/厚岸に移し、北の海ならではの厚いコンブが密集する根周りに潜むこのウサギアイナメを最新の注目リグを駆使して佐藤文紀が追い求めます。
繊細かつダイナミックなゲーム展開は勿論のこと、道東ならではの旅路や豊かな自然との調和も見どころ満載です。
全国的に広く知れ渡るアイナメとも異なる習性や魅力を持つウサギアイナメ―。
佐藤文紀と北海道を結びつけたルーツがここにありました。
2013年7月24日 | カテゴリー:雑誌掲載・DVD