ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

移りゆく、季節。

彼方を目指して編隊飛行する白鳥の群れ。

1

本格的な春の訪れを前に、冬鳥たちとの別れの季節がやってきた。

また会おう、次の冬に―。

 

 

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉にもあるように、長らく続いた冬の寒さもこの頃は幾分和らいできたように感じる。

新年度を控えた年度末。殺伐とした日々に変わりはないが、短い時間を縫っては北上川にサクラマス釣りへ。

 

実はまだ昨年のサクラマス・シーズン(2013年度4月~6月)のお話をたくさん用意していたのだが、なかなか綴る時間がないま今に至ってしまったので、まずは先日の近況釣行話から。

 

東北の釣り場の朝。ロッドガイドが凍り、リールのラインローラーも凍る。耐久性に優れたPEラインとて凍結を繰り返すとラインの痛みも温暖時期よりも早くなるのは致し方ないところ。

そう、朝の放射冷却はタックルのみならず、身体にも堪える。

 

それでも目指す1尾がそこにいるのだ、と信じて今年も北上の大河と正対する。

今期(2014年度)最初に出会った魚は朝マズメ、6時20分頃だったろうか。

 2

やや上のレンジに魚の気配を感じたので、スプーンをボトムべったりまで沈めずに中層に浮かせた状態で流れに絡めるようにスローローリングさせていた。

スプーンの引き方は、スピナーベイトのスローローリングのテクニックのように、リールのハンドリングの初速で流れを最初に掴んでしまう。

3

このテクニックを駆使する場合、ハンドル1回転目の初動(動きだし)がとても大切になる。

つまりはルアーが動きだしのために掴む水圧をハンドル一回転中におけるワン動作でおこなう、ということ。

ご周知の通り、巻き心地の良いリールは今のご時世たくさんリリースされている恵まれた時代にあるものの、この初動を意図して行えるリールとなると、物を選ぶ世界がまだ残されているのだ、と近頃改めて気が付いた。

あとはレンジコントロールしやすいスプーンを使うことで一定層から外れにくい状態をキープして横方向へ引ける。

水深のある釣り場の場合、落とし込みの最中にも魚のバイトを拾える構図となるが、この時、意図的にフォールで喰わせようとするとニゴイやマルタウグイなどのコイ科の魚が近くにいた場合には彼らのバイトを誘発してしまうことがあるので、私は横方向への直線引きで“誘い出し”を掛けることが多い。

要はサケ科(マス)とコイ科の魚の混生域において、コイ科の魚を自分なりに避けて釣り続ける方法である。

この「横方向への直線引き」というのは昨年、この川でメタルバイブの釣り方を掴んだことがキッカケとなり、その際に「あぁ!やっぱり!」と実感し、それを再現と言おうか、自身の中で強固な技術として習得・確証したくその後、北海道の海サクラ釣りに行って実際に釣果を重ねたことで核心を掴んできたもの。

 

この日、早々に訪れたマスと分かる引き込みを感じた後は、少しの緊張を伴う。

毎年1尾目の大鱒は特にバラしへの緊張が高まるが、これもまたマス釣りの醍醐味。

 

ネットに収まったのは、朝日を反射するように光る魚体。

サクラマスだ。

4

この魚を手に、今年も出会えた喜びが込み上げる。

長らく続けていても、この釣りは“この瞬間”に全てが報われる思いがする。

 

これが1週間前の話。

 

ちょうどその日、私が釣り上げたあと同行者も念願の1尾を手に。

5

9ftのベイトタックルで18gスプーンを投げて釣っていた。ラインは、ルアーの浮き上がりを抑えるためのフロロカーボン14lb直結だという。

6

カメラを向けると今にでも喜びが爆発しそうな程、手が震えているのが分かった。

 

 

釣りの種類は対象魚の数だけ世の中にたくさん転がっていると思うのだが、大の大人の心さえも狂喜乱舞させる釣りは、もしかすると限られているのかもしれない。

だとしたら…サクラマスはそんな釣りの一つ、だろうか。

 

今年も北国にやってきた一足早い春。

サクラマス釣りの舞台は海にも川にも広がっている。

狙い方は多種多様。楽しみ方はエンドレス!

 

今年も共に春を釣ろう。

みんな一緒に。

6

サクラマス釣りを嗜まれる方、ぜひ釣りにお出かけください。

今シーズンも楽しみましょう。

 

 

■タックルデータ

●ロッド:シードライバーNSDS-90ML-PW

●リール:ヴァンキッシュ4000

●ライン:シーガーライトタックルフラッシュⅢ1号

●リーダー:シーガーグランドマックスFX5号(20lb)

●スナップ:カルティバ/クイックスナップ2号

●ルアー:テッペンスプーン18g

●フック:オーナーばり/OH丸せいご22号をベースにした自作シングルフック。ループ部の組糸にオーナーばり/ザイト・パワーフレックス50lb、根巻き糸にはオーナーばり/テクノーラ根巻糸を使用。

●ヘッドウェア:プロズワンキャスケット2013冬~2014春LIMITED

●ジャケット:カルティバ/ゲームジャケット2

●ウェーディングシューズ:リトルプレゼンツ/ミッドストリームWDシューズピンフェルトソール

●偏光グラス:ZEAL OPTICS/Vanq

●偏光レンズ:TALEXアクションコパー