ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

駿河の海で、会いましょう。(5)

この日は高いウネリがネックだが、魚の活性は良くアカハタの釣果は相当数に上った。

①

赤やオレンジ、鮮やかな色彩のアカハタ。

②

本当に美しい色彩を誇っている。

 

釣り上げたアカハタが口の中に食べていたエサを頬張っている場合、その7割方が決まってこの種類のエビだった。

③

ご当地の海域では重要なアカハタのエサになっているのだろう。

続いての2割がカタクチイワシ、残り1割がカニという内訳だ。

カタクチイワシはシイラやサメ、ワラサに追われて船の周囲ではベイトボールになって見えるくらいだから、その数は計り知れないほどの量がいるわけだが、これだけベイトフィッシュがいるのにも関わらず、イワシよりもエビを好んで捕食するところからアカハタは小魚食よりも甲殻類食の方が強いことがうかがい知れる。

 

実際、各種タイプ別に様々なワームをローテーションさせたが、カタクチイワシを意識したシャットテール系ワームにはバイトすら出ず、カーリーテール系ワームやグラブではポツポツ釣れる、ホッグ系ワームにすると、ほぼ確実にアタリが得られるという状況。

 

中でも赤色のホッグ系ワームはダントツのアタリルアーだった。

 

面白いことに、赤のパワーホッグ4インチの1.5ozテキサスを磯に向かって投げると、着水から2秒~3秒ほど沈んだところでラインに急激に横に走ることがあった。

これは着水したテキサスリグをシイラが引っ手繰っていくもの。

実際90センチほどまでのシイラをテキサスリグのノーアクション・フリ―フォールで釣った。

使っているのはドラグをフルロックしたベイトタックル。

メーターを超えないにせよ、ロックフィッシュ用ベイトタックルで90センチ前後のシイラが掛かれば、そのやり取りは予想外のエキサイティングな事態になる。

それでも安心なのはPE2号にシーガーグランドマックスFX5号のリーダーが接続されていること。グランドマックスはクレハ社シーガーブランドが誇る最高峰のフロロカーボン製ハリス。ルアー用リーダーとしても十分に合う。

最終的には猛スピードで突っ走る回遊魚相手にドラグフルロックはやはり無理があるので、ドラグを緩めて応援することになるが、1mそこそこのシイラ相手にこの竿が折られてたまるか!と気合を入れてブラインドサイト(シューティンウェイSWC-722EXH)でリフティングしてランディングに導く。(※ただし、意図しての真似はお止め下さいね)

ロックフィッシュ用ベイトタックルで最初からシイラを専門に狙うのは「魚釣り」としてはナンセンスだが、根魚を狙っている過程でたまたま掛かってしまう分には仕方ない。

それよりも不必要に魚を傷めないよう過度に長引くようなファイトは慎み手早くランディングし、リリースしてやった方が魚のことを考えれば好ましい。

 

魚が沢山いる海では何かと1尾、1尾の扱いが雑になりがちだからこそ、そうならないように魚に対しての気を配りたい。

これは今まで自分が心してきた「魚」という“生き物”に対する接し方のスタンス。

言わば、自分の中での約束なんです。

 

 

こうしている間にも大漁企画フレンズのメンバー皆さんは手慣れた様子でアカハタを連発していく。

次々にアカハタを連発する湘南支部の上川さん。

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皆が釣れてない時も一人だけ常にロッドが曲がりっぱなしの状態は、ハタゲームとしては爆釣の域に達していました。

菅原さんから「空気読めよ!」とゲキが飛んでいたが(笑)、その釣れ具合は「凄い!!」の一言に尽きる。

 

伊豆支部の土田さんも、さすがホームの海だけに大型アカハタを連発されてました!

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それにしても…この大きさのアカハタって凄いですよね!

 

「サクマジグ」の開発者である佐久間さんはなんとブレードテキサスでイサキを釣りあげ(ご本人も周囲も思わずビックリ!)、大漁企画の小野さん(ヒラスズキゲームのエキスパート)もアカハタを連発されていました。

全員に行き渡る本命の釣果に、船内は楽しく和気あいあいとした時間が流れる。

名峰、富士を眺める駿河の海はこんなにも豊かなのか。

 

アカハタはキジハタやオオモンハタなどよりも小型のハタで、最大でも40センチ前半までが通常だ。普通に考えれば40センチが最大というのが一般的。

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実際、その40センチのアカハタを釣ることは数が少ないので大変なこと。

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現状、サイズを選んで釣ることも難しい。

 

ここまでは好調に釣ってきた。数もかなりに達している。同じハタゲームでもキジハタ釣りよりも釣れる数は遥かに多いと感じた。

そこで単純な話で恐縮だが、小型が頬張りにくい大きなワームを使えば「喰えばデカイ!」を実現出来るものなのだろうか?と各種ワームローテーションに加え、パルスワーム6インチに至るまでワームを順次インチアップを図っていった。

が、しかし……これに喰ってくるのは小型のアカハタばかりだったのだ。フックはオフセットフック4/0を使っているのに6インチパルスワームにこそ20センチ~25センチのアカハタが掛かってしまい、30センチ以上は掛かってこなかった。

この時、カサゴは一切喰ってこないのに、アカハタだけは6インチのワームとは正反対に小型ばかりが喰うのだ。

「なぜに……?」

そしてパワーホッグ4インチやガルプSWダブルウェーブ3インチにワームを戻すと良型~大型のアカハタがまた平然と喰ってくる。

 

ワームの色についても考えてみたい。

キジハタはグリーン系やUV系カラーに強烈な好反応を示すことが多いがアカハタについてはこれらの色にはそれほどでもなく、むしろ「赤」に段違いで反応がいい。喰いが全然違うのだ。

これは「目の色覚」も影響していると強く感じた。

要は、眼球の色に伴う「色覚の認識の違い」が気になるところ。

キジハタの眼球は緑色。(ただし、絶命すると黒に変化する)

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それに対しアカハタの眼球は黒色。

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これだけで認識する色覚の違いはあろう。

好みの色も違いがあってもおかしくない。

 

そして、ワームサイズも単純にワームサイズを小さくすれば良いというものではなく、そのトータルでのシルエット(パーツのまとまり具合)や動きがベイトの種類に本当に合っているか?が重要だった。

もう一度、写真で振り返ろう。

⑩

この日アカハタのメインベイトは、間違いなくこの色の、この大きさのエビだった。

あからさまに偏食傾向にある、ということは西伊豆のアカハタは余程このエビが好物なのだろう。

そして、小型のアカハタほど好奇心も強いようだ。それだけに目立つルアーに真っ先に警戒心の薄い幼魚(小型サイズ)が勢いのままに跳びつき、周囲にもきっといるであろう「ある程度の大きさ」に達した成魚はこの事態をじっと凝視して見極めているのかもしれない。

通常、魚は成魚ほど好奇心よりも警戒心の方が強くなるだけに、アカハタも大型ほどシビアにルアーを選り好みしてバイトしているのを実感。

キジハタもそうだが、総じてハタの類は動体視力に優れているから、海底ではルアーを良く見ているのだ。

単純に「ルアーサイズをデカくすれば、デカい魚が喰ってくる(だろう…)」という我々・人間側の都合に基づいた意図はロックフィッシュゲームには必ずしも当てはまらないことをこの海でも実感するに至った次第。

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こういう、一つ、一つの確認すべき事項を自分自身の行いで確かめていく工程が私にとって、釣りをして楽しいと感じる部分。

遠征先でこそ自身の情報は不足しているわけだから、知らないことを「知る」という楽しさをロックフィッシュアングラー同士でもっと、もっと共有していければ、このジャンルの釣りはみんな一緒に次のステップに進める時代がやってくるに違いない。

 

その夜、メンバー皆で菅原さん行きつけの松崎町の寿司屋「ととや」に本日の釣果の一部(もちろん、美味しく頂くのに必要最小限に留めて)を持ち込んでの食事会が開催された。

左から“伸さん”こと「ふじなみ丸」若船長の藤井伸一郎さん、「サクマジグ」開発者の佐久間洋さん、そして菅原正志さんです。

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ベタな写真で恐縮ながら、一応…私めのも載せておきます。

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アカハタの刺身もまたすこぶる上品。

北国に住んでいる方にとってはハタ料理は口にする機会は滅多にないだろうから、味覚を文章にして例えるならソイにもう少しほんのりとした甘味をプラスした感じだろうか。

アカハタも刺身や握り、煮付けで美味しい。同じハタ科のキジハタとも旨味具合が異なるが、ハタの仲間は磯臭さや変なクセがない(少ない)ので料理法を問わず美味しくいただける魚だけにお土産として釣果を持ち帰ればきっと家族ウケも良いに違いない。

この他、シイラの刺身・なめろう・握り・ステーキも美味しかった。今回、数年振りにシイラを食したが大変な満足感を得るに至った。

又、カサゴの素揚げも私好みの味。カサゴは普段釣っている割には全部、リリースしてくるので自身で食べる機会はそうないが、それだけにこういった機会にありつける際は遠慮なく(笑)いただきます!

 

駿河湾の海の幸を囲んでの楽しい釣り談義は終わるに終われず、菅原さんの「全員、お開き!」が出るまで、釣り人の宴は大いに盛り上がり続けたのだった。

 

追伸:今釣行のこの時間までの内容につきましては、9月21日リリース号のアトリエ・ボイル社「SALTY! 2014年11月号」菅原正志さんの連載「フィールドからON AIR」ページにて掲載されています。

SALTY!2014年11月号

実物以上に良く描いていただいた小生の絵も…。

菅原さんの連載コラム、ぜひご覧ください。

 

タックルデータ

●ロッド:シューティンウェイSWC-722EXHブラインドサイト

●リール:エクスセンスDC

●ライン:シーガーマルティア2号

●リーダー:シーガーグランドマックスFX5号

●シンカー:タングステンシンカー1.5ozのち1.2ozに変更

●クッションビーズ:ロックンビーズソフト

●フック:岩礁メガトンロック2/0、ツイストロック3/0、4/0

●ルアー:パワーベイト/パワーホッグ4”、ガルプSWダブルウェーブ3”

     パワーベイト/パルスワーム6”、パルスワーム4”、

     SWパルスワーム3.8”、Tテールミノー3.5”

     パワーベイト/パワーゴビー4”等

 

●Tシャツ:プロズワンオリジナル“控えめ”TシャツLIMITED

●レッグプロテクター:カルティバ レッグプロテクター

●ヘッドウェア:リトルプレゼンツ/ストリームレインハット

●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq

●偏光レンズ:TALEXアクションコパー

 

★静岡県伊豆半島ボートロック船宿(安良里地区)

ふじなみ丸(藤井船長)【090-3384-9396】