ロックフィッシュ地獄Ⅹ
ロックフィッシュアングラーのバイブルとして、年に一度の発行ながら絶大な人気を誇る、つり人社の専門誌「ロックフィッシュ地獄」シリーズ。
その記念すべき第10号となる「ロックフィッシュ地獄Ⅹ」が出来上がったようです。
http://tsuribito.co.jp/rockfishjigoku2014-2015/
発売は、近々の10月27日。
私は第2号からこの本に参加しておりますが、今回は「10周年」ということもありますので第2号からそしてこの10号までの歴史を少し振り返ってみましょう。
●ロックフィッシュ地獄2:岩手県重茂半島でのアイナメ釣り。
アイナメの他にはムラソイも登場しました。今では馴染み深いご当地ですが、私が重茂半島で釣りをしたのはこの時が初めてでした。
●ロックフィッシュ地獄3:宮城県網地島でのアイナメ&ベッコウゾイ釣り。
この号ではDVD「アイナメUNDER WATER」と連動する誌面構成でした。
●ロックフィッシュ地獄4:東京湾でのアイナメ釣り。
アイナメの他にはカサゴ、メバルも登場しました。更にプラス記事として富山県のキジハタ、石川県のベッコウゾイ、北海道釧路のウサギアイナメ、マカジカ、北海道知床半島のエゾメバル(ガヤ)の記事も同時掲載。半年間における東と北の様々なロックフィッシュ釣行をお届けしたのもこの回だったと記憶しています。
●ロックフィッシュ地獄5:岩手県重茂半島でのアイナメ釣り。
この他、夜釣りでのクロソイ、カジカ、更にはエギングでのスルメイカの釣果もありました。昼夜ぶっ通しでのロケで撮影時間内ずっと釣り続けていた気がします。(体力を使い果たしたカメラマンさんが最後に気絶しそうだったのを思い出します)又、DVD「アイナメUNDER WATERⅡ」との連動する記事にもなっています。
●ロックフィッシュ地獄6:北海道利尻島でのアイナメ釣り。
それプラスとして留萌でのシマゾイ、クロソイ、エゾメバル(ガヤ)釣り。この号ではロックフィッシュゲームにおける北海道「道北」の魅力を発掘するロケでした。余談ながら、同行カメラマンも私も大のトラウト好き。仕事は仕事できちんとやり遂げた後、稚内から札幌までの帰り道に名寄の川に立ち寄り、おまけでニジマスを狙ったのが良き思い出です。
●ロックフィッシュ地獄7:北海道室蘭でのアイナメ釣り。
ベイエリアの釣りは同誌4の東京湾以来。元は、海釣りに関しては防波堤の釣りが最も好きなので、個人的にはとても印象深いシチュエーションのロケでした。又、この号に先駆けて著書「ロックフィッシュゲームがある日突然上手くなる」も連動して発売。震災の津波で流されたデータ(本データも、バックアップデータも両方)は復元出来ず、半年の期間をもらってまた新しく内容を書き換えての内容の本になったこともつくづく思い出します。
●ロックフィッシュ地獄8:北海道留萌でのクロソイ釣り。
私のロケ歴史上最高の爆釣劇となったのもこの回。最大55センチという3キロオーバーの巨大クロソイが乱舞したのも当日のこと。ダブル取材で「ノースアングラーズ」という北海道の総合釣り雑誌のロケも同時に進行しました。又、「佐藤文紀ロックフィッシュのABC+DVD」の本+DVDセットにも連動する記事にもなっています。
●ロックフィッシュ地獄9:宮城県金華山でのベッコウゾイ釣り。
震災以後、復興ままならない被災地の現状にスポットにあてたのがこの回です。誌面を構成するうえで必要となる釣果は勿論ですが、「あえて被災地で釣りをする」ということに対しても、私なりの深いメッセージを込めた特別な感情のもとに挑んだものでした。場所が場所だけに楽しい感情ばかりではないものの、そのような意味でもこの回に関しては編集部と協議を重ね、私からの要望として釣り場を選定させて頂きました。
極めて稀なケースと言えます。
●ロックフィッシュ地獄10:アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスでのキャリコバス釣り。
キャリコバスとは現地名で、魚としての正式名称はケルプバス。ケルプは「コンブ」、バスはこの場合には「ハタ」を意味します。つまり「コンブに付くハタ」がこの魚です。
では、少しだけ今回のその内容を紐解いて行きましょう。
舞台は同誌でも初となろう、海外へ。
海の向こうのロックフィッシュゲームは、どんな世界なのか?
世界は広い。
当然、ゲームフィッシング先進国もあれば、まだ誰もが知らない秘境の国での根魚釣りだって眠っているに違いない。
そうなのだ。
きっと、日本とは比べものにならないスケールの釣りすら存在していることだろう。
まだまだ私達の知らないロックフィッシュゲームを探るべく、その探求心は時を経てして海を超えた。
アメリカという国。
行きついた場所は、ロサンゼルス。
乾燥した大地はサボテンが群生。その向こうに広がる海が釣りの舞台だ。
こういった景観が続くロサンゼルスの海岸。
見た目のスケールが大きいのでインパクト的には「えっ!?こんなところ降りていくの!?」と驚くかもしれないが、足場が整備されているので歩く距離はそれなりにあっても、昇り降りに関しての傾斜は難を感じるものではない。
写真をよく見ていただくと分かりますが、山肌にはちゃんと道がついていますよね。(むしろ、足場の問題なら東北の三陸リアス式海岸が断然に危険度高し!)
いざ、磯に立って釣りを始める。
全てが手探り。日本の常識をやみくもにそのまま当てはめるのではなく、ご当地で得た情報を元にどんな魚なのか?という観点を強く意識して釣りを組み立てていく。
その過程で自分の釣りとマッチさせられれば、ベストだ。
狙うはジャイアントケルプ帯。
北海道のコンブ帯も凄いが、海外のそれはもっと凄い。
コンブだけで、いったいどれほどの長さが伸びているのか!?というほどにそのカバーはきつい。
そして、時は突然訪れた。
ジャイアントケルプに猛烈に突っ込んでいく相手は間違いなくデカいと悟った。
一か八かの真剣勝負の時。
負けるわけにはいかない!
手にした時は無我夢中だった。
これが、キャリコだ……。
幸運にも手にしたキャリコバスは望外の大きさだった。
会えただけでもうれしいのに、まさか初めての出会いがこんなにも大物だなんて!
うれしくて頭が真っ白になる。
感動を超えたその先の感動をこのキャリコバスは教えてくれた。
この釣り、ずっとやり続けてきて良かったなぁ。
ただ、それだけのこと。
でも、それが凄くうれしかった。
過去は現在に、そして現在はいつしかの未来へと繋がっていく。
高校3年生の時だったでしょうか。一番好きだった釣り番組で“王様”こと村田基さんが釣っているのを見たのがこの魚を知るキッカケでした。
「キャリコバス?なにそれ!それに…なぜ、海にバスがいるの?」
そんな疑問と猛烈な根魚ルックスに目を奪われ、いつしか自分も…と心の奥底にしまっておいた夢と冒険心をあれから14年たった今の自分が掴んでいる。
そう、右手に掛かる魚の重みは14年という「時」の重みなんだ。
それが私にとっての、今回のロックフィッシュ地獄です。
昔、自分で抱いた夢を拾いにいく番なのが今の年齢。
イトウにしても、ウサギアイナメにしても、今回のキャリコバスにしても、そうなんです。
そしていつしかの未来のために、今はまた新しい夢という名を種を植えておく。
そうすれば、いつしか必ず己の夢を全力で追える時が来る。
この魚と出会ったことで、海外の根魚フィールドへの夢は更に膨らみました。
いつしか、その夢もまた必ずや掴みに行く。
だから、そのためにまた平穏な毎日を精一杯に頑張れるのです。
カリフォルニアドリーム!
ジャイアントケルプに潜む、キャリコバス!!
これからこの世界に入って来る入門者の方ももちろん大歓迎ですが、今も昔も根魚に夢を馳せる情熱的な方にもご覧頂ければ幸いです。
2014年10月24日 | カテゴリー:雑誌掲載・DVD