ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

知る大切さ。「ダニ」に注意!

晴れ渡る空にススキ揺れる、秋の牡鹿半島(宮城県)。

①

先日、牡鹿半島にロックフィッシュゲームに行ってきました。

 

魚が釣れたのは良しとして、今回はそのことをお伝えしたいのではありません。

表題の通り、「ダニ」についてです。

ちょっと驚いたのが……いつもより多いダニの量。

 

岸からの魚釣りで磯場に下りる時、どうしても草木の生い茂る薮(ヤブ)の中を通らなければいけないシチュエーションって数々ありますよね。

この日、磯を下り釣り場に到着して釣りの支度していた時に気になったのが、ズボンの足まわりに付着したダニの量。

トレッキング用のカーキ色をしたズボンを穿いていた私にはすぐさま、うごめく小さなコントラストにこれはダニだと気づき、虫をつぶさないように周りにあった平たい石を手に取って1匹ずつ丁寧に払いのけていったのですが、その数が通常より遥かに多くて、さすがに今回ばかりは気が引けました。

両足で30匹近く付着、その中には大型の個体も2尾いました。

あらかじめ知識として知っているから、これを見ても動じることもありませんが、やはり生理的には気持ちが悪い。

と、同時に 来る時がこうであれば、釣りを終えてからの帰りもまた山の中を通るわけですから、必然的にここでもまたダニが付着することが予想されます。

 

極力、草や木とズボンが接触しないよう心掛けますが、それでも100%避けることは不可能。

「けもの道」を通る以上は物理的には難しいものです。

帰り道の道中、知らず知らずのうちにまた付着を避けられなかったダニのうち、その1匹を撮影しました。

こちら(↓)です。

②

私は魚釣り以外のアウトドアも好きなので、トレッキング【山歩き】も楽しんでいるのですが(趣味でですが)、山歩きの世界では人に危害を加える可能性のある生き物への対策もしっかりとおこないます。もちろん、事前に勉強し最低限の知識として頭に入れておく必要があります。

特に代表的なところで言えばクマ、ヤマビル、ダニ(ツツガムシ含む)、スズメバチへの意識は常に高く持ちたいものです。

 

山に入る以前にこれらに対しての知識を有していることで、万が一そのようなシーンに出くわしても、発狂するよりもまずはすみやかにしかるべき険避行動や処置を迅速におこないたいものですが、今回の釣行でのダニの多さは今まではなかった「やや異常」ともいうべき量。

 

私の場合、ロックフィッシュゲームにおいて北海道の磯に入る時にはヒグマ対策、岩手県の磯に入る時にはツキノワグマ対策(過去に岩手県在住の友人がアイナメ狙いの磯ロックでツキノワグマに襲われているので)、宮城県の磯に入る時にはヤマビル対策を「対・危険生物」の第一項目として念頭において装備・対策しています。

岩手県の磯に多いカモシカや牡鹿半島では当たり前に見るシカも遭遇の仕方によっては場合によって危険を伴うこともありますが本来、人間に対しての攻撃性がある動物ではありません。

又、牡鹿半島では私が人一倍の厳重対策を施しているのでヤマビルで、実際にヤマビル被害にあったことは自身は一度もないのですが、友人の多くはかなりやられています。

「あ!ヒルついてるよ!」と、たいてい発見するのは私なんですが…。

 

それだけに牡鹿半島では特にヤマビルの存在にはいつも「これでもか!」というほどに気を配ってきましたが、ダニに対してはあまりにも目につくことってありませんでした。

もちろん、ダニは野外ならどこにでも普通にいてもおかしくない存在ですが、多少は仕方ないまでも目に余るほどの数を目撃したことはなかった。

 

それが当日は足まわりがダニだらけになるほど付着したので、さすがに困惑。

私は磯釣りや渓流釣りではズボンの下にインナーも履いているので、これがバリアともなり相手がダニである分には素肌まで貫通してくることは基本ないとは思うのですが、それでもやはり気にはなってしまいますよね。

 

ダニの幼虫は野ネズミに取りつくことで成虫へと成長していくとされています。

この他、シカやタヌキも多い牡鹿半島にはこれら野生動物に取りつくダニの数もまた一定以上の個体数が普段からいるわけですが、野生動物のみならず時に人間に悪さをするのもダニで、その中のごく一部にはご周知の通り、人命にかかわる病原菌を保有する個体も中にはいるとされています。

 

一番確実なのはダニのいる場所に近づかないこと、行かないこと、なのですが、そうなると「魚釣り」や「山歩き」はまず出来ませんよね。

そこで、趣味だとしても仕事だとしても、こういった場所にどうしても足を踏み入れるタイプの人が、ダニの付着を阻止する倦避剤として、市販の「虫よけスプレー」することは非常に効果的なのですが、今回はその数があまりにも多くて目をひいた、という次第です。

シチュエーション的には磯への「行き」と「帰り」の歩行中にダニが付着するシーンがあるわけですが、それぞれ往復の際にまずは衣類(ウエア)の確認と、もし付着していた場合にはそのままにせず、ダニを1匹1匹見つけてきちんと払い除けること。

更に車に戻った際にはいきなりそのウェアを積み込みせずにまずは大きくほろって、その後に目視で十分な確認(限りなく、車内にダニを持ちこまないという高い意識)。

そして、帰宅したら(万が一、それでもダニが付着していたと仮定して)室内にダニを持ちこまないためにこれらはすぐに洗濯するなど人の暮らしの環境に取り入れない工夫が必要です。その際、早めに入浴するのも手です。

 

この日、同行の先輩は―。

釣り場に到着し、「よ~し、釣るぞ~!」と気合を入れてタックルセッティングしていましたが、「足まわりにダニがついていると思いますから、まずはよく確認して下さいね。普段はあまりないんですけどね。今日はなんか珍しいなぁ。 あ!それと、ダニを見つけても驚いて素手で直接つかんだりしないように。」と私が注意を促したものの……ダニを発見するやいなや…初めてダニを見たようで「うぉぉぉぉ~!!!!!!! マジ、かんべんしてくれ~……」と非常にショックを受けたようで取り乱しそうになっていましたが……。

 

私はまだいい方でした。先輩のズボンのひざから下は両足ともにダニだらけ…。

ショックのあまり、顔は真っ青に…。

えぇ、その気持ち、十分に分かりますとも……。

職種柄、ある程度の危険を承知のうえで割り切っている私とは違い(それでも嫌といえば嫌ですが…)普通の人であれば、なおさらそうでしょう。

でも、私が言わなければ彼は今日のことに気づかなかったでしょうから、身の安全意識の向上のためにも「今、現実に起こったこと」を教えて良かったとは思っています。

人間、最後は自分の命は自分で守るという意識だけは強く持つ必要がありますから。

山でも、川でも、海でも、野外のフィールドに出向く以上は尚更その意識が必要です。

③

朝夕の冷え込みを強く感じるようになってきましたが、それでも日中はまだダニの活動適応温度の範囲に収まる気温の日も、もうしばしはあることでしょう。

ロックフィッシュの好期が東北にも到来しましたが、もう少しの期間はヤマビル対策に加え、ダニ対策も厳重に注意して釣行を楽しんでくださいね。