鱒旅(ますたび)。~緑と青のトラウト情景~【10】
北の森の川の宝石・オショロコマ。
その存在感は今日も昔も不変。
人間もそうであるように、オショロコマも釣れる1尾、1尾の顔の表情がまた違っていくものだから、写真を撮っていても飽きることがない。
状況が許すならば、1尾、1尾、全部を丁寧に撮影していきたい…そんな想いに駆られる魚。
ヤマメもオショロコマにまじって釣れるのですが、こちらは恰幅の良い幅広ヤマメ。
ほとんどの数が海に下る北海道のヤマメですが(のちにサクラマスとなるために。)、一生をヤマメとして過ごす数少ない河川残留型は「幼少の頃にどれだけエサにありつけたか?」の個体ごとの栄養状態で決まります。
よくエサにありつけた個体ほどそのまま川に残り(そのままヤマメとして生き続ける)、エサ不足に陥った個体ほど海に下って、のちにサクラマスへと昇華し再び帰還するのがこの魚に与えられた宿命。
元を辿れば、サクラマスもヤマメも同じ魚なわけですが、“渓流の女王”の称を纏う、ヤマメもまた美しき。
このオショロコマは、お馴染みの「イワナ」っぽい表情。
これまた色鮮やかなオショロコマ!
15cm以下が多いオショロコマですが、この魚は24cm!!もありました。
10年前に釣った自己記録と同じくー。
「やったぁ~!!」森の中で叫びます(笑)。
私の声を聞いているのは春日さんと、それにエゾシカにヒグマぐらいでしょうから、うれしい気持ちは素直に。
いかがでしょうか。
鱒(マス)好きなら噛みしめる、惚れ惚れする美しさ、ですよね。
国内に生息する淡水魚は熱帯魚に比べ、色彩も控えめな魚な多いですが、そんな中にあってオショロコマは彩りが実に豊かな魚です。
最後に出た、この大物には大満足!
雨もやがて本降りとなり、川をあがりました。
朝マズメからの3時間ほどの釣りですが、それでも“心満たされる釣り”でした。
帰り道、別な川の中流域を春日さんが案内してくださいました。
「佐藤君、サクラマスも好きなんだよね?」
「見てごらん。この時期、ここ、サクラが入っているから!」と。
車と止めて、橋の上から川を除き込めば沢山のサクラマス達の姿。
海から遡上して中流域に達した“いぶし銀の雄姿”。
その数、自分の目の届く範囲を数えても100尾近い数が群れる。
こういった光景、10年前に初めて北海道に来てからというもの、サクラマスやカラフトマスの姿を見て現在に至っている。
何度見てもいい光景。
“サカナ”溢れる水辺にうれしくなる。
話を戻そう。
ともすれば別々の存在とも思える自然環境ですが、実はそれは大きな錯覚で、本当の本当は「山と川と海は一体であること」を、山と海を行き来するサケマスを通して、まじまじと垣間見る瞬間は、今や本州ではなかなかお目に掛かれなくなりつつある貴重な存在ともなっている。
川の釣り人が海で魚を釣るのもごく自然であり、海の釣り人が山奥深くを釣るのもごくごく自然なことなのだ。
それが、私の想う「魚釣り」の本来の世界。
“山と緑”と“海の青”は、そう「いつも繋がっている」のだ。
だからこそ残された本来の自然を再び前にすることで、いつしかの「ヤマメ達の“今”【現在】」をこの目に今回もまた焼き付けてきた。
古(いにしえ)より、オショロコマ住まう森と川。
その場に一緒にいてくれる尊敬する釣り仲間と、ステキな1尾との出会いを果たせてくれる人知の知恵「ルアー」にも。
それぞれに、感謝だ。
■タックルデータ
●ロッド:トランティンマーキスボロンTMBS-562UL
●リール:ステラ2000
●ライン:ナイロン6lb
●スナップ:カルティバ/クイックスナップ♯0番
●ルアー:バイト3.3g
●ジャケット:リトルプレゼンツ/ライトウェーディングジャケットⅡ(JK-14)
●ベスト:リトルプレゼンツ/TRベスト
●ウェーダー:リトルプレゼンツ/SP3 AQ ZIPウェーダー(W-34)
●シューズ:リトルプレゼンツ/ミッドストリームWDシューズピンフェルトソール
●インナー:リトルプレゼンツ/ウェットトップ
●Tシャツ:リトルプレゼンツ/トラウトT
●シャツ:リトルプレゼンツ/SPサニードライシャツ
●アンダー:リトルプレゼンツ/ウェットボトム
●パンツ:リトルプレゼンツ/SPリバーパンツ
●ハット:リトルプレゼンツ/ストリームレインハット
●偏光グラス:ZEAL OPTICS/ENZO
●偏光レンズ:TALEXラスターオレンジ
2015年11月27日 | カテゴリー:釣行記