ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

サクラマス、信じる心と待ち続ける勇気を持って。

今回はサクラマスのお話です。

 

2月から本腰入れてサクラマス釣りに通っているものの、今期は3回掛けてはいるもののすべてバラシという境遇に苦しんでいる釣友がいて、「1本でいいから今年もなんとか釣りあげたいんだ!」と悩みを打ち明けられた。

昔の話ながら、元々は私がサクラマス釣りに誘い、サクラマス釣りを教えたアングラーです。

かつては自分も釣れない時間が長かったからこそ、同じ釣り人としてその気持ちはよく分かるわけです。

少しでも手伝えればと、この日は久々の同行釣行!

都合もあり朝10時には私は撤収しなければならないが、なんとかその時間内に彼がキャッチできれば本望だ。

 

シーズン後半になると、それまでとはまた違った新しいパターンも有効になってくるわけでそれらも引き合いに出しつつ共にロッドを振りかぶる。

古い付き合いの気心しれた仲だから、気負いせずに「そのうち釣れるから大丈夫!」と声をかけつつ、まずは私にヒット。

バイブレーションの中層ただ巻き。

①

バスデイ/レンジバイブ70ESのパープル系カラーです。

針はカルティバ/ST-46の♯6番が私の基本セッティング。

 

巻きスピードをレンジ(狙いの流速)に入ったら早めるのと動きのピッチを急に変えないこともちょっとしたコツで、ただ漠然と投げて巻くだけではあまり良くなくて、狙い定めた「ただ巻き」がこの場では求められます。

ショアの海サクラでもそうなんですが、シーズン後半になってくると俄然効くのがパープル系カラー。

サクラマス釣りの世界ではブルーバックと呼ばれる青系も人気カラーのひとつとして知られるところですが、青ベースの色で釣れない時に紫ベースを入れてやると、急に反応が変わって喰ってくることが結構あるので個人的にはお気に入りのカラーのひとつ。

色彩変化にサクラマスは敏感なんです。

フィールドによっても差異はあると思うのですが、トータル的にみると海でも川でもルアーの色の差でヒットに持ち込める・持ち込めないってことも…水の中では実へけっこう起こっている気が昔からしています。

サクラマスたちにとっては、ちょっとしたインパクト差なんでしょうか。

で、このサクラマスですがバラシ(笑)。

口先に針がちょこんと乗っただけの掛かり方だったので、竿を叩くようにクネクネと首を振られた際に「はい、さよなら~」と。

考えれば、こういうバラシ方は今年2回目。

本来であれば悔しい!という気持ちが本当なのでしょうが、それでも、自分にはもう結構な満足感。

俗にいう、「釣れなくても中満足」という感覚も楽しめます。

まぁ、サクラマスのバラシなんてもう長年の経験で慣れっこなんで今さら大丈夫です。

いちいち気にしていたら、キリないっす!的な(笑)。

なので、自分の中では獲れる魚も縁なら、バラす魚も縁という考え。

それをいかにバラシを減らせるか、が次なる技術向上の真意に問われるところ。

磨きたいのは、魚を掛けられる眼力とテクニック、バラシの減少方法が第一。

 

 

話は戻りましてー。

そして、バイブレーションでのバラシの後、更に飛距離を飛ばしてその先にルアーを送り届けてみようと次にメタルバイブにローテーションしたら何投目かに針には乗らなかったけれども間違いなくサクラマスのアタリがまた来たため、釣友にメタルバイブも良いかもよ!と助言。

そしたら、彼に見事にヒット!

来た!来た!来たぁ~!!と大騒ぎしつつも、かなり本人焦っていることが分かるが、「獲れる・獲れない」に関してはあとはどうあがいても本人次第(あとは運も)につき、ランディングのサポートをするべく隣へ。

一撃必中でネットに入れるべく、私も心してー。

 

 

獲ったサクラマスは見事な魚だった。

②

62センチの3キロオーバー。

 

「はぁ~…」と、見えない何かからまるで解放されたかのように安堵の笑顔が弾ける。

身体がふわふわと浮いているかのごとく、今年も釣れたぁ~!!と大喜び。

求められた握手の手、握るとガタガタに震えていたから、あぁ感動しているんだなぁ~とすぐに分かった。

 

それも、うなずける。

相手は、「サクラマス」ですもの。

③

誰だって、格別の喜びが待ち受けている。

 

シーズン開幕から20回以上という釣行をコツコツと重ね、ここに「2016年度の、この1尾のサクラマス」にたどり着いた祝福の場。

サクラマス釣りって、人それぞれに人知れぬドラマがあるんです。

それが他の釣りより、ちょっと色濃い感じがする。

だから、いろいろ考えたり、ジレンマに陥ったりすることも場合によってはあるかもしれない。

だけれども憂さ晴らしに他の魚をたくさん釣ったところで、それはきっと心から満たされはしないことも私はよく知っています。

“だからこそ”、目先の釣果に振り回されずに地道に通い続け、一心に投げ続けることが出来る人は最後にはやっぱり笑顔が弾ける、ってもんです。

だから、とてつもないうれしさになって自身に還って来る。

 

【おめでとう!】

【ありがとう!】

が合言葉。

 

この魚を釣っていて、本当に良かったなぁ~と思えるそんな“一瞬”の出来事でした。

④

改めまして、今年もサクラマスおめでとうございました。

また来年もサクラマス、頑張りましょうね!