ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

ベッコウゾイに出会ったあと、続いてデプス×プロズワンデスアダーホッグ3インチの遊動式ジカリグのロングスピンでアイナメを釣る。

来春の登場が待たれるシリーズ最新作・ロックトランジットロングスピンキャスター96(プロト)が放った一撃。

①

デプス×プロズワンデスアダーホッグ3インチ、♯03ビジブルチャートオレンジカラーのスローフォーリングに思わず口を使ったベッコウゾイ。

動きが優秀なワームです。

玄人のみならず、初心者にも優しいよく釣れるワームです。

よかったら使ってみてくださいね。

 

前回のあらすじはこちらより。

http://www.pros-one.com/blog/?m=20171212

 

 

その後、ソイ狙いのチャンスは遠のき日差しが強くなってきました。

これからの時間は今時期、アイナメの行動が活発になる時間帯です。

 

真夏の高水温期であれば朝マズメは炎天下の日中よりもアイナメの喰いが立ちやすい格好の時間帯ですが、太陽の日差しが弱まり水温も下がり調子の今時期ともなれば話は別で、朝一番でなくともアイナメを狙うのなら大丈夫だったりします。

長年の経験上、魚の細胞レベルでの活性化する時間帯が季節でズレるんだと思います。

 

魚の細胞の活性化・不活性化は水温、濁り、酸素濃度(溶存酸素の供給量)、太陽光の光量が大きな要因と位置づけ、活性を司るものに最も大きな影響を及ぼしているものと私は現状考えているんです。

 

生き物ですからね。

 

今時期を例にあげると、アイナメの場合には朝イチではない太陽がちゃんと顔を出した朝の時間帯からエサを喰い出すわけですがその後昼くらいに中だるみの時間があり、そして日が沈む前にもう一度喰いの立つ時間が来るのがこの時期(初冬)の周期的なアイナメの活性となる経験を数多くしてまいりました。

 

釣り用語で言う、「時合」ってやつですよね。

 

もちろん毎日潮の干満サイクルが異なることと、魚も1尾1尾に個体差があるのですべての魚が一貫して同じ行動をしているわけではないのですが、エサ釣り歴も含めて30年近くもアイナメと向き合っていればその行動にも一定の規則性が分かってくるもので、今現在の私が知る限りでは経験上おおまかにはこのようなサイクルが顕著です。

 

日が暮れるのが早い今時期は午後15時~15時半前後に突然喰いが立ってそのまま日がかげってきて海に太陽光がささなくなると…パタリと急にアタリが止まる経験、皆さんもないでしょうか?

これに潮の干満とその日の魚自身のコンディションも複雑に絡み合ってそのような現象が日常的に発生しているんですね。

 

今日はちょっと遊びに来ているだけなので、「一日ガッツリ釣りするぞ~」というのではなく、朝9時で終わりの正味2時間程の短時間のちょい釣りです。

釣り場の移動はなしで、はじめからひとつの堤防をやって終わりにする予定でした。

 

幸先よくソイ(ベッコウゾイ)が釣れたわけですが、続いてはアイナメ狙いです。

 

手前側を釣っていてもアイナメのアタリが一向に出ないため、ベッコウゾイが釣れた距離よりも更にリグを遠くまで運ぶことに。

 

ソイ狙いで使用した1/2ozテキサスリグから、7号シンカーの遊動式ジカリグにチェンジ。

8号シンカーや10号シンカーがあればあったで良かったですが、不覚にもボックスに入っていなかったので持参していた中で一番重い7号のシンカーをリグにセットしました。

 

ワームは引き続き、デプス×プロズワンデスアダーホッグ3インチを用いますが、カラーはクリアレッドシードに変えます。

アイナメ狙いにはソリッド系レッドとクリア系レッドは、ハズシの少ないテッパンカラーです。

 

ジカリグや遊動式ジカリグはシンカーから先に飛んでいくのでテキサスリグよりも空気抵抗を受けにくく、結果、遥かに飛距離が出ます。

ショートキャストで釣っていく分にはテキサスリグとジカリグの差はあまり感じられないかもしれませんが、ロングスピンで70mや80mはざらにカッ飛ばすような釣りですとこの飛距離の差(リグの飛行形態の空気抵抗)はだいぶ違います。

本日、飛距離は80m先まで飛ばします。50mより手前はこの日のアイナメ釣りでは切り捨てにして、それよりも向こう側(50m~80mの間の30m区間)を重点的に釣っていきます。

40、50cm級の根魚をロングスピンで狙う場合、PEラインの基準は通常は1号で、堤防ならば磯ほど根ズレも少ないと仮定し0.8号、0.7号(最小0.6号まで)までラインを限界ギリギリまで細くして、逆にシンカーを重くしていけば100mを超える先までも射程距離に入るのが「ロングスピン釣法」ですが、根の荒い磯でオオモンハタ狙いに巻いていた1.2号スプールを本日はそのまま持参してきてしまったため、堤防からのアイナメ狙いにはいささかラインが太いため、ラインの太さも影響しこの日は80mちょいしか飛ばせませんでした。

 

 

冬の海は、浮遊するプランクトン濃度が下がることで海中の透明度もあがってくるので、その点でも偏向グラスで海中を見ることはいつにも増して重要です。

釣り中は、海の中を常に意識して偏向グラス越しに見ることがとても重要なのですが、砂地は白く目に映りますがその中で根がある場所は茶色く映るのでそんなピンスポットにリグをロングスピンで大遠投しつつも的確に送り届けます。

 

ホッグ系やクロー系のワームって、元々がスイミングで横に引いてくるのが得意なワーム形状ではないため、小さなモーションで細かく動く甲殻類タイプのワームで横に引いてきてもワームそのものに横の動きが出にくいためトレースする軌道とワームの動きに必然的なギャップが出てしまい、結果、水中ではそのことが原因で魚に見切られたりする要因になってしまうことがあることと、そもそもの効率が悪く、むしろフォールで誘うタイプのワームは一点のピンスポットを縦の軌道で直撃していった方が展開が速いということも、ここでは重要です。

 

これは飛距離に長けるロングスピンとて同じ理屈です。

漠然と探ってくる釣りでは時間がかかり過ぎてしまう嫌いがあります。

 

特に実釣時間が短いとすぐに納竿時間がきてしまいますからね。

 

立て続けにアイナメが釣れました。

デプス×プロズワンデスアダーホッグ3インチ、♯02クリアレッドシードカラー。

②

4尾釣れましたが、写真は1尾で割愛。

黄色味の婚姻色が出ているオスのアイナメを選んで撮影してみました。

 

アイナメは酸欠に大変弱く、キャッチしてからリリースするまでの拘束時間の長さでリリース後のその魚の生存率が大きく変動します。

自分が自信が持てる完全リリースなら、魚を水から引き上げて水に戻すまで「30秒以内」という理想基準があって、守れるよう極力心がけています。

又、産卵時期のアイナメのオス(※婚姻色が出ているので見ればすぐ分かります。)は産卵床を守っている可能性が高く、仮にその後リリースすることを前提とした一時キープであっても、違う場所に移動してからリリースしてしまうとこのオスが守っていた卵塊は他の生き物や他のアイナメの餌食となってしまい、仔魚に孵る見込みは限りなくなくなる(=仔魚の数が減り続けることで最終的に積もり積もってその海域のアイナメ全体の資源量減少につながっていく)懸念があります。

なので、アイナメに関してはそのような特性上、ソイやハタ、カジカやカサゴ、メバルとは異なる産卵形態につき、釣りあげたオス個体を海域を移動してからのリリースすることは、同じリリース方式といえども、「仔魚の保護」という観点では意味を持たないという現実からも目をそらすことができないのが実態です。

ですので、「せっかく逃がす意識で釣っている場合」には産卵床を守っているであろうシーズンのオスのアイナメが釣れた場合には、そのオスがすぐに同じ自分の産卵床に戻れるようにそこまで釣り人側が配慮してリリースする必要があります。

方法は現状ではひとつしか考えられず、その場で同じ場所から水の中に最速の時間で逃がしてあげる方法しかありません。

近年のアイナメの減少は目に見えて顕著ですので、こういう魚への配慮もアイナメという魚種を取り扱う人間に課せられた使命であり、これからの時代の課題ですね。

 

それでもってお話は戻るのですが、プライベート釣行で写真を撮る必要のない場合は30秒というアイナメを撮影するための拘束時間も難しくないものですが、ロケのときのようにムービー、スチール共にカメラマンさんが慎重かつ丁寧に撮影していくような場合には水汲みバケツを持参して、バケツで魚に海水をかけ続けて(口から水を送り込むようにすると呼吸が継続するので魚が少しでも楽になると思います。)撮影を続行したり、タモ網に魚に入れて海に付けながら弱るのを極力防ぎながら撮影を継続したりとそのくらいのケアをしないとアイナメの場合にはリリース予後に死亡してしまうケースが実はとても多いものとして、長年心を痛めながらも自分なりに創意工夫を凝らして考えてきました。

魚の弱さ加減ではアイナメはヤマメ・サクラマス同様のレベルで、皆さんが思っている以上に繊細でデリケートな魚なんです。

ヤマメやサクラマスを専門的に狙っている釣り人たちの「釣り人が魚を持って写っているニコパチ写真」で多いのは、水に魚をつけたままの写真が多いのはトラウトフィッシングをやらない人々からみればとても印象的に映るかもしれませんが、これはトラウトフィッシングを嗜(たしな)むという歴史と気品に彩られたイメージや世界観を守るだけではなく、水から引き上げると魚が弱ってしまうから、美しい魚の魅力を最大限に引き出すためにも水から完全に出さないで魚を撮影するというトラウトアングラー達の魚への気遣いが実は大きく存在しているんですね。

結果、写真映えがしますよね!

もともと、トラウトフィッシングをフライで釣ることは西洋における貴族の高貴な嗜みの世界のものでした。

貴族の嗜みも歴史と共に市民権を得て一般化し、ルアーやフライという釣り種目として戦後の日本に輸入された文化というのが我が国での西洋式疑似餌針でのトラウトフィッシングにおける一般認識での起源とされています。

日頃からヤマメやサクラマスとかのサケ科魚類を専門に狙って釣っている方であれば、マスという魚がどれ程デリケートであるかは、言わずもがな容易に理解できると思います。

 

そうなんです。それがアイナメにも実のところ当てはまり、アイナメ維持管理の難しいところ。

リリースしているつもりでも実はその後に死んでしまっているケースが多いのではないか、ということも近年の北国全域でのアイナメ減少に歯止めがかからない原因のひとつになっている一旦と推測され、魚の写真を撮るにもその間は少なからず魚を陸上で拘束しているわけですから、その取り扱いには最大限の配慮を釣り人側が施さなければなりません…。

 

アイナメを水から出して1分超えてしまうとその間は魚は呼吸困難になっているため、もう死んでしまう直前(眼の瞳孔が開く・体色が急に変わる、ブルブルと痙攣し出す)になっているか、仮にリリースできてもその後人知れず海底で魚が意識を失ってひっくり返ってしまうので、リリース後の生存に関しては何とも言えない部分があります。

浮き袋の膨張による減圧症状が発生しやすいハタ、ソイ、メバルとはまた違った、「酸欠に著しく弱い」というリリース問題をアイナメは抱えているのです。

 

その点、強い弱いで言えばソイとカジカは生命力がとても強い魚で、ハタとカサゴもソイほどではありませんが生命力(基礎体力)が強い魚なので、アイナメとはだいぶ事情が違うのですね。

そんなアイナメですので、必要のない場合は活きのいいうちにすぐに逃がしてあげた方が魚にはよいので、近年では必要外に写真を撮らなくなってきたことと、この日の釣行ではブログ用にと“おさえ”の1尾だけは写真に撮りましたが、あとは釣れたら即リリース×3を繰り返しました。

アイナメはソイほどの重量感はありませんが、フッキングに成功すると首を振りながら細かい動きをする魚なので、ロングスピンで掛けたならいずれも遠くから伝わる首振りファイトの時間はとても心地よいですよね。

自身にとっては昔から慣れ親しんだ魚ではありますが、釣れると今でもうれしい魚です。

 

ちなみに渓魚に例えるなら、イワナがソイで、アイナメはヤマメです。そんでもって、カジカはイトウで、ハタはニジマスでしょうか。

 

堤防からの釣りは岸からは撃てないエリアをボートで釣ったり、あまり人がこないような荒々しい地磯で釣ったりするような特別な大物とめぐり合うような場面や数がたくさん釣れて…ということも正直なところこのご時勢ですからほとんどないのが現状ですが、そう遠くない海にあるその辺の堤防からでも30cmとか35cmとかのハタやソイ、アイナメなんかがポツポツ釣れると、逆に1尾1尾が自分の中で貴重な存在になるので、これはこれですごくうれしくなります。

 

釣れてくれた1尾の魚に自然と愛着が湧いて、「どうもありがとね!」と私なんぞ、心の中でいつも魚にお礼を言っています(笑)。

ロケのときはオフィシャルな釣りを展開するのは課せられた責務ですが、それとは真逆のいち個人のプライベート釣行では派手さはない釣りであったとしても、水辺で過ごす時間に心が満たされています。魅せ場に必要がないためです。

これは東日本大震災を経験してからというもの、海への向き合い方や魚への接し方の面での考え方もずいぶんかわったし、今や30代も半ばになって次第にそうなっていった、という年齢的な積み重ねもありますね。

 

そんな散歩がてらの、楽しい趣味の釣り時間ですから、稀に40cmとか、45cmとかの大きめの根魚が掛かったらそれはもう上出来です。

50cm級の大物根魚を狙いに行くとか、希少種の根魚を狙いに行くとかはもうベクトルの異なる世界観といってもいいでしょう。

今日この堤防で出会った40cmのベッコウゾイなんて、デスアダーホッグ3インチの性能のおかげなのでしょうね。

③

ロケの釣りや開発検証で正しい判断を求められるテスト釣行ではビシッと飛ばしていきますが、プライベート釣行では肩の力を抜いたこういう“ちょい釣り”に近年はとても癒しを感じています。

要は、釣るぞ~!と欲を出さず、投げに行くだけ。「釣れたらラッキー♪」くらいの楽な気持ちで釣りに臨むこともあります。

ちょい釣りでのロックとか、ハゼの投げ釣りだどか、ヘラブナ釣りだとか。あとはナマズ釣りもですね。趣味で嗜んでいる釣り全般です。

しかし、サクラマス釣りは別格でプライベート釣行においても、1投1投を超本気でキャストしてしまいますが(笑)。

 

日本国内だけでも「果てしなく凄い海」というのはたくさんあって、北海道の離島や九州南西諸島の離島なんかだと都会に暮らすアングラーなら驚愕してしまうような巨大根魚がその辺の堤防からでも釣れてしまうような釣り場も国内とて、あるものです。

その反面、そういった場所は遠いし行く帰りも不便なので多くの釣り客はそうそう訪れないある意味、未開の海でしょうが、ご当地の地元の好きな人達にとっては“当たり前”の日常のような海もあります。

④

なのでスケールの大小は地域毎にあって当然なのですが、全国津々浦々皆さんお住まいのお近くの海で「その辺の堤防からでもそこそこ大きめの根魚が釣れるよ~」っていう場所がありましたら、そういった場所はぜひ大事にしてくださいね。

 

貴方様にとっても、見知らぬ誰か様にとっても、「宝」のような場所かと存じます!

 

 

今年最後の一ヶ月も残り半分。

忙しない師走の朝のひととき。

 

気分転換、“ちょい釣りロック”楽しい時間でした!

 

 

 

追伸:タックル載せておきます。

なにかの参考になれば幸いです。

ロッド:ロックトランジットRTS-962H“ロングスピンキャスター96”(プロト)

リール:ヴァンキッシュ4000HG

ライン:シーガーPE X8 1.2号(堤防からのアイナメ狙いなら通常0.8号あれば大丈夫です。)

リーダー:シーガーグランドマックスFX 5号

ルアー:デプス×プロズワンデスアダーホッグ3インチ(カラーN0.♯02、♯03)

フック:ツイストロック1/0(ソイ)、マルチオフセット♯1(アイナメ)

クッションビーズ:ロックンビーズソフト

シンカー:カルティバブラスシンカー14g(ソイ)、ナス型錘7号(アイナメ)

です!