ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

その先の未来へ。~震災後の釣りを今一度、考えるということ~

宮城県牡鹿半島・金華山の海で児島さんが釣り上げたベッコウゾイ。シューティンウェイ・ブラインドサイト(SWC-722EXH)が綺麗な弧を描いた。金華山ボートロックにてベッコウゾイをキャッチした児島玲子さん。

今月21日にリリースされたルアーマガジンソルト(2011年12月号)には児島玲子さんとのボートロック釣行についての取材記事が掲載されている。

場所は北海道と並び、大型根魚釣りのメッカである南三陸の宮城県牡鹿半島一帯だ。

この取材では金華山、網地島、田代島、清崎~黒崎、金華山瀬戸方面の磯周りをグルっと回ってきた。9月半ばという中途半端な時期だけに、ロックフィッシュの活性はひと段落しており、魚の定位するスポットも岸寄り側のシャローではなく、沖目のディープ側が主体ではあったものの、アイナメやベッコウゾイ、オウゴンムラソイ、更にはヒラマサ・カンパチ・ブリの幼魚達がひっきりなしにテキサスリグを急襲してくる状況。

パワーベイト/パルスワーム6”やガルプSWダブルウェーブ3”の1ozテキサスをシューティンウェイ・ブラインドサイト(SWC-722EXH)で軽快に操る児島さんも実に楽しみながら、そして被災地で再開に至った釣りを心に噛みしめながら挑んでいたのが実に印象的だった。

又、砂地のポイントでは上記ベイトタックルからスピニングタックル=シューティンウェイ・スイミントレーサー(SWS-702L)に持ち替えた石巻市渡波港所属のルアー船「幸丸」内海船長もガルプSWダブルウェーブ3”のジグヘッドリグでイシガレイとハナダイ(チダイの若魚)を、私にはマゴチ、更には少し沖合に移動してのジギングでは、児島さんと私と船長の3人同時トリプルヒットも多々あり、イナワラ~ワラサに至っては終始入れ食い状態で釣れてくるなど、児島さんも「こんなに釣れるの~!!」と、びっくりするほど多彩な釣果に恵まれた取材となった。

震災後、被災地での釣りに関しては様々な考え方があるかと思うが、その判断は誰に委ねられるものではなく、最終的には自分自身の判断が大切だ。要は、貴方がどう考えるか―。

宮城県では6月から漁業と遊漁が足並みを揃えて再開していることは宮城県内にお住まいの方ならずとも、ご存知の方も多いことだろう。船宿が再開に至るということは、以前のようにお客さんの受け入れ態勢が整いました、という何よりの証であり、「どうぞ、またいらして下さい」という言葉へと続いていくことになる。だから、もし貴方が再びこの海で釣りをしたい、釣りをしていきたい、とお考えであれば、釣りをしていいのです。戻って来ていいのです。

 取材を終えて。左は今取材に尽力頂いた宮城県石巻市渡波港所属の遊漁船「幸丸」内海船長。操船技術は勿論、釣りのウデも一級です!!むしろ被災地に残り、この地でもう一度頑張っていこうと再建している人達を応援してあげてほしいと私は思います。船宿は釣り客が訪れるからこその船宿であり、お客が来なくなれば当然、その仕事は成り立たなくなる。自分でボートを所有しており、船頭要らずの方であればともかく、マイボートを有する人は一般的に考えればごく僅かであろう。

ともなれば、船を出してくれる人、船に乗せてくれる人=「船頭」がどうしたって必要なわけです。その船頭さん達が、自身も被災者であるにも関わらず、みな一生懸命再起を図っている現在において、そういった貴重な存在である彼らの頑張りを、心を、私達・釣り人が後押ししていかなければ、この先の釣りが断たれてしまうことにも繋がるのです。

現状を見てもご察しの通り、沿岸部における「足場の安全」が完全に整う間の岸釣りはどうしても限定的になってしまう。ただ、今一度考えて頂きたいのはロックフィッシュや青物は沼や湖には生息しない。川の中にも野池にもいない。海に行かなくては釣ることの出来ない純な海水魚達です。そういう意味では、この釣りを震災後の現在も続けられるのは、この海と共に生きている船頭さん達の存在によるところが大きいという事実なのです。

 今回、これだけの打撃を受けながらもプロズワン再起を決意し、遅れを取りつつも決死の覚悟でリリースへとこぎ着けた魂のロッド・シューティンウェイ。未だ先行きの不透明かつ長期戦となるこの大震災との闘いにおいて、その過程で生まれた複雑な想いや葛藤は言葉では語りつくせないのも確かだが、みんなも辛い思いをしていることを重々噛みしめているだけに自身もその心の中だけに留めていたが、それを察してくれた児島さんが「何もしないことが一番よくない。何かお手伝いできることがあれば協力させて下さい」と、震災から半年を機に当地へと自らの意志で駆けつけてくれた。

その心意気に、同じ釣りの世界に身を置く人間として、改めて感謝御礼申し上げたい。

 今回は被災地の声を、被災地で頑張っている様々な人々の生の声を、どうか誌面を通じて皆さん方ご自身の目で捉えて頂きたいと存じます。

ルアーマガジンソルト2011年12月号、ぜひご一読頂ければ幸いです。