ロックフィッシャー佐藤文紀

ロックフィッシャー
佐藤文紀
(さとうふみのり)
元祖・根魚ハンターとして、数々のIGFA世界記録及びJGFA日本記録を有し、「根魚釣りの専門家」として東北〜北海道を拠点に全国各地の根魚を追い続ける。
又、フラットフィッシュや大型トラウトの釣りにも造詣が深い。
2011年、自らがプロデュースするブランド、PRO’S ONEを立ち上げた。

キャッチアンドリリースのお願い

豊かな自然とグッドコンディションの魚を守るため、必要以上のキープは慎み、又、産卵前の個体やこれから大きく成長していく若魚は、ぜひともリリースを心掛けましょう。
釣り場環境への負担を最小限に抑えることで、次世代に渡り末永く楽しめることを願って―。

魅力尽きない魚、サクラマスの不思議。

前回のブログ内容にリンクするのだが、3月初旬は北海道で開催された釣り具メーカー展示会出展のため、道内に滞在していた。

この期間中は毎日多忙を極めていたが、せっかくの来道ということもあり1日だけ時間を確保し、フィールドに出向いてきた。行先は日本海側の積丹半島。

さすが、真冬の北海道。積雪の量がハンパなく、釣り場へ向かう車内から見える景色は左右共に分厚い雪の“壁”となっていた。こんなにも凄い量の雪を見たのは初めてかもしれない。本州の豪雪ともまた次元が異なる雪の量である。

一歩踏み出すたびに、雪にはまります……。3月初めというタイミングは本格シーズンを前に“走りの時期”ではあるが、ここ積丹半島では海アメ(海で釣るアメマス)と海サクラ(海で釣るサクラマス)の両方が狙える。

昨年の12月~今年1月頃にかけて、道内の熊石海岸周辺では海サクラ・フィーバーに湧いた。40cm前後の小サクラが主体ながら、その中には50cmクラスも時々混じるといった感じで、状況が良い日には1日1人50~60本もの海サクラを手に出来たというから、本州河川でサクラマスを追うトラウティスト達にとっては、全くもって想像のつかない話ではないだろうか―。それほど本州と北海道のサクラマス釣りには双方の相違というものが存在する。

その後、2月~3月初めの時点では小サクラの群れは少なくなってきているため釣果も小康状態が続いている最中のタイミングだという。一方、海アメといえば聖地・島牧村では盛期に入り多数の海アメがあがっているとのことだったが、今回は海アメと海サクラを両方同時に狙え、更に今回に関しては私も海サクラに重点を置きたかったため、少しでもサクラマスの比率が高いであろうエリアということで積丹半島を釣り場に選んだ。

あまりの低温にこのありさま…。サーフも凍ってます。実釣当日は、前夜から今朝方にかけて更に雪が10cm以上も積もっており、外はホワイトアウト状態。気温は道路の気温計で見たところマイナス9℃だったと記憶している。寒いを通り越して、“痛い”という感覚だ。

このようなアングラー側にとって非常に過酷な状況下においても私達をフィールドへいざなうのは海アメ・海サクラという魚達の魅力である。

当日は、前日に海アメ2本と海サクラ2本があがったというサーフに入る。ネオプレーンのウェーダーを着用し、やや荒れ気味の厳寒サーフに立ち込むが、砂浜は凍りつき、駐車場からポイントまでへのルートは足場を踏み外せば、ズボッと身体が雪にハマってしまう……。

ちなみに砂浜が凍っているのは私自身、初めて見た。

この日は風とウネリが強く釣りがしにくい、あいにくの状況。これではターゲットであるサクラマスも、肝心のベイトフィッシュの群れそのものが岸近くまでは回遊してきにくいだろうから相当厳しい…との一同の見方だ。

一面、凍結したサーフ。このような光景はまず本州では見られない。今回は私含む7名で釣行。積丹半島での海アメ・海サクラゲームに詳しい地元エキスパート3名の方々にご親切に案内頂いた。

夜明けと共にメタルジグ、ジグミノー、細身の大型ミノーをフルスイングでカッ飛ばし、それぞれのルアー特性に合わせてアクションを入れて、キャスト&リトリーブを続ける。どちらかと言えば、サクラマス狙いには直線的な動きを、アメマス狙いには、ところどころ不規則なルアーアクションを取り入れつつ丁寧に探っていく。

途中、同行の方が45cmほどの海アメをジグミノーで1本釣り上げたのを最後に、何カ所か移動したものの、最後まで魚の気配はなかった。この貴重な1本は魚のコンディションや発色具合からして近郊の川から海に降りてきて、まださほど時間の経っていない個体とのこと。

 沖合い数キロ先に目を移せば「バケのしゃくり釣り」と呼ばれるご当地ならではの釣り方でサクラマスを狙う釣り船の大船団が出来ていたので、どうやらサクラマスの群れも本日は沖合いに停滞し、岸寄りには寄ってこなかったのだろう。

北海道ではこの時期の海サクラのメインベイトの一つとしてオオナゴが挙げられる。オオナゴとは東北~北関東で言う、メロウドのことで正式名称「イカナゴ」のこと。そのサイズは20cmを超えるのも珍しくはなく、このようなベイトサイズをもマス達は積極的に襲い掛かって捕食している。道内のアングラー達が言うには「釣ったサクラマスの胃の中にはオオナゴが二つ折り状態でキレイに胃袋の中には納まっている」そうだから、サクラマスという魚がいかにアグレッシブで獰猛な魚であるかが改めてうかがい知れよう。

そのためマッチ・ザ・ベイトのみならず、“マッチ・ザ・サイズ”を意識した14cm~20cmの細身の大型ミノー(下の写真のルアーは17.5cm)はご当地では“当たり前”の定番サイズとなっている。

 この時期のメインベイトはオオナゴ(メロウド)が主。よってそれを意識した細身の大型ミノーも効果的。本州でのサクラマス釣りと言えば、通常は河川内での釣りを指す。そして多用するルアータイプはミノーとスプーンの双方が筆頭格だ。ミノーに関しては旧来より9cmが基準となっているが、最近では各メーカーが投入する本州向けサクラマス用ミノーも8cmクラスも増えつつあるが、これらも大きな違いと言えよう。釣っている魚は、同じ「サクラマス」という同一の魚であることには違いはないが、この地域的特徴の差は実に面白みがあり、深いものである。

 

ちなみにその日―。私が凍える寒さの中、一心不乱にロングロッドを振りまわしている最中、釣り仲間にして小学時代からの同級生から一通のメールが届いた。

「今、追波川(新北上川)に来て少し投げたら、早々にサクラマスがヒットしたがバレてしまった」との内容だった。ヒットルアーはブルーピンクカラーのスプーンとのこと。

文の続きには「今日は何だか魚っ気があるから、時間の都合つくなら、今から投げに来てみたら?」と―。自分も“今、まさにサクラマスを狙ってる最中”との返事を送ると、「お!なんだ、来てたんだ!で、どこの場所でやっているの?」と尋ねられた。

 

あぁ…それが……、今日は北海道の積丹半島で釣りをしているんだ―――。

 今日はそちら(地元の川)の方が状況良かったわけですね(沈)。

 

これもまた「サクラマス」という魅力尽きない不思議な魚を追う、釣り旅なのである―。

 

 

 ■タックルデータ

●ロッド:サーフスレイヤーSSLS-96MH-F

●リール:ステラ3000HG

●ライン:シーガーテンヤ(PE)1号

●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb

●フックは下記参照

★ミノー用:カルティバ シングル75M  1、1/0、2/0

★ジグミノー及びメタルジグ用:カルティバ ジグミノー段差 2、1、1/0

★スプーン用:OH丸セイゴ22号をベースにした自作シングルフック

●ルアーは下記参照

★ミノー:タイドミノースリム175フライヤー北海道リミテッド

     ログサーフ124F、ログサーフ144F

★バイブレーション:レンジバイブ90ES

★ジグミノー:バードック120S、KJ-11

★スプーンジグ:トビス20g、25g

★スプーン:プロズワン オリジナル(プロト)

★メタルジグ:撃投ジグ25g、撃投ジグエアロ30g、40g、Genji-g

  

●偏光グラス:ZEAL OPTICS Vanq

●偏光レンズ:TALEXイーズグリーン

       TALEXトゥルービュースポーツ(シルバーミラー仕様)

 

追伸:ぜひとも海アメに関してはキャッチ&リリースを前提として楽しみたいものです。そのため、海アメも混成し多くヒットしてくるような釣り場では少しでも同魚のリリース後の生存率を高めるために、プラグ使用時においてもシングルフックを有効に活用したいものです。北海道が全国に誇る素晴らしきアメマス釣り文化をこれからも末永く続けられますよう、私からも何卒よろしくお願い申し上げます。