北の大地を釣り歩く。(4)
ご覧の通り、本命・クロソイは50UP(画像左50.5cm、画像右52cm)を2投連続でキャッチし、その2本の重量は優に5キロ超え。
魚を持つ両腕がずっしりと重い。
更にこの後、40~45cm前後も連発。
十分過ぎる釣果を叩き出し、個人的には「もうお腹一杯」の状態に…。
正直、いくら何でも「今日はさすがにこれでもう終わりだろう…」と私は帰りの身支度を始めたところ、ベイトタックルからスピニングタックル(シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー)のライトテキサスに切り替えていた安瀬君のリールのドラグが突然、高音を立てた。
「ジ~ィ~」とドラグ音が鳴りっぱなし…。ロッドが大きく曲がったままになり一瞬、足元の根に潜られスタックしたが、すぐにラインをフリーにして緩め、タイミングを図ってロッドを立てると少しずつ魚が浮いてきた。このあたりの一連の動作は相当やりなれた感を受けた。しかし、隣で見ていても明らかに魚がデカいことは分かった。「これは結構、いい魚ですね~。」とキャッチしたのはこの日最大となる54cm!! その重量は優に3キロ後半はある。
とにかく凄い迫力だ……。あまりにも迫力あり過ぎる魚体。
この日はハカリを釣り場に持ち込んでいなかったのが悔やまれるが、もしかすると正確に測定すれば4キロを超えているかもしれない凄まじいド迫力のクロソイだ。東北でも2キロクラスのソイならクロソイにしてもベッコウゾイにしても見慣れてきたサイズではあるが、さすがにこれの倍の重さのソイとなると…まるで次元が違う。
それこそ1キロ~2キロのソイなら可愛く感じてしまう。本当に感覚がマヒしてしまった。改めて、この北の大地が日本屈指の「ソイの海」であることを実感した。
この本場の海でもヒットが集中したのはやはり、ホワイトグローカラーのガルプSWダブルウェーブ3”。リグは3/8ozのライトテキサス。
タフコンディション下における、その圧倒的な釣れっぷりは計り知れないものがある。
人気の高い釣り場はそれだけに連日多くのアングラーが集まる今日。まさにハイプレッシャー化が進んだ現代の過酷な釣り場環境ゆえに、ダブルウェーブの存在は必要不可欠。
このように、釣り場に来てソイを狙うも5時間以上ノーバイトの状態から、魚の居場所と釣り方を見つけ出したことで、沈黙を続けていた釣り場は一気にパラダイスへと変貌を遂げた。こんな時代だからこそ活性の高い魚ばかりを追い求めてのラン&ガンはせずに、粘り強く“釣り方を定めた”ことが功を奏した展開になった。根魚は上物や回遊魚とは異なり、一際大きいビッグフィッシュともなると、こういった釣り方の方が最終的に功を奏すことが多い。プレッシャーの高いメジャーフィールドにいる大物こそ、要は“一瞬だけ口を使う時合”がある、ということだ。その僅かな時合の変化に気付き、的確な釣り方を実行出来るか否かの世界が存在する。
「アイナメUNDER WATER」の発表以来、ロックフィッシュゲームの世界観が根本的に見直されたように当の本人である自身の釣りも大きく進化した。
それを境に機動力を生かし大海原を広範囲に移動出来るボートからの釣りとはシチュエーションが異なるオカッパリゲームでは、例えすぐには釣れなくても“自分の狙う魚がここにいる”という雰囲気を強く感じた場所では、あらゆる手段を駆使しながら粘り強く攻め続けることにしている。自分の立ち位置を頻繁に変えるのではなく、釣り方や仕掛け(ルアーの形状や色、リグのバリエーション変化)を変えることの方が多くなったのだ。いるけど喰わない、水中ではルアーを追ってるけれどフッキングに至ってしない魚達をどうやってフックアップに導くか。自分が気づかなかったアタリをどうやって、アタリとして認識出来るようにするか、といった問題を解決する方が大事だからだ。
ラスト1時間の奇跡。40cm~54cmに至るクロソイ(40cm未満はカウントせず)を我々二人で10本以上キャッチ&リリースし、大満足で堤防を後にした今回。
北海道に到着早々、あいにくの雨の中、寒さに耐えながらの釣りとなったが有終の美を飾った爆釣劇は本当に凄まじいものだった。
釣り方とタックルの選定で明らかな釣果に差が出た今釣行。ルアーセレクトとカラーセレクトも非常に重要で、それらを魚の定位しているピンスポットにドリフトさせていき(※ルアーを流すコースを外したら釣れない)、“ある一瞬”だけ喰わせの間を取って、目の前に来た時に確実に口を使わせるスキルがなければバイトに導くことも困難を極めた。
又、近距離で3キロ前後・50UPの巨ゾイ、更には水深に関しても、かなりのシャローとなれば魚は勢いよく根に潜ろうとするから、バットだけ強化されたスピニングロッドでは対打ち出来ない。魚の重量で竿が曲がった状態にあっても、バットまで力の負荷が掛かってしまう前にベリーを支点とした竿全体のパワーがブランクに平均に分散してキレイな弧を描いて曲がってくれるロッドでなくては、このようなビッグフィッシュを自在にコントロールすることは難しい。そうでなければ、せっかく掛けたのはいいものの獲れない魚が出てくる。むしろ、ルアー操作の段階で魚をバイトに導くことはおろか、仮に掛けても根の奥深くに潜られてしまうか、あるいはファイト中のラインブレイクだって否定出来ない。
ダルさが出ない範囲でバイトを弾かない“喰わせしろ”を残し、ライトロックで多用する2g~3gのジグヘッドリグも普通に扱うことが出来る繊細さに加え、3キロ、4キロ超の巨大根魚にも決して負けることのない肉厚のブランクパワーを秘める、シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサーの本領発揮である。 スピニングリールはドラグ性能の良く、ハイギヤながらも力強い巻き取りが出来る3000番が合う。
ラインはPE1号を用いるがスベリの良さと飛距離優先の8本撚りではなく、擦れてから破断に至るまでの時間を稼げる4本撚りの方がこの釣りでは向いている。4本撚りは少しテンションを抜いた時でも8本撚りと違って感度(芯)が残るため、トータル感度を得やすいことにも繋がる。そして先端に40~50cmほどのフロロ20lbリーダーを接続した3/8ozまでのライトテキサスを結ぶ。リグは岩礁カウンターロック3/0にガルプSWダブルウェーブ3”のホワイトグローの組み合わせ。夜釣りにおけるホワイトグローカラーの効果(※グローの面を下側にしてセットするのがオススメ)は本当に実感する。ここに、堤防オカッパリ巨ゾイゲームに挑む完成された一つの形がある。
アイナメと違って、気まぐれな性質を持つソイ族は限りなく魚の視点から釣り方を合わせていかないと、なかなか思うような釣果は得られない魚種だ。昼間に釣れるムラソイやベッコウゾイとは異なり、夜行性のクロソイはことさらオカッパリゲームでは夜の海がメインステージとなるため、釣っている人間側が、魚よりも一歩先読みした的確な状況判断をしなければならない。
この日、我々が獲った巨ゾイ達が教えてくれたこと。
それらは、全てこの釣果に集約されている。
さて―。旅の初日早々、いい釣りが出来たのはいいが…雨に濡れ、吹きつける寒風で身体の芯から冷え切ってしまった。
こちら東北でいう4月上旬~中旬の服装で挑みながらも、5月中旬の北海道の夜釣りはそれでも底冷えする。
釣り場を後にすると「晩飯はラーメンで。」と私が口にする前に安瀬君の方から「やっぱり今夜もラーメンですかね(笑)?」と切り出してきたので、その通り、留萌市内のラーメン店散策。
本降りの雨の中、ほどなくして見つけたラーメン屋さんに辿り着き、私は「野菜ラーメン大盛り」を完食。冷え切った身体がようやく温もりを取り戻した。
初日早々素晴らしいスタートを切り、のちにこれから本番を控える今旅への想いを募らせた春の北海道釣り旅の一日だった。
タックルデータ
■スピニングタックル<ライトテキサス>
●ロッド:シューティンウェイSWS-702Lスイミントレーサー
●リール:ステラ3000HG
●ライン:シーガーテンヤ1号
●リーダー:シーガーショックリーダープレミアムマックス20lb
●シンカー:タングステンバレットシンカー 3/8oz
●クッションビーズ:オーナー夜光ビーズソフト原色4号
●フック:岩礁カウンターロック3/0
●ルアー:ガルプSWダブルウェーブ3”
●偏光グラス:ZEAL OPTICS アルマジロ13
●偏光レンズ:TALEXモアイブラウン(夜釣り用)
★北海道留萌沖堤 渡船<留萌港>
■正宝丸 (斉藤船長 )【受付番号090-8633-8910】
~ 素晴らしい釣り場を保つためのお願い~
留萌沖堤は誰もが手軽に訪れることの出来るメジャーポイントゆえ、釣り人のゴミのポイ捨てが後を絶たず、釣り場が年々汚れてきています。
渡船を担当する各船長さん方も注意を促しておりますが、釣り人による堤防上へのゴミ破棄問題に困っていらっしゃいます。
この海は投げ釣り、探り釣り、ウキ釣り、ルアー釣りなど年間を通して、様々なジャンルの釣り人が連日釣りを楽しんでいる場所です。
それだけにゴミは防波堤にポイ捨てせず、最低限自分達で出したゴミはどうかご自身で責任持ってお持ち帰りになり廃棄して下さい。又、釣り針や釣り糸は足に絡んだり、刺さったりして大変危険なためケガ防止の面からも防波堤上に破棄しないようお願い致します。
非常に素晴らしい釣り場です。ゴミのポイ捨て問題で釣り禁止・立ち入り禁止などにならぬよう、私達・釣り愛好家に課せられた最低限のルールを守りながら、末永く釣りを楽しんでいきましょう。
私からも今一度、お願い申し上げます。
2012年6月30日 | カテゴリー:釣行記